【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第203話 椎名 賢也 20 ダンジョン しゃぶしゃぶ食べ放題の店

公開日時: 2023年2月1日(水) 18:45
更新日時: 2023年3月17日(金) 18:21
文字数:1,893

 俺は、その時の教訓を覚えていたので、恋人が出来た時に彼女が初めて作ってきた弁当を全て残さず食べた。

 勿論もちろん、味についての文句は一切言わなかった。


 結果――。

 お腹を壊す事になる。

 変な味がしたと思ったんだよな~。

 腐ってたんじゃないか!!


 季節がら日中の気温が高かった所為せいか、朝早く起きて作られた弁当は保冷剤も無い状態だったのでいたんでしまったらしい。


 俺達2人は、デートの最中何度もトイレに駆け込む羽目はめになった。


 彼女は自分が作ったお弁当の所為せいだと何度も謝っていたが、俺は作ってくれた気持ちが嬉しかったので気にしていないよと答えたけれど……。


 その後、彼女とデートする事は無かった。


 あの時どうする事が正解だったのか今でも疑問に思う。


 素直に弁当が腐っている味がする事を伝え、2人でお腹を壊す事を防ぐべきだったのか……。

 本人が気付いていない事を自分から指摘する事は難しい。


 もし正直に言って泣かれたりした方がやっかいだ。

 その場合、弁当は食べられる事は無く当然お腹も壊さないので、俺が不味まずいと言っただけで終わってしまうだろうな。


 トイレ駆け込みデートの事を考えている間に、目的地の店に到着。


 人生で初めての食べ放題の店だ。

 沙良は前に来たことがあるらしい。


 電子メニューから、『しゃぶしゃぶ食べ放題3千円』のコースを2つ選ぶとテーブルの上に鍋と材料が置かれる。


 基本の豚肉・牛肉と野菜等が出てきた。

 今回注文したコースには、揚げ物・一品料理・お寿司・ご飯類・アイスも付いている。


 なかなかリーズナブルな値段だ。

 採算さいさんが合うのか心配になってくる。


 沙良は早速さっそく揚げ物を何品かと、お寿司を追加注文している。

 俺は天ぷら盛り合わせと一品料理を追加してみた。


 外食に行くたびに禁酒となるのが寂しい。


 ホーム内でなら、沙良に車の運転を教えても問題ないか?

 俺達しかいないんだから、公共の道路じゃないし他に走っている車はない。


 運転の仕方を覚えてくれたら、帰りは沙良に運転してもらって酒を飲む事が出来る。


 今度、提案してみよう!


 追加したメニューも直ぐにテーブルの上に出てきた。

 しゃぶしゃぶを、2種類のタレにけながら交互に食べる。


 俺は、どちらかと言うと胡麻ごまダレの方が好きだ。

 沙良は野菜も多く食べるのでポン酢の方が良いらしい。


 食べ放題と言っても、そう沢山食べる訳じゃない。

 好きな物を少しずつで良いのだ。


 意外と食べ放題のメニューが多いので、俺でも楽しむ事が出来た。


 タコの唐揚げは旨かったな。

 ビールが飲めなくて本当に残念だ。


 沙良は自分が飲めないので分からないだろう。

 家に帰ったら、風呂上りによく冷えたビールを飲む事で我慢するか。


 ビール代は、お小遣いから出さなくても沙良からOKを貰っている。

 日本から召喚した分の補償らしい。


 11部屋分のアパートには酒好きの人間が何人か居て、ビール(〇リン・〇サヒ・〇ントリー・〇ッポロ・〇ビス)・発泡酒・ワイン(白・赤・ロゼ・スパークリング)・日本酒(純米・吟醸・大吟醸)・焼酎(麦・芋)・ウイスキー・ブランデー・ジン・ウオッカ・ラム・テキーラと何でもそろっている(×365分)。


 沙良は料理酒以外に酒を必要としないので、これら全ては俺が飲んでも良いと言ってくれた。

 飲んだ事が無い物もいくつかあったので、かなり嬉しい。


 今の所、沙良のホームに設定されたアパートの部屋にあった服で事足りるし、酒が飲めるなら俺に不満は無い。


 出来ればお小遣いを、もう少し増やしてほしいが……。

 月3,000円って、今時の高校生より少なくないか?


 お陰で54歳にもなってマイ水筒持参での本屋通いだ。

 店内が無人だから出来るが、少しせつない。

 

 沙良が最後までアイスを食べるかどうか迷っていたので、半分食べてやるよと言ったら苺と抹茶アイスを2つ注文した。


 アイスを食べるかどうか迷っていたのではなく、どちらの味を食べるかを悩んでいたらしい。

 両方の味を食べる事が出来て沙良は満足そうだった。


 腹八分目の状態で会計を済ませ、自宅まで運転して戻ってくる。


 それぞれの部屋に帰ってから、俺は少し熱めの風呂に入った後で冷蔵庫からビールを取り出してグラスに注ぐ。


 うん、この一杯が美味しい!


 旭、お前と一緒にまた酒を飲みたいな……。


 いつかあの世で会う事が出来たら、俺が異世界に沙良から召喚された話をしてやるよ。


 きっと驚くと思うぞ?

 なにせ今は別人になって、36歳も若返り冒険者をしているんだからな。


 しかも、かなりの美少女・・・だ!


 いまだに自分の妹かどうか、一瞬迷う時があるくらいだぞ?

 お前が見たら、もう一度初恋のやり直しかもなぁ~。


 俺も今は20歳になってるんだ。

 日本で出来なかった青春・・とやらを楽しむ事にするよ。

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