【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第491話 迷宮都市 両親の召喚 5 両親の冒険者登録

公開日時: 2023年7月21日(金) 12:05
文字数:2,369

 若い兄達2人には迷宮ウナギの効果はなかったけど、36歳若返ったとはいえ42歳の父には効くはずだ。

 『製麺店』の最年長であるバスクさんでさえ、実感したそうだからね。


 これは非常に不味い気がする。

 父は普通の鰻を食べたと思っているから、効能の事は知らない。


 体が若返った事で、多少元気にはなるかもと思ってくれるだろうけど。

 問題は、多少どころではないその効能の方。


 私は兄を手招きし、小声でそっとささやいた。


「お兄ちゃん。部屋にあった卵型・・のインテリアなんだけど……。お父さんに2・3個、渡してくれないかな?」


「沙良……。それは、どういう意味だ?」


「言うの忘れてたんだけど、実は香織かおりちゃん、『手紙の人』が生まれ変わらせてくれるらしいの。それで、お兄ちゃん達には効果がなかったんだけど……。迷宮ウナギを食べると、精力剤と同じ効果があるんだよね。早く頑張ってもらいたくて今日お父さんに沢山食べさせたら、お母さんと一緒に寝ないみたいで……。多分、今夜は大変だと思う」


「はぁ~。お前のその用意周到さにはあきれるよ。理由は分かったから、俺の方で渡しておく」


「ありがとう。お母さん達には1階の客間で一緒に寝てもらう事にするから、後はよろしくね~」


 よし!

 これで対策もバッチリだ!


 先に雫ちゃんと旭のお母さんを家まで送り、私は客間に2人分の布団を敷いておく。

 アイテムBOX内にあるのは全て新品の状態だから、急な来客にも直ぐに対応出来て非常に便利だ。

 

 父は兄と一緒に2階の寝室にいったので、問題も解決するだろう。

 父が鰻を嫌いになったりしないよう、次回は気を付けないと……。


 翌日木曜日。

 今日は両親の冒険者登録をしに冒険者ギルドに行く予定だ。


 雫ちゃんと旭のお母さんは、ホーム内で買い物をする心算つもりらしい。

 昨日、旭が換金した100万円を渡していたからね。


 朝食は、実家で母が作った料理を久し振りに食べる事になった。

 昨日、冷蔵庫に食材を忘れず入れて良かったよ。


 サヨさんは母の料理を嬉しそうに食べていた。

 昨夜2人は、どんな話をしたのかな?


 父は兄の顔を見るなり親指を立てていたから、渡された卵型・・のお世話になったらしい。

 こちらも問題なかったようで安心する。



 まずは異世界の服が必要なので、私だけ先に移転しお店で2人のサイズを選んで購入。

 着替えてもらった後で、兄と旭とサヨさんを連れて異世界へ。


 迷宮都市で購入した家の庭先に移転すると、ここが私達の家だと紹介する。


「沙良……。なんだか要塞じみている家だな。この高い塀は何だ?」


 父が高さ10mもある塀を見ながら疑問を口に出した。


「あ~、それね。注文した覚えはないんだけど、商業ギルドの人がオプションで付けてくれたの。ここには子供達が沢山集まるから、防音対策らしいよ。あっ私、子供達の支援をしているからまた後で詳しく話すね!」


 門の魔石に3人の血液を登録し、家から出て華蘭からんまで歩き出す。


 母は異世界の街並みに興味津々なのか、視線をあちこち動かしていた。

 父は物価が気になるみたいで、露店の値段を確認しているようだ。


 あれ?

 私、通貨の単位をまだ教えていなかった気がする。


 あぁ、でも父には鑑定があるから価格を見る事が出来るのか……。

 特殊魔法は、時空魔法と同じでMPは必要なさそうだし。


 華蘭からんでサヨさんと別れ、5人で冒険者ギルドへ。

 ギルド内に入り、いつもの受付嬢に2人の冒険者登録をしたいと申し出る。


 すると受付嬢は父を見るなり表情を変えて、何故なぜか別室に案内された。

 おかしいな、冒険者登録は受付の場所でするはずなのに……。

 2人は冒険者登録をするには年齢が高いから、特別扱いになるのかしら?


 受付嬢は、ギルドマスターのオリビアさんを呼んできますと言い退出してしまった。

 どうして冒険者登録にギルドマスターの立ち合いが必要なの?

 

 迷宮都市では、オリビアさんが登録に立ち会っているんだろうか……。

 疑問に思いつつ、彼女がくるまで時間があるので両親にステータスの確認をしてもらう事にした。


 といっても2人はまだLv0なので、ステータス表記もかなりシンプルなものだろう。


「へえ~、こんな風に見えるのね。MPとHPは78になっているけど、これは年齢?」


 早速さっそくステータスを確認した母が楽しそうな声を出す。


「そうだよ。Lvが上がる度に78ずつ増えていく仕様になっているから、2人はかなりお得だね! お父さんも確認出来た?」


「あっ、あぁ……。俺の方も、MPとHPが78だったよ……」


 父はなんだか微妙な顔をしていた。

 78もあるのに少ないと思っているのかなぁ。


 5分程すると、オリビアさんがノックをしてから部屋に入ってきた。


「サラさん、2人の冒険者登録が必要だと言われてきたんだけど……」


 そこでオリビアさんの言葉は途切れ、驚いた表情に変わる。

 やっぱり、冒険者登録するには両親の年齢が高すぎるのか……。


 普通は10歳からだもんね~。

 でも登録に年齢の上限はなかったはずだから、大丈夫だろう。

 

「あのっ……。本当に冒険者をされるんですか?」


「はい、これから一緒にパーティーを組むんです。あと他に2人いますが、その2人は既に冒険者なので……。しばらくしたら、C級冒険者へのスキップ制度も利用させて頂きますね」


「……分かりました。では登録用紙に記入して下さい」


 私は両親の代わりに2枚の登録用紙を記入して、オリビアさんに手渡した。

 代わりに冒険者ギルドカードを受け取る。


 両親の血液を兄に採取してもらい、カードに垂らした後で返却する。

 器械に通されたカードを再び受け取り、両親にそれぞれ渡してあげた。

 これで冒険者登録は終了……じゃない、登録料の銀貨1枚(1万円)を払い忘れる所だった。


 オリビアさんに、銀貨2枚(2万円)を支払うと不思議そうな顔をされてしまう。

 いやいや、登録料もギルドの大切な収入ですよね?


 絶対、いつも冒険者登録の作業はしてないな……。

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