【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第492話 迷宮都市 両親の召喚 6 両親の武器と防具を購入

公開日時: 2023年7月22日(土) 12:05
更新日時: 2023年9月2日(土) 23:21
文字数:2,298

 両親の冒険者登録を済ませ冒険者ギルドから出ると、次は武器屋に向かう。

 これからLv上げをするのに、武器と防具は必要だからね。


 武器屋に行くと言うと、何故なぜか兄と旭が目を輝かせた。

 いやもう新しい武器は買わないよ?


 前回購入した武器屋に入り、それぞれ得物を何にするか決めてもらった。

 父は剣、母は槍にするらしい。


 2人とも初心者なので、そんなに高い物は必要ないだろう。

 母には私と同じミスリル製の短槍で、金貨1枚(100万円)の物を選んであげた。


 父は剣が陳列されている棚に向かい、手に取って何かを確認している。

 どれでも同じだと思うけど、男性にとって武器はロマンらしいから好きな物を買ってあげよう。

「……あれは今……王宮の宝物庫に置いてあるのか?」


 ぽつりと漏れ聞こえた父の言葉に、はっ? となる。

 一体、私にどれだけ高い武器を買わせる気なの!?


 そもそも王宮の宝物庫にあるような貴重な剣は、店売りしてないよ!

 父がどんな剣を選ぶか戦々恐々せんせんきょうきょうとして見ていると、ガラスケースに入った剣に魅入っている。

 

 やめて~、それお店で一番高いやつじゃん!


「店主、この剣を見せてくれ」


「お客様、この剣は少々値が張りますが……」


 父の身形みなりを見てお金を持っていないと判断した店主が、遠回しに拒絶の意を表した。

 迷宮都市にいる、冒険者の顔を見知っているのだろう。


 父が悲しそうな顔をしたので、仕方なく私が店主にお願いしてあげる事にした。

 見るだけだからね?


「すみません、私のパーティーメンバーなんです。少しだけ見させてもらえませんか?」

  

「おや、サラ嬢の新しいメンバーですか? では、お見せしましょう」


 店主はそう言うと厳重に錠がされたガラスケースを開けて、剣を取り出してみせた。

 ここでも名前が知られているなんて、私ってば有名ね~。


 店主から手渡された剣を父に渡してあげると、手に持ちじっと見つめている。

 きっと鑑定をしているんだろう。


 私は見ても全く分からないので、商品の内容が書かれた羊皮紙を読む。

 

 素材はオリハルコンで、ドワーフの名匠めいしょうバール氏の作品とある。

 剣に付いているのは、コカトリスキングの魔石を加工した物らしい。

 石化魔法が付与されている。


 そして、お値段は金貨300枚(3億円)となっていた。

 3億って……家の値段だよ!


 石化魔法なら、ダンジョンで攻略すれば覚える事が出来るので必要ない。

 父は気が済んだだろうか?


 そう思って様子をうかがうと、何やら険しい顔付きをしてるみたいだ。


「店主、この剣はまがい物だ。素材はオリハルコンが表面をおおっているだけで、中身はミスリル製のようだな。それにバール氏とあるが、この剣の製作者はドワーフじゃなく人間だ。更に言うと、コカトリスキングの魔石ではなく、コカトリスの魔石のようだぞ?」


 あ~、鑑定魔法が使用出来るってバレちゃうよ!

 『手紙の人』から与えられた能力について、口止めするのを忘れてた~。


「……もしかして、鑑定の能力をお持ちですか?」


 ほら、店主にバレてるし……。


「あぁ、そうだ。知りながら展示していた訳じゃないだろう。偽物をつかまされたな」


「何とっ! 教えて下さり、ありがとうございます」


 そう言って店主は父に向かい丁寧に頭を下げた。

 はぁ~、良い人で助かった。


 嘘を吐くなと怒鳴られ、店から追い出されるかと思ったよ。


 結局、父がその後に選んだのはミスリル製の金貨1枚(100万円)の物だったので、ほっと胸をで下ろした。

 これは母の値段に合わせたのかな?


 兄達はそんな遣り取りを知らず、2人で楽しそうに店内にあるロマン武器を見て回っていた。

 ハラハラしたのは私だけか……。


 商品代金を払い武器屋から出ると、次は防具屋に向かう。

 道中、父には無暗むやみに鑑定の能力を披露ひろうしないように注意をした。


 防具屋では、私達と同じワイバーン製の革鎧を購入する。

 両親のサイズは店頭にあったので、直ぐに買う事が出来たよ。


 用事が済んだので、異世界からホームの自宅に戻ってくる。

 昨日は実家だったけど、今日は兄達の部屋で昼食を取る事にした。


 私と母が料理を作っている間、旭は早速さっそく父に大量の金貨を日本円に換金してもらっているようだ。


 午後から兄と車を買いに行くと言い、はしゃいでいる。

 お金が沢山あるから好きな車を購入すればいいよ。

 旭は異世界のお金を、今まで使用した事がなかったからね~。

 一体、どんな車を買う心算つもりなんだろう?


 昼食のメニューは、昨日の夕食会で出した残り物のおかず数品とアサリの味噌汁。

 母が作った茶碗蒸しと、私の作った蓮根れんこんのキンピラだ。

 お昼なので、迷宮ウナギは出さない。


 昼食後、両親を実家に送り兄達とは別行動をする。

 再び異世界に移転し、ガーグ老の工房へと向かった。

 

 両親と雫ちゃん、旭のお母さんの稽古を付けてもらえるよう頼みにいくのだ。

 両親は、剣も槍も手に持った事さえない素人だからね。


 あぁ、雫ちゃんと旭のお母さんのステータスを聞いておく必要があるな。


 きっと旭のお母さんは、魔法を習得していないだろう。

 転移組なら魔物から習得が可能だ。


 雫ちゃんは転生者だから、この世界では王都の魔法学校で習う必要があるんだけど……。

 同い年なら、入学は難しいかも知れない。

 確か12歳からだったはず


 何か良い方法があるといいんだけど、この世界の人がどうやって魔法を覚えるか知らないんだよね~。

 今更アマンダさんに聞く訳にもいかないし、困ったな……。


 魔法の習得について考えながら歩いていると、白梟の『ポチ』と『タマ』が上空から降りてきて私の両肩に止まった。


 そしてしきりに鼻を鳴らしている。

 え? 私の匂いをいでいるの?


 昨日、ちゃんとお風呂には入ったんだけど……。

 2匹の行動が理解出来ないまま、私は家具工房の門を開けた。

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