【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第668話 迷宮都市 地下15階&地下7階での槍術上げ&丸い玉の報告

公開日時: 2024年1月17日(水) 12:05
更新日時: 2024年5月10日(金) 15:48
文字数:2,163

 目を覚ますと私は自分のベッドで寝ていた。

 意識を失った後、兄が寝室へ運んでくれたのだろう。

 パジャマを着替え部屋から出て、トイレと洗顔を済ませリビングへ向かうと、竜の卵を尻尾に巻き付け寝そべっているシルバーがいた。

 一晩中、卵を温めてくれた事にお礼を言い、卵をアイテムBOXへ収納する。

 朝食の準備をしているところ、兄が部屋から出てきた。

 寝違えでもしたのか両肩を大きく回し肩を叩いている。


「お兄ちゃん、おはよう。昨日はベッドに運んでくれてありがとね」


「あぁ沙良、おはよう。魔力を与えた後に意識を失うのは問題だな」


 兄のためにれたコーヒーを渡すと、そう言って顔をしかめた。

 その後も、しきりに首を左右へ倒す仕草しぐさをする。


「首、どうかしたの?」


「あ~セイがな……」


 と言ったきり黙ってしまう。

 うん? セイさんが何?

 途中で止められると気になるんですけど?


「……2人の寝相が悪くて大変だった」


 夜中にられでもしたの?

 3人が、どの位置で寝たのか少し考えてみる。

 兄は意外と嫉妬しっと深いから、旭とセイさんを隣同士にはしないだろうな。

 となると真ん中に兄、左右に旭とセイさんが寝たはずだ。

 別々の布団を敷いても、旭は兄にくっついて眠ってそうね。

 それはいつもの事だから、セイさんの寝相はかなり悪いらしい。

 朝食が完成する頃、2人が起きてきた。

 

「沙良ちゃん、おはよ~。今日は和食だね~」


 味噌汁と焼き魚の匂いで旭がメニューを当てる。


「沙良さん、おはようございます」


「2人とも、おはよう。昨日は良く眠れた?」


「……ええっと、はい」


 セイさんは、兄の方をちらりと見て首をかしげ返事をした。

 兄は黙ったまま何も言わず、旭は2人を見ながらニコニコ笑っている。

 何だろう? セイさんとは、まだ会って1週間なのに3人はやけに仲がいいな。

 朝食を食べたら冒険者の恰好かっこうに着替え、実家へ寄り父と一緒に異世界へ移転する。

 数が欲しいため直接薬師ギルドへ行き、ポーションとハイエーテルを100個ずつ購入した。


 月曜日、今日から5日間またダンジョン攻略。

 地下11・・階で兄&フォレストと別れ、私達は地下11階から地下15階まで駆け抜けた。

 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。


 地下14階のハニーのもとに行きマジックバッグの中身を回収後、地下19階~21階のキングビー達からも回収。

 73個のマジックバッグ分だ、かなりの量がある。

 ゼリアさんがポーションの価格を検討すると言ってくれたから、卸す時が楽しみだ。

 出来るだけ安くしてほしいな。


 槍術Lvが10になり、地下10階まで討伐の許可をガーグ老が出してくれたから、今日は地下7階でミノタウロスの肉を狩ろう。

 その前に地下16階の果物採取をして、地下7階へ移動する。

 私はシルバーに騎乗したまま発見したミノタウロスへ接近し、浮遊魔法を使用して通常より高く飛び上がったシルバーのお陰で、すり抜けざまに首を槍でぐ事が出来た。

 背の低い私が短槍で大型魔物を倒すのは難しいため、従魔が浮遊魔法を習得してくれたのは非常に助かる。


 首筋を切られ絶命したミノタウロスをアイテムBOXに収納し、その後も地下7階で槍のLv上げにはげんだ。

 3時間後、地下15階の安全地帯へ戻りテントからホーム内に移動する。

 昨日実験した内容をメンバーへ伝えると、皆が唖然あぜんとした表情になり旭がぽつりと呟いた。


「それ、もうLv上げ必要ないじゃん……」


 話を聞いた兄は何も言わず、父と一緒に部屋から出ていってしまった。

 2人の事は気にせず、しずくちゃんに『MAXポーション』とハイエーテルが変化した玉を幾つか渡しめてもらう。

 基礎値が12の雫ちゃんは、Lv40になってもHP/MPが492しかないのだ。

 毎日1個ずつ摂取すれば30日後、HPが1,500、MPは3,000増えるので、私達とステータスの差がなくなるだろう。


 値が増えると知った雫ちゃんは、かなり嬉しそうにしていた。

 自分1人だけ低いステータスを気にしていたからね。

 変化した玉も、飴みたいに甘くて美味しいと大満足のようだ。

 10分後、兄と父が戻ってくる。


「沙良、その玉はパーティーメンバー以外へ絶対渡すなよ!」


 兄から怖い顔で迫られ、思わずのけ反った。

 もうほんと、近いからっ! 一瞬キスされるのかとあせったよ!

 リーシャの体でファーストキスが兄とか全然笑えない。


「雫ちゃん専用にするから大丈夫!」


 そう宣言すると、かなで伯父さんがおずおずと手を上げる。


「沙良ちゃん。俺にもくれないかい? 皆と違い、基礎値が15しかないんだよ」


 あぁ奏伯父さんは転生組で貴族だから、15歳でLv上げをしたのか……。

 転移者である娘の方が73と基礎値が高くなっているものね。

 雫ちゃんと同じ2種類の玉を伯父さんに渡すと、それを見た父が何故なぜか俺も欲しいと言い出した。

 基礎値が78で一番高いのにどうして?


「お父さんには必要ないでしょ?」


「いや、いつきとの差が……」


 樹おじさんと同じ年なのに何を言ってるんだろう。

 しかもLv55でLv40のおじさんより高いのに……。

 当然、却下すると父はシュンとなってしまった。

 落ち込む理由が分からず樹おじさんの方を見ると、ニヤニヤと笑っている。

 2人は親友同士で仲がいいけど、おじさんは少し意地悪そうな顔をしていた。

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