【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第266話 迷宮都市 リースナーの町へ

公開日時: 2023年3月5日(日) 18:22
更新日時: 2023年8月7日(月) 21:03
文字数:2,486

 リースナーの町に移動して子供達の家に向かう。


 本当はガーゴイルをこの町の子供達にもプレゼントしてあげたかったんだけど、アイテムBOXには5体しか入っていなかったんだよね。


 1ヶ月後、防寒着を持ってくる時に、またダンジョンでガーゴイルを26体(迷宮都市の子供達の家の分も合わせて)収納しておこう。

 

 最初に入ったのは『アーサーの家』と表札が付いている家だ。

 中に入ると留守番をしている少女が1人いた。

 家の中は綺麗に掃除がされて、庭には洗濯物が干してある。


 私との【約束事】を、ちゃんと守ってくれているようで嬉しい。


 リースナーの町から迷宮都市に移動して、1年3ヶ月振りに会う子供だ。

 冒険者登録が出来ない10歳以下の子供は成長が早いなぁ。


 見ない間にすっかり大きくなった。

 この子は以前4歳だったから今は5歳。


 小さい頃に会ったきりだから、私の事を覚えていないかも知れない。


「こんにちは。ナナちゃんは、今日1人でお留守番してるの?」


「えっ? お姉ちゃんだあれ?」

 

 突然自分の名前を呼ばれて、ビックリしたのか少女が不審そうな目でみてくる。

 やっぱり覚えていないかぁ……。


「この家を買った沙良だよ。ナナちゃんがまだ、こんな小さな頃に会ったんだけど私の事覚えてないかな?」


 私は少女が4歳だった当時の背の高さに合わせ、手を下にして表現してみせた。


「あっ! お家を買ってくれたサラお姉ちゃん? 私そんなに小さくないもん! アーサーさんだって、大きくなったって言ってくれるんだよ~。お姉ちゃんは、背が伸びないの?」


 うっ、少女が正直過ぎてダメージをくらったわ……。 

   

「お姉ちゃんは、もう大人だからこれ以上背は高くならないんだよ。今日は、この家に住んでいる人数と年齢を教えてもらいにきたの。余り時間がないから直ぐに帰らないといけないんだけど、1ヶ月後にはプレゼントを沢山たくさん持ってくるから楽しみにしていてね」


「本当!? やった~! え~っと、この家に住んでいるのは10人で、私が5歳、10歳の子が4人、11歳の子が3人、13歳の子が1人、15歳の子が1人だよ」


 教えてくれた通り羊皮紙に記入して、迷宮ダンジョン産のりんごと大きなみかんを人数分お土産に渡す。


「わぁ~、果物だぁ。甘くて良い匂いがするね~。今日の夕食のデザートに皆で食べるよ」


「りんごは大きいお姉ちゃんに皮をいてもらって食べてね」


「うん、ありがとう! またね~、サラお姉ちゃん」


「またね~」


 少女に手を振り返して、次はもう1軒の『アーサーの家』に行く。

 するとそこに、アーサーさん達のパーティーが6人遊びにきていた。


 丁度ちょうど、地上に帰還したタイミングだったらしい。

 子供達の家の様子を見にきてくれていた事が分かって安心する。

 

 保護者になってから数年経つので、留守番組の子供と仲良く遊んでいたようだ。


 本当の父親みたいに、小さな子供を肩車してあげている。

 もう1人のメンバーは、高い高いをして子供を空高く放り上げていた……。


 ちょっと高すぎ(2mくらい飛んでる)な気もするけど、冒険者は肉体Lvが高いから加減が難しいんだろう。

 空中での浮遊感を小さな子供は喜んでるし、怖がってはいないみたいなので大丈夫かな?


 ただ、絶対落とさないで下さいよ!

 その高さから落ちたら、骨折どころじゃ済まないから!


「アーサーさん、お久し振りです!」


「おっ、サラちゃんじゃないか! 本当に久し振りだな~。今は迷宮都市にいるんじゃなかったか? いつも一緒にいるお兄ちゃんはどうした」


「今日は1人でリースナーの町にきたんです」


「おいおい、心配性のお兄ちゃんが良く1人旅を許してくれたな。サラちゃんは美人だから、あんまり1人旅はしない方がいいぞ。ちゃんとした宿に泊まっているのか?」


 リーシャの容姿をめられて嬉しくなった。

 自分の顔じゃないけど、今は私の体なので良いのだ。


「大丈夫ですよ~。迷宮ダンジョンで、これでもトップの稼ぎをほこるパーティーリーダーなんですからね!」


すごいじゃないか! 今は何階層を攻略してるんだ?」


「地下14階を拠点にしてます。リースナーのダンジョンより、魔物の種類も多くて楽しいですよ」


「ダンジョン攻略が楽しいのか!? こりゃ1本取られたなぁ~。俺達はサラちゃん達がいなくなってから、何故なぜかオリハルコンゴーレムが出現しなくなっちまって、今は地下9階を拠点にしている所だ」


 あ~それは、ダンジョンマスターだったあさひを私が召喚した所為せいですよね……。


 ここは知らないフリ・・をしておこう。


「ええ~!! そうなんですか!? じゃあ稼げなくなって大変! ……地下9階で大丈夫ですか?」 


「あぁ、元々地下8階はアンデッド階だったからな。オリハルコンゴーレム以外に稼ぎはないから、地下9階の魔物を沢山狩れば収入は変わらないんだ」


「良かった~、なら大丈夫ですね。今日は、この家に住んでいる人数と年齢を教えてもらいにきたんです。1ヶ月後に子供達の防寒着をプレゼントしにまたくるので、早く帰らないといけなくて余り時間がないんですけど……」


「迷宮都市に行くには馬車で2週間かかるんだろう? 着いて直ぐに、とんぼ返りじゃないか!」


 移転してきたから一瞬だけど、本当は馬車で2週間の距離だった。


 ヤバイっ!!


 家にいるのは子供達だけだと思っていたから、すっかり設定を忘れていたわ。

 若さで誤魔化ごまかす事にしよう。


「若いから体力があるので問題ありませんよ」


「それにしたって随分ずいぶんな強行軍だな。女の子なんだから、あまり無理するなよ。人数だったか、この家に住んでいるのは11人だ。年齢は5歳が2人、8歳が1人、10歳が2人、13歳が3人、15歳が3人」


 言われた通り羊皮紙に記入する。

 子供達とアーサーさんのパーティーに、桃を1個ずつお土産として渡しておいた。


「それじゃ、私は次の家に向かいますね。また1ヶ月後にくると子供達にも伝えて下さい」


「あぁ、貴重きちょうな迷宮ダンジョン産のを6個もありがとな! 子供達と一緒に食べさせてもらうよ」


 流石さすがに冒険者は、ランダムで生るの事を知っているらしい。

 迷宮都市のダンジョン産のは、結構有名らしかった。


 そりゃ1個10万円で買い取ってくれる訳だわ……。

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