【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第781話 迷宮都市 早崎さんの召喚 3 冒険者登録&スキップ申請&結界魔法

公開日時: 2024年5月9日(木) 12:11
更新日時: 2024年8月31日(土) 15:09
文字数:2,140

 早崎さんがLv20になり現在習得出来る全ての魔法を覚えたので、ダンジョンを攻略に行けるだろう。

 冒険者登録をする前に、お昼を食べた方がいいな。

 彼はあかねの旦那さんというだけで異世界召喚してしまったから、ここは私がおごろう。


「早崎さん。お昼は何が食べたいですか? ホーム内の飲食店は全て利用可能だから、好きなお店に連れて行きますよ!」


 彼は私の言葉を聞いて、茜の方を見る。


「遠慮しなくていいぞ。姉さんは金持ちだ」


「えっとじゃあ、お寿司が食べたいです」


「了解」


 お寿司なら、兄達行きつけのお店がいいかな?

 マッピングで店へ移動し、店内のカウンター席に座る。

 電子メニューで注文した物がテーブルの上へ出現したのに、早崎さんはかなり驚いた様子。

 また無人の店内を見まわし不思議そうにしていた。

 本日のお勧めコースを食べ、お腹一杯になった後はいよいよ異世界へ。

 早崎さんに、これから異世界の家に行くと伝え移転する。


「お義姉さん。ここが、もう異世界なんですか? あの……、家の塀が高すぎて外の景色が見えませんが」


 10mもある高い塀で囲われた家の庭で、彼は困惑こんわくしていた。

 

「ちょっと防音対策が必要で、この家の塀は高いの。魔石に血液を登録すれば、外に出られるから大丈夫よ」

 

 彼の親指に針を刺して血液を登録すると、大きな扉が横へスライドする。

 早崎さんは、茜のテイムしたキングレパードに乗り移動。

 目に映る異世界の景色を興味深く見つめていた。

 顔をきょろきょろ動かしたりせず、わずかに視線を向け周囲から浮かないようにしている。

 刑事だから、用心深く行動する習慣が身に付いているんだろう。

 

 冒険者登録する前に、服と武器・防具をそろえておこう。

 今は茜の服を着ているけど、一緒に冒険者をするなら異世界の服が必要だ。

 服屋で新品の服を5着購入して、武器屋に向かう。

 彼が手にしたのは、剣や槍ではなく棒だった。


「それでいいんですか?」


「あぁ私には、この武器の方が向いているような気がする」


 せっかく、剣術Lvが上がったのに棒を選ぶとは……。

 本人がそれでいいなら構わないけど、棒術もあるのかしら?

 ミスリル製の棒に金貨1枚(100万円)支払い、次は防具屋へ。

 ワイバーン製の革鎧を金貨5枚(500万円)で購入し、冒険者ギルトに行った。

 受付嬢へ冒険者登録とスキップ申請を告げると、会議室に案内される。

 それほど待つ事もなく、ギルドマスターのオリビアさんが入ってきた。


「こんにちは。今日は新しいメンバーの冒険者登録とスキップ申請にきました。妹の旦那さんです」


「夫の順一じゅんいちです」


「ギルドマスターのオリビアです。登録用紙の記入は、サラさんがされますか?」


「はい、私が書きます」


 オリビアさんから渡された登録用紙を記入して、冒険者カードを受け取る。

 早崎さんの血液を垂らし返却すると、オリビアさんはカードを機械に通した。

 F級冒険者のカードを早崎さんに渡し、登録料の銀貨1枚(1万円)を払う。

 彼女は毎回、登録料の請求を忘れるから困ったものだ。

 

「スキップ制度は、これから受けられます。ダンジョンに行きましょう」


 ギルド専用馬車に乗り、ダンジョンへ移動する。

 シルバー・ダイアン・アーサーは、馬車に並走し付いてきた。

 オリビアさんの顔パスで、入場料を払わずダンジョンに入る。


「これから、ファングボアとリザードマンを見付けて1匹ずつ討伐する様子を見ます。制限時間はありませんので準備が出来次第、移動を開始して下さい」


 オリビアさんが後方に下がり試験開始。

 討伐対象以外も1人で倒す必要があるけど、地下1階に出現する魔物なら問題ないだろう。

 早崎さんはHP上昇を使用して、素早く移動を始める。

 3匹のファイアースライムに対し、初めて使用する棒を器用に扱い同時に当て倒す。

 飛んでいる吸血コウモリも棒で打ち落としていた。

 本命のファングボアが突進してくると、同時に駆け出し棒を振るう。

 首の骨が折れたファングボアは絶命した。

 リザードマンも同様に倒して試験は合格。

 私達は、もう少しダンジョン攻略を続けるので、オリビアさんに帰ってもらった。


「結界魔法を調べましょう。結界を張って下さい」


 Lv0の結界魔法を早崎さんが唱えると、私達の周囲に見えない結界が張られた。

 そのまま属性スライムの魔法攻撃を受けてみる。

 すると結界が跳ね返した。

 スライムは自分が撃った魔法を返され形が保てなくなり、魔石を残し液状化する。

 これは、スライムが撃った魔法Lvが低いからだろうか?

 MP値が1,000を超えている早崎さんの結界は、普通より効果が高い。


 物理攻撃はどうかしら?

 ファングボアの突進を受けても結果は壊れなかった。

 それを見た茜が結界に向け足蹴りする。

 Lv200を超えHPが10,000以上ある妹の蹴りに耐えられず、結界は崩壊した。

 この分じゃ、私の魔法でも壊れそう。

 結界はLvが上がれば、効果も高くなる魔法のようだ。


「蹴り一発で壊れる結界に意味はあるのか?」


 妹はそう言うけど、少なくともファングボアの突進は防げた。

 自分を基準にしないでほしい。


「Lvを50まで上げて結界魔法がLv20になれば、役立つと思うよ」


 茜は結界魔法の効果を感じないのか、疑わし気な表情になる。 

 パーティーメンバーは全員Lv50にする心算つもりだから、早崎さんのLv上げを急ごう。

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