【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第273話 迷宮都市 初めての従魔登録 1

公開日時: 2023年3月9日(木) 12:05
更新日時: 2023年8月13日(日) 02:05
文字数:2,096

 2人に結婚の意志がない事は分かったけど、やっぱりなんとも思っていない相手とは一夜の過ちじゃない限り出来る事じゃないと思うんだよね。


 しかも毎日顔を合わせる相手だ。

 過ちを犯すにはリスクが高い。


 兄の隣で寝ている旭の事を考えると、一度きりとは考えにくいし……。

 余程、体の相性・・が良いのだろうか?


 後で後悔して友情に亀裂きれつが入る事だって充分あるのに、およんだのはそうならない確信があったからだろう。


 お互いをしっかり把握しているから、そんな程度じゃ離れない自信があったに違いない。


 それはもう友情をはるかに超えている。

 2人は自分の気持ちの変化に気が付いていないのかもね。

 近くにいすぎて分からないんだろうな~。


 いつか2人がやっぱり結婚したいと言ったら、「言った通りじゃん」って今日の事を思い出させてあげよう。


 それまでは余計な口出しはせず温かく見守ってるわ。


「2人とも、早く服を着替えて準備してきて!」


 終わりそうにない口喧嘩を中断して、部屋から追い出す。

 私も異世界の服に着替えよう。

 

 そうだ服も新調する予定だった。

 私達、冒険者活動をしている時はいまだに古着を着ているんだよね。


 そろそろ既製服を着用しても良いだろう。

 この世界で新品の服は、本当に高くてビックリするけど……。


 工業用ミシンも無いから、工程が全て手作業と考えると1着3万円は妥当なのかも知れないな。

 これオーダーメイドで注文したら、一体幾らくらいかかるんだろう?


 お金を持っていない訳じゃないけど、1着100万円とかだったら怖すぎるよ。 


 炊き出しの後で従魔登録をして、以前購入した既製服を売っているお店と華蘭からんに行こう。


 今日も予定が盛沢山だ! 

 

 兄に2匹の従魔じゅうま登録をして一緒にダンジョン攻略をしたいとお願いしたら、自分もフォレストと一緒にいたいのか簡単にOKがもらえた。


 1人で果物狩りをしてる時に連れていきたいんだろうなぁ。

 主人は私なんだけど、兄の方がよく可愛がっている気がする。


 昨日もジムが終わった後、旭と一緒に2匹と遊んでくれていた。

 その内に兄の方にもテイム魔法が追加されたりして……。

 

 本当にネコ科の動物が好きだよね~。

 フォレストもなついているので良いんだけどさ。


 昨日サヨさんから聞いた情報によると、私達は『手紙の人』から規格外な保障を付けてもらっているらしい。


 魔法の使い方だって、この世界の人とは随分ずいぶん違っているし……。

 多分イメージで魔法を使用するのは私達だけだと思う。


 教会に行き、母親達と炊き出しの準備を始める。

 8時45分になると子供達が集まってきた。

 

 10月に入り少し肌寒くなってきたので、いつものスープにとろみが付く『シチュールウ』を入れてあげる。

 子供達は皆、ちゃんと【約束事】を守って生活しているから些細ささいなご褒美ほうびだ。


 トマトの収穫時期も終わるので、そろそろ『ミートパスタ』から『シチュー』にメニューを変更した方が良いかな?


 もう一品、体が温まるメニューを考えているんだけど冬季限定で出そうか考え中。

 メニューを増やすと母親達の負担となってしまう。


 私はブラック企業のオーナーじゃないので、仕事で余り無理をさせたくないのだ。

 5歳の子供達と触れ合う時間も確保してあげたいし。


 今は売り切れたら営業終了としているので、仕込みの時間を入れても6時間くらいだろう。

 

 子持ちの主婦なら、これくらいの勤務が丁度いい。


 店は住み込みで通勤時間も掛からないし、2階に子供達がいるので預ける場所を探さなくても安心して働ける環境が整ってる。


 考えたら、うちの店かなりホワイトだったよ! 


 

 従魔登録を済ませてないので、子供達には来週2匹の紹介をする事にした。

 きっと可愛がってくれると思う。

  

 炊き出し終わりにお店の様子と子供達の話を聞いた後、兄が大きいみかんを配っていった。


 冒険者ギルド近くまで行き、2人を置いて私は一旦いったんホームに戻った。

 部屋から出て、シルバーとフォレストの名前を呼ぶと数分で2匹が現れる。


 これから従魔登録に行く事を伝えると、2匹が喜んでいるみたいに尻尾をフリフリさせていた。


 その仕草しぐさが可愛くて頭をでてあげる。

 2匹を連れて兄達のもとに戻り、早速さっそく冒険者ギルドの中に入る。


 日曜10時という時間帯もあって、ギルド内は閑散かんさんとしていた。

 それでも数人いた冒険者達が、大型の2匹を見て驚愕きょうがくし逃げ腰になってしまう。

 

 受付嬢は私達を見て、いつも笑顔だった表情が引きつっている。


「こんにちは~、今日は従魔登録にきました。登録お願いします」


「はっ、はい従魔登録ですね。少々お待ち下さい」


 そう言うと受付嬢は同僚に声を掛けた。


「うちのギルドに従魔登録の用紙ってあったかしら?」


「う~ん、私10年もここにいるけど見た事ないわよ?」


「そうよね。ちょっとギルドマスターに確認してくるわ」


 受付嬢は席を外して、ギルドマスターの部屋に行ってしまう。

 時間が掛かりそうなので残された私達は、邪魔にならないようカウンターから壁際に移動した。


 冒険者達は驚きから少し立ち直ったみたいで、シルバーとフォレストをガン見している。

 迷宮都市には従魔を連れた冒険者がいないので、珍しいんだろうね。

 

 うふっふっ、ご主人様は私ですよ~。

 注目されて、ちょっといい気分だ。

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