【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第240話 椎名 賢也 57 ダンジョン 地下10階 亡くなった親友との再会 2

公開日時: 2023年2月20日(月) 14:17
更新日時: 2024年1月20日(土) 00:41
文字数:1,889

 最初に動いたのは沙良だった。

 アイテムBOXから手紙を2通取り出すと旭に手渡す。

 旭が俺の方を見たのでうなずいておいた。

 それが一番手っ取り早い方法だろう。

 下手に説明するより何倍もいい。


 俺は先程触れた旭の体に実体がある事で、腕の中で段々と冷たくなっていったのを思い出し、涙がこぼれそうになるのを必死でこらえていた。

 触れた体が温かかった……。

 生きている人間の体温がどれほど嬉しかったか、この親友には分からないだろう。


 火葬されて骨だけの状態になった姿を目にし、俺は一生分泣いた。

 それこそ涙が枯れるんじゃないかと思うくらいに。

 今までずっと思い出を大切に生きてきたんだ。

 一緒に過ごした40年は簡単に忘れられるものじゃない。


 本当は今すぐ抱き締め、生きていると体全体で実感したかった。

 妹の前でそれをすると、盛大に勘違いされそうで思い直したが……。

 絶対、変な想像をしそうだ!

 学生時代の悪夢を再び経験するのは勘弁したい。

 妹に勘違いされるのは本当に困る。

 一度思い込むと訂正させるのが難しいのだ。

 思い込みの激しさは一生直らないだろう……。


 旭が『詫び状』と書かれた封筒を見て表情を変える。

 心当たりがあるのか、素早く封筒から中身を取り出して読み始めた。 


【詫び状】と書かれた封筒

『とても困った事になっている貴方へ

 すべての元凶は私です。

 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。

 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。

 剣と魔法の、ファンタジーである所の異世界です。

 そしてとても残念ですが椎名しいな 沙良さら様48歳は、お亡くなりになりました。

 貴方は現在カルドサリ王国のハンフリー公爵家、リーシャ・ハンフリー第一令嬢12歳です。

 

 リーシャの家庭環境

 母(ファイナ・ハンフリー 享年30 2年前に逝去)

 父(ケンドリック・ハンフリー 33歳 公爵家当主 1年前に後妻と再婚)

 後妻(リンダ・ハンフリー 32歳 継承権なし)

 連れ子(サリナ・ハンフリー 12歳 継承権なし)

 備考※ 現在、公爵は王都に社交のため不在。後妻リンダが領地公爵邸を仕切っており、リーシャは部屋を連れ子サリナに追い出され納屋で監禁生活を送っている模様。(こんな家庭しか用意出来ずに申し訳ありません)


 リーシャ・ハンフリーの能力


【時空魔法】

 ●ホーム 地球世界の椎名しいな 沙良さら様の自宅に移転出来ます。

 家賃・水道光熱費無料。

 今回は慰謝料として、4階建てアパート12部屋すべてをホームとさせて頂きます。

 また、異世界お試し期間で1年間(365日)分の部屋にある全てを(2021年12月24日現在 補充可能 可能な限りでの原状回復済み、更に自宅303号室は追加登録補充可能)補償します。

 レベル10毎に、ホームに出来る箇所が追加可能(最大10ケ所)。

 ●アイテムBOX 容量無限・時間停止。

 ●マッピング 行動範囲を地図に作成。

 ●召喚 地球世界の人間を呼び出せます。ただし召喚した人間は送還出来ません。

 レベル10毎に1人召喚出来ます。

 慰謝料として、現在は1人召喚可能です。

 召喚した人間には、異世界の能力をランダムに3つ与えます。


 この手紙を読み終わり次第、椎名しいな 沙良さら様の肉体は消滅しリーシャ・ハンフリー様に変換されますので、まずは「ステータス」と唱え能力の確認をお勧めします。

 最後に、このような不幸な目にわせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』


【召喚された方へ】と書かれた封筒

椎名しいな 沙良さら様から、召喚された方へ

 すべての元凶は私です。

 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。

 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。

 剣と魔法の、ファンタジーである所の異世界です。

 椎名しいな 沙良さら様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。

 また、異世界の能力3つをご確認下さい。


 椎名しいな 賢也けんや様の能力

 【光魔法】

 ●ヒール 怪我を治せますが、病気を治す事は出来ません。

 ●ホーリー HPを回復したり、アンデッド系を攻撃します。

 ●ライトボール 攻撃魔法。照明代わりにもなります。


 まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。

 最後に、このような不幸な目にわせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』


 手紙を読み終わった旭が目を閉じて溜息を吐く。

 

「あ~、大体事情は把握したけど……。2人共若くなりすぎ! しかも、沙良ちゃん別人だから外国人みたいに見えるよ~」

 

「お前こそ、どうなってるんだ? 俺は葬式にも参加したんだぞ!」

 

「うん、これ読んでみて?」


 今度は旭から封筒を渡された。

 封筒には同じく『び状』と書かれている。

 これは……。

 もしかして沙良と同じ状況なのか?

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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

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