【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第672話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(50階) 犯人の追跡 1

公開日時: 2024年1月21日(日) 12:05
更新日時: 2024年5月14日(火) 15:37
文字数:2,336

 ギルドを出て、私はこれからどうしようかと考える。

 敵がまだ36人いるなら、他の階層にも同様の隠れ家があるかも知れない。

 その場所は何処どこ


「お父さん。犯人達がまだ多く残っているみたいだけど、このまま何もせずあきらめると思う?」


「いや、それはないだろう。思った以上に人数が多いから充分罠を仕掛けられる。30階の隠れ家を潰し呪具を回収しておいたのは正解だったな。相手はこちらの動きに気付いている。となると危険をかえりみず一番効果的な方法を選びそうだ」


「それは戦力として高い人間を狙うという事?」


「あぁ、俺だったら迷わずそうする」


「セイさん、SS級冒険者が一番多くいる階層は50階ですか?」


「そうだと思います」


 アシュカナ帝国人が、あくまでも直接冒険者と対峙せず呪具の設置を考えているのなら、被害を最小限に抑える方法がある。

 呪具の効果を発揮するには、魔物が必要な事が大前提だ。

 何もない道端に呪具を設置した所で意味はない。

 冒険者や帝国人が知らない事実を私は知っていた。


 魔物の出現は数が決まっている。

 これは、階層を全滅させた経験があるから分かる事だ。

 普通は1パーティーだけで、出現している魔物を全滅させるのは無理だろう。

 全ての魔物を全滅させると、一定時間魔物は出現しなくなる。

 要は呪具を設置されても、その中に入る魔物がいなければいい。


「お兄ちゃん。ちょっと方法を思い付いたんだけど、聞いてくれる?」


「沙良。今回、俺達は介入しないと決めただろう」


「うん、分かってる。けど何もしないで被害が出るのは嫌なの。大丈夫、危険はないから!」


 そう言って、私は思い付いた方法を皆に話した。


「安全地帯のテント内から、魔物を全滅させるだけか……。それならまぁ、特に問題ないか?」


 話を聞いた兄が考える素振りをみせる。

 

「呪具を設置しても効果がないようにするのはいい方法だな。それなら、敵も動揺しボロを出しやすい」


 父は私の意見に賛成のようだ。


「なに、怪しい人物がおれば儂が捕まえてやるから安心せい」


 シュウゲンさんの頼もしい発言に後押しされ、過保護な兄も承諾しょうだくする。

 そうと決まれば早速さっそく行動しよう。


「じゃあ、50階に移転するね!」


 50階の安全地帯へ到着するなり、素早くテントを設置して中に入る。

 私はマッピングで索敵した魔物を、瞬時にアイテムBOXへ収納していった。

 時間がしいので倒さず生きたままだ。

 10分後、50階層に出現する魔物はいなくなった。

 呪具が設置される前か後かは不明だけど、これで魔物の被害は避けられる。

 後は不審人物を発見するだけという所で3時間経過。


 迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯のテントからホームへ帰り、いつきおじさん達に帝国人が18人捕まった話を伝えた。

 まだ36人の犯人がダンジョン内にいると知ると、樹おじさんの目付きがするどくなる。


「それはそれは……。結花ゆかしずくと2人でも大丈夫だよな?」


「ええ、問題ないわ」


「という訳で、俺も一緒に摩天楼まてんろうのダンジョンへ行くからよろしく!」


 樹おじさんの笑顔が怖い。

 雫ちゃん達は、Lv40になっているから2人でも大丈夫だと思うけど……。

 休憩を済ませ、樹おじさんを連れ摩天楼ダンジョン50階のテント内に戻った。

 私と兄と旭はテント内で待機し、それ以外のメンバーが安全地帯を出ていく。

 樹おじさん以外は、Lvが高いメンバーばかりなので心配はないだろう。

 でも気になるから、マッピングで様子見をした方がいいよね。

 

 私が魔物を全て回収してしまったので、冒険者達は攻略を中止し続々と安全地帯に戻ってきている。

 もし犯人がいるのなら、予想外の出来事で計画に支障が出たはずだ。

 一度、対策を練るため隠れ家へ移動するのではとんでいる。

 私は不自然な動きをしている冒険者を探すのに専念した。

 安全地帯に戻らず、別方向へ移動する冒険者の姿は目立つ。

 シルバー達にも、安全地帯から離れていく冒険者の後を追うようお願いしておく。


 30分後、明らかに動きのおかしい2組の冒険者を発見する。

 シルバーに居場所を伝え、追跡を開始してもらった。

 樹おじさんは騎獣であるフォレストウサギのマリーを迷宮都市の安全地帯へ置いてきたから、現在シルバーに乗っている。 

 動きの変わったシルバーに気付き、メンバー達にハンドサインを送っていた。

 私は犯人達を見付けたと兄達に知らせ、その後の動きをじっと見つめる。


 50階は再び森のダンジョンになっていた。

 犯人達は森の中を迷いなく進み、大きな木のある場所で停止する。

 そして1人ずつ木の中に入っていった。

 どう考えても12人が入るには無理がありそうな木だけど……。

 もしかして、空間魔法で中を拡張していたりするんだろうか?

 洞窟内ではなく木の中を隠れ家にしていたらしい。

 こちらも目くらましの魔法が掛かっているのか、入り口は分からないようになっていた。

 どう伝えようか悩んでいると、後を追っていたシルバーが木を前足で叩く仕草しぐさをする。


 その瞬間、セイさんが火魔法を使い木を燃やし始めた。

 黒い炎がメラメラと燃え上がる。

 これは犯人達もたまらないだろう。

 中に居続ければ蒸し焼きになってしまう。

 うのていで燃え上がる木の中から出てきた所に、仁王におう立ちしたシュウゲンさんと父達が立ちはだかった。

 正体を知られたと気付いた犯人達が一斉に剣を抜き、祖父達へ襲い掛かる。


 12人対5人。

 普通に考えたら、うちのパーティーが不利な状況だけど5匹の従魔を合わせれば数に差はない。

 まぁアイテムBOXに収納する簡単な方法も使えるけど、皆やる気満々だから見守ろう。

 5分後に立っている犯人は1人もいなかった。

 全員が武闘派だしね~。

 特にシュウゲンさんとセイさんにかなで伯父さんは別格だ。

 樹おじさんは活躍出来ず不満そうな表情で、犯人達に縄を掛けていた。

 これで残りは24人。

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