【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第300話 迷宮都市 編み物教室

公開日時: 2023年3月22日(水) 18:05
更新日時: 2023年8月15日(火) 18:50
文字数:2,061

 『製麺店』から『肉うどん店』に戻り、サヨさんにセーターのサイズと色を記入した羊皮紙を手渡した。

 この10人分のセーターは、編み物歴数十年のベテランさんにお任せだ。


 私は母親達のために、店内で着れる『チョッキ』を編む予定でいる。

 営業中は常にお湯がいている状態なので、セーターだと作業がしにくいかと思って。

 編む量も少なくて済むしね。


 午後3時。

 2階にいる子供達を呼んで、そろそろ一度休憩に入ろう。


 私はアイテムBOX内にある以前焼いたカスタードプリン(カラメル無しバージョン)を、ガラスの器にスプーンと一緒に人数分盛り付けていく。


 5歳児にカラメルは少し苦みが強いと思い、無しにしたのだ。

 私はあった方がプリン・・・らしくて好きだけどね。


 母親達には陶器のカップを提供し、紅茶を入れてもらった。


 今日牛乳が入手出来たので、牛乳を使用したレシピがやっと解禁出来る!


 皆さん初めて食べるプリンの味に驚いていた。

 子供達は「美味しい~!!」とすごくはしゃいでいる。


「オーナー、この甘い食べ物は何ですか!?」


 母親達も興味があるのか質問してきた。


「これは『プリン』です。卵と砂糖と牛乳を使用して作る、お菓子ですね」


「私、初めて食べましたけど、頬っぺたが落ちるかと思うくらい美味しかったです!」


 それは良かった。

 この世界にデザートはほとんどないからね。


 甘味は主にドライフルーツから取るのが当たり前で、生の果物は余裕がある家庭しか食べられない。


 今回使用したのは日本の卵に砂糖と牛乳なので原価は安いけど、異世界の卵は1個200円、砂糖はそもそも精製された物がないし、牛乳は迷宮都市に売ってないから作るのは難しいだろうなぁ。


 サヨさん達にはボランティアとして、月~土曜日の午後から毎日労働力を提供してもらっている。

 対価として渡すには安すぎるけど、異世界にはないデザートなので喜んでくれるだろう。


 30分程休憩をしたら皆さんは続きを編み出す。

 私は食べ終わった食器を回収して母親達と一緒に洗い物。


 子供達は2階の部屋に戻って仲良く遊んでいる事だろう。

 編み物教室が始まってから、母親と一緒にいられなくなり我慢をさせてしまってごめんね。


 まだ小学1年生にもならない子供達は、母親の邪魔になる事を決してしない。


 環境がそうさせているのだろうけど、聞き分けが良い子に育つのは子供本来の我儘わがままな部分がなくて可哀想かわいそうだと感じてしまう。


 異世界の子供達は、日本の子供より大人になるのがとても早い。

 10歳で冒険者登録しお小遣い稼ぎをするので、純粋な子供時代は少ないのかも知れないな。


 夕方5時になると本日の編み物教室は終了だ。

 帰り際、サヨさんに明日の予定を聞いて教会の炊き出し後に会う約束をした。


 ホームの自宅に戻って夕食作り開始。

 

 兄達は、今日もジムが終わった後で2匹と遊んでくれている。

 マッピングで居場所を確認すると、近所の小学校のグラウンドにいた。


 地面が土なので、アスファルトで出来た場所を避けた結果だろう。

 速く走る時、足の裏に負担がかかるからね。 


 それにしても、このマッピング機能は使い所が難しい。

 ホームの半径35km以内は全て3Dで見えるので、隠し事がバレてしまうからだ。


 勿論もちろん兄達の部屋はプライベート空間なので、のぞかないようにはしているけれど……。


 もしそういう場面を見てしまったら、気まずい事この上ない。


 ただ以前、兄の部屋に呼びに行った時、卵型のインテリアが急に増えていた事があり、何だろうと思わず内部構造を見てしまった事があった。


 最初は、お洒落しゃれなランプか置物かと思ったんだけど……。

 うん、まったく違ってビックリしたよ!


 そして旭と一緒に住むようになってから更に増えた……。

 いや~、若いって大変だね~。

 

 そんな感想を抱きながら、今日はカキフライを作る事に決める。


 まずはポテトサラダを作り、キャベツを千切りにし水にさらしておく。

 付け合わせのナポリタンは、アイテムBOXに収納してある作り置きの物を使用すれば良い。


 生ガキを大根おろしで洗いゴミと臭みを取って、油ねしないようにキッチンペーパーで水気をよくき取る。


 衣をつけたら準備完了。

 フライは熱々の状態で食べるのが美味しいので、兄達を迎えに行こう。


 小学校のグラウンドに移転すると、直ぐにシルバーが気付いて駆け寄ってきた。


 あ~もう本当に可愛いんだから。

 頭をでちゃいますよ!


 フォレストの方を見ると、兄と一緒にフリスビーで遊んでいた。

 もしもし? フォレスト?


 ……ご主人様は、ここにいるよ?


 そしてネコ科なのに、フリスビーを空中でキャッチ出来るんだね。


 これはシルバーが教えてあげたのかな?


 最初に遊んだ時は地面に落ちた物をくわえて持ってきたから、遊び方を説明してあげたのだ。

 今では、お気に入りの遊びのひとつになっている。


 兄はフォレストがフリスビーをキャッチして帰ってくると、首の辺りをでてあげていた。

 フォレストも嬉しそうに喉を鳴らしている。


 え~っと、そろそろ私に気付いてほしいんだけど……。

 何故なぜだ、フォレストが私より兄になついている!


 毎晩テントで一緒に寝た効果が、もう現れているの!?

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