【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第187話 椎名 賢也 4 ステータスの確認

公開日時: 2023年1月24日(火) 18:05
更新日時: 2023年12月25日(月) 21:37
文字数:1,724

 納得いかないが、既に14歳なのはどうしようもない。

 事実を受け入れ何とかして生活基盤を整えよう。

 俺は寝室から沙良のいるダイニングへ戻った。


 沙良と日本での俺がどうなったのか考察しつつ、両親にはとても申し訳ない気持ちになった。

 多分、行方不明扱いされるとは思うが、子供を2人も亡くし更には俺までとなるとかなり心労をかける事になる。

 それに残されたあかねや双子達に負担がいくのを考えると、どうにもやりきれない。


 しかし異世界で知り合いもなく、たった1人で今まで過ごした妹を思うと、自分を召喚したのは良い判断だと言えた。

 味方は1人でも多い方が、生きていく上で役に立つはずだ。

 幸い沙良から異世界物の小説を読まされたお陰で、この不測の事態にもなんとか適応出来るだろう。


 俺を召喚するに当たり、事前に準備していた夕食は好物の豚カツだった。

 こういう用意周到な所は、やはり妹らしく納得してしまう。

 まっ大概たいがい怒られる前提で、少しでも怒りの矛先ほこさきが自分に向かないよう考えての行動だったが……。

 食事をしながら、沙良が異世界転移後の話をし出す。

 早々に公爵邸を抜け出し、冒険者をしていると聞き驚いた。


 まぁ、こいつに12歳の公爵令嬢の振りは無理だろう。

 しかも、後妻が12歳の少女を虐待していたらしい。

 父親に虐待されていた事実を告白し、後妻と連れ子を追い出したと言うから良くやったとめてやった。


 もし俺が同じ立場なら同じようにしただろうと思う。

 貴族なんて面倒臭い生活なんか誰が送れるか。

 たとえ裕福な生活だとしても、沙良のホームより快適な家はない。

 食材も家族が住んでいた11部屋分が365日あるんだ。

 日本食も食べられるし、風呂が入れず困る事もない。


 それにしても、妹の能力が高すぎないか?

 ホーム内は日本での生活がそのまま送れる仕様になっているし、アイテムBOXは異世界へいったら必ず欲しい能力だ。

 マッピングは地図代わりに使え、召喚は規格外もはなはだしい。


 食後にコーヒーと苺のショートケーキを出された時は、ここが本当に異世界かどうか思わず疑ってしまう。

 風呂に入っている間、違和感ありまくりの異世界に可笑おかしくなり笑ってしまった。

 これじゃ日本に住んでいるのと変わらない。


 14歳になった体より、生活環境が変わらない事に安心する。

 ただこの体に慣れるのと(やたらお腹が空く)、沙良の外見に慣れるまでは時間が掛かるだろう。

 あ~、でも俺のマンションと車と貯金がなくなったのは恨むぞ!


 LV10毎にホームに出来る拠点が増えるらしいから、絶対マンションをホームにしてもらわないと割に合わない。

 突然異世界へ召喚され14歳になり、冒険者として一緒にパーティーを組むんだ。

 それぐらいしてくれないと困る。


 風呂から出た後で、沙良から【召喚された方へ】と書かれた封筒を手渡された。

 読んでみると、俺に与えられた能力が記入されている。


椎名しいな 沙良さら様から、召喚された方へ

 すべての元凶は私です。

 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。

 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。

 剣と魔法の、ファンタジーである所の異世界です。

 椎名しいな 沙良さら様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。

 また、異世界の能力3つをご確認下さい。


 椎名しいな 賢也けんや様の能力

 【光魔法】

 ●ヒール 怪我を治す事が出来ますが、病気を治す事は出来ません。

 ●ホーリー HPを回復したり、アンデッド系を攻撃します。

 ●ライトボール 攻撃魔法。照明代わりにもなります。


 まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。

 最後に、このような不幸な目にわせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』


 どうやら光魔法が使えるらしい。

 冒険者をする上で回復する手段があるのは助かる。

 これは医者だったのが関係しているんだろうか?

 早速さっそく「ステータス」と唱え自分の能力を確認した。


 椎名しいな 賢也けんや 14歳

 レベル 0

 HP 50

 MP 50

 魔法 光魔法(ヒールLv0・ホーリーLv0・ライトボールLv0)


 うん?

 随分ずいぶんシンプルな内容だな。

 回復魔法と攻撃魔法がある分、いくらかマシか……。

 残念ながらアイテムBOXは俺になかった。

 

 沙良に召喚されたその日。

 初の異世界をまったく感じる事なく、俺は眠りにいたのだった。

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