早崎さんがLv20になり現在習得出来る全ての魔法を覚えたので、ダンジョンを攻略に行けるだろう。
冒険者登録をする前に、お昼を食べた方がいいな。
彼は茜の旦那さんというだけで異世界召喚してしまったから、ここは私が奢ろう。
「早崎さん。お昼は何が食べたいですか? ホーム内の飲食店は全て利用可能だから、好きなお店に連れて行きますよ!」
彼は私の言葉を聞いて、茜の方を見る。
「遠慮しなくていいぞ。姉さんは金持ちだ」
「えっとじゃあ、お寿司が食べたいです」
「了解」
お寿司なら、兄達行きつけのお店がいいかな?
マッピングで店へ移動し、店内のカウンター席に座る。
電子メニューで注文した物がテーブルの上へ出現したのに、早崎さんはかなり驚いた様子。
また無人の店内を見まわし不思議そうにしていた。
本日のお勧めコースを食べ、お腹一杯になった後はいよいよ異世界へ。
早崎さんに、これから異世界の家に行くと伝え移転する。
「お義姉さん。ここが、もう異世界なんですか? あの……、家の塀が高すぎて外の景色が見えませんが」
10mもある高い塀で囲われた家の庭で、彼は困惑していた。
「ちょっと防音対策が必要で、この家の塀は高いの。魔石に血液を登録すれば、外に出られるから大丈夫よ」
彼の親指に針を刺して血液を登録すると、大きな扉が横へスライドする。
早崎さんは、茜のテイムしたキングレパードに乗り移動。
目に映る異世界の景色を興味深く見つめていた。
顔をきょろきょろ動かしたりせず、僅かに視線を向け周囲から浮かないようにしている。
刑事だから、用心深く行動する習慣が身に付いているんだろう。
冒険者登録する前に、服と武器・防具を揃えておこう。
今は茜の服を着ているけど、一緒に冒険者をするなら異世界の服が必要だ。
服屋で新品の服を5着購入して、武器屋に向かう。
彼が手にしたのは、剣や槍ではなく棒だった。
「それでいいんですか?」
「あぁ私には、この武器の方が向いているような気がする」
せっかく、剣術Lvが上がったのに棒を選ぶとは……。
本人がそれでいいなら構わないけど、棒術もあるのかしら?
ミスリル製の棒に金貨1枚(100万円)支払い、次は防具屋へ。
ワイバーン製の革鎧を金貨5枚(500万円)で購入し、冒険者ギルトに行った。
受付嬢へ冒険者登録とスキップ申請を告げると、会議室に案内される。
それほど待つ事もなく、ギルドマスターのオリビアさんが入ってきた。
「こんにちは。今日は新しいメンバーの冒険者登録とスキップ申請にきました。妹の旦那さんです」
「夫の順一です」
「ギルドマスターのオリビアです。登録用紙の記入は、サラさんがされますか?」
「はい、私が書きます」
オリビアさんから渡された登録用紙を記入して、冒険者カードを受け取る。
早崎さんの血液を垂らし返却すると、オリビアさんはカードを機械に通した。
F級冒険者のカードを早崎さんに渡し、登録料の銀貨1枚(1万円)を払う。
彼女は毎回、登録料の請求を忘れるから困ったものだ。
「スキップ制度は、これから受けられます。ダンジョンに行きましょう」
ギルド専用馬車に乗り、ダンジョンへ移動する。
シルバー・ダイアン・アーサーは、馬車に並走し付いてきた。
オリビアさんの顔パスで、入場料を払わずダンジョンに入る。
「これから、ファングボアとリザードマンを見付けて1匹ずつ討伐する様子を見ます。制限時間はありませんので準備が出来次第、移動を開始して下さい」
オリビアさんが後方に下がり試験開始。
討伐対象以外も1人で倒す必要があるけど、地下1階に出現する魔物なら問題ないだろう。
早崎さんはHP上昇を使用して、素早く移動を始める。
3匹のファイアースライムに対し、初めて使用する棒を器用に扱い同時に当て倒す。
飛んでいる吸血コウモリも棒で打ち落としていた。
本命のファングボアが突進してくると、同時に駆け出し棒を振るう。
首の骨が折れたファングボアは絶命した。
リザードマンも同様に倒して試験は合格。
私達は、もう少しダンジョン攻略を続けるので、オリビアさんに帰ってもらった。
「結界魔法を調べましょう。結界を張って下さい」
Lv0の結界魔法を早崎さんが唱えると、私達の周囲に見えない結界が張られた。
そのまま属性スライムの魔法攻撃を受けてみる。
すると結界が跳ね返した。
スライムは自分が撃った魔法を返され形が保てなくなり、魔石を残し液状化する。
これは、スライムが撃った魔法Lvが低いからだろうか?
MP値が1,000を超えている早崎さんの結界は、普通より効果が高い。
物理攻撃はどうかしら?
ファングボアの突進を受けても結果は壊れなかった。
それを見た茜が結界に向け足蹴りする。
Lv200を超えHPが10,000以上ある妹の蹴りに耐えられず、結界は崩壊した。
この分じゃ、私の魔法でも壊れそう。
結界はLvが上がれば、効果も高くなる魔法のようだ。
「蹴り一発で壊れる結界に意味はあるのか?」
妹はそう言うけど、少なくともファングボアの突進は防げた。
自分を基準にしないでほしい。
「Lvを50まで上げて結界魔法がLv20になれば、役立つと思うよ」
茜は結界魔法の効果を感じないのか、疑わし気な表情になる。
パーティーメンバーは全員Lv50にする心算だから、早崎さんのLv上げを急ごう。
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