【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第606話 迷宮都市 武術稽古 お礼の『焼売』と『焼きそば』&新しい魔物のテイム

公開日時: 2023年11月16日(木) 12:05
更新日時: 2024年6月26日(水) 16:05
文字数:2,492

 ガーグ老の合図で稽古が終了すると、私と母は昼食の準備を始める。

 父とかなで伯父さんは、ガーグ老と一緒に工房へ入っていった。

 武人同士、気が合ったのだろう。

 現在の姿は40代後半だけど、実際の年齢はそう変わらない。

 今日の昼食メニューは、『焼売しゅうまい』と『焼きそば』。

 炒飯チャーハンが作りたかったけど、まだお米が見付からないんだよね~。


 ハイオーク肉をしずくちゃんへ渡し、ミンサーで挽肉ひきにくにお願いする。

 その間、玉ねぎをみじん切りにしておく。

 挽肉に醤油・酒・砂糖・ごま油・塩を入れよく練り合わせ、玉ねぎのみじん切りと片栗粉を加え混ぜ合わせたら種が完成。

 後は、焼売の皮に包んで蒸すだけだ。

 1人10個もあれば足りるだろう。


 餃子ギョーザと違い包むのは簡単なので、雫ちゃんとお母さんに手伝ってもらった。

 私は焼きそばの材料を刻み、2台のバーベキュー台を出し大量の『焼きそば』を焼き始める。

 焼売は蒸しあがりを熱々の状態で食べてほしい。

 出来上がった料理とショートブレッドを、妖精さんへお供えに木の下へ持っていこうとすると、雫ちゃんのお母さんがバスケット持参で付いてくる。

 思わず雫ちゃんの方を見ると、やはり首を横に振り肩を落としていた。

 あぁ、妖精さん。

 ごめんなさい……。


「お待たせしました。皆さん、今日もありがとうございます。お昼のメニューは、『焼きそば』と『焼売』です。『焼売』は蒸すのに時間が掛かるので、先に『焼きそば』を食べて下さいね。それでは頂きましょう」


「頂きます!」


 最初に蒸しあがった分の『焼売』をガーグ老へ渡し、食べてもらった。


「サラ……ちゃん。これは姫様が話しておったギョーザとは、また違う食べ物かの? ギョーザはエールと合うそうだが……」


「『餃子』は、中に入れる野菜も形も違いますね~。ニラ・・があれば作れるんですけど……」


「そうか、でもこれも旨いのぉ」


 満面の笑みを浮かべながら食べるガーグ老に、雫ちゃんのお母さんが稽古のお礼だと言い、とある料理を取り出した。


「おお、気を使わせて悪いな。では、ありがたく頂こう」


「あっ!」


 その場にいたパーティーメンバー全員が、小さく悲鳴を上げる。

 ガーグ老は気付かず、その料理を一口で食べてしまった。

 そして口の中の味を中和させようと、雫ちゃんのお母さんが準備した苦い紅茶を飲んでしまう。

 かろうじて、紅茶を吹き出す事はなかったけど……。


「……何事も修行が必要だ。ユカさん、儂の分は用意せんでいいから妖精達にあげて下され」


 ガーグ老の言葉を聞いた妖精さん達は、抗議のためか木の枝を大きくバサバサと揺らしていた。

 全員に焼売が行き渡り食事を済ませ再び木の下へいくと、お礼の手紙が2通置かれている。


『サラ様。今日も美味しい料理を、ありがとうございます。ショートブレッドは、お腹が空いた時に食べさせて頂きます。また次回も、よろしくお願い致します。』


『ユカ様。私達はダンジョン産の果物が大好物・・・です。どうか果物だけ、お願いします。』 


 ……。


「妖精さんは果物が大好きのようですよ?」


「まぁ、甘い物が好きなのね? じゃあ、次回は『善哉ぜんざい』にしようかしら?」


 兄達が食べたしょっぱい善哉か……。

 ひとつで、ご飯1杯必要なくらい塩辛い卵焼きよりはましだろう。

 ガーグ老へ稽古のお礼を言い、ショートブレッドを渡し私達は工房を後にした。

 奏伯父さんが明日からパーティーに追加されると、騎獣の従魔が足りないな。

 母の従魔であるボブは、妊娠中の母を気遣いそばを離れないと思う。

 泰雅たいがへ一緒に騎乗するのも、体格の良い2人では大変かも?

 かと言って、雫ちゃんのお母さんと源五郎げんごろうに乗るのも無理がありそう……。


「お兄ちゃん。奏伯父さんの騎獣をテイムした方が良いかな?」


「沙良、Lvは上がってるか?」


「うん、32になったよ!」


「それなら問題ない。父さんと一緒に、テイムしてきていいぞ」


 兄が許可をくれたので皆をホーム内に送り届けた後、父と奏伯父さんと一緒にダンジョンへ向かう。

 念のため奏伯父さんの冒険者カードを確認すると、オリハルコン製のSS級だった。

 雫ちゃんのお母さんが私と同じ20歳なのに、40代でSS級冒険者?


「伯父さん。Lv120まで、どうやって上げたの?」

 

「俺は伯爵家の三男で後継ぎじゃなかったから、15歳から30年近くは冒険者の活動をしていたのさ」


 うん?

 計算が合わない。

 

「え? じゃあ今は何歳?」


「70歳を超えてるな」


 高Lvだと、老化が遅くなるのを忘れていた!


「じゃあ、摩天楼まてんろうのダンジョンを潜っていたりする?」


「あぁ、そこで当時のフィンレイ伯爵に見初められてな。娘の結婚相手にと、頭を下げられたんだよ」


 そうだったのか……。

 伯父さんには冒険者の方が合ってそうだけど、色々あったのかも知れない。


「それより、俺は従魔にするなら空を飛べる魔物がいいな」


「う~ん。迷宮都市のダンジョンは、地下1階~地下10までは迷路状になってるから天井が低いんだよね。鳥系の魔物は、移動が難しいと思う」


 私の言葉にガッカリした伯父さんは、じゃあ何でもいいと言い肩をすくめた。

 いきはシルバーへ一緒に乗り、地下10階のシルバーウルフをテイムする。

 子供達の捜索に大活躍したから、嗅覚が鋭い魔物にしたのだ。

 シルバーも同じ種族の方が嬉しいだろう。

 残念ながら、テイム出来るのはおすだけのためつがいにはならないけど……。

 私のモフモフパラダイスの夢は、いつ叶うんだろう。


「貴方の名前は、黄金こがねよ! これからよろしくね」


 名付けを済ませてステータスを確認。

 私の現在Lvは55だ。

 

 ●黄金こがね Lv55(消費MP160)HP550/MP550 シルバーウルフ(雄)

 使用魔法 アイスボールLv5(MP消費15)


 シルバーと同じLvだけど、種族が違うから消費MPが少ない。 

 今回はゴールデン・・・・・ウルフに進化するのを踏まえ、最初から進化後の名前にした。

 シルバーウルフがテイムされた状況を見た奏伯父さんが、後ろで絶叫している。


「何だ、そのテイム方法は!?」


 私は魅了みりょうを使用してテイムするんです。

 この世界のテイム魔法が、どんなものかは知りません。

 父が彼の肩を叩き、あきらめろと言っているような気がする。

 私達とパーティーを組むと、これから沢山驚く事になりますよ?

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