【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第206話 椎名 賢也 23 ダンジョン 地下1階 沙良を狙う冒険者達の末路

公開日時: 2023年2月3日(金) 12:05
更新日時: 2023年3月17日(金) 18:40
文字数:2,831

 翌日火曜日、夜9時。

 冒険者ギルド出発の乗合馬車に乗ってダンジョンへ向かう。


 俺達の2つ後の馬車に例の4人組冒険者が居た。

 今日も夜間にダンジョン攻略をするらしい。


 沙良は今の所、何も気が付いていないようだ。


 ダンジョンに到着後、入場料の銀貨1枚(1万円)を支払い中に入る。

 ここから安全地帯までは、沙良がマッピングを使用して人が居ない場所の魔物を狩っていく。


 少し後から付いてきている4人組冒険者は、どう頑張っても追いつく事は出来ないだろう。


 何事もなく安全地帯に到着。

 マジックテントを設置してホームの自宅でトイレ&休憩。


 テントから出て再び攻略開始だ。


 俺達がテントから出るのを確認して、4人組冒険者も少し離れて後を付いてきた。


 悪いが沙良は常にマッピングを使用して、人気のない場所を移動している。

 お前達がどれだけ後を付いてきても、邪魔な人間だと思って引き離されるだけだぞ。


 しかも俺達は高いHPのお陰で、体力が地下1階を攻略している冒険者の何倍もある。

 攻略速度も、ほぼ魔法を使用しているので段違いに速い。


 後を追おうとすればする程、体力の限界にいどむ事になるだろうな……。


 3時間後。

 安全地帯に戻ってテント内に入りホームの自宅でトイレ&休憩。

 今回はテントの外に出て紅茶を飲む。


 女性ばかりの安全地帯で接触するのは目立つため、4人組冒険者も動かない。

 

 紅茶を飲み終えたら再び攻略開始だ。


 また、少し離れた場所から付いてきているな。

 ご苦労な事だ。


 沙良は覚えたての魔法を撃ちまくって、Lv上げを楽しそうにしている。

 魔法を覚えてから攻略速度が速い速い。


 魔物を見付けては魔法で瞬殺しているので、移動距離も相当多いだろう。


 3時間後。

 安全地帯に戻ってテントの中に入りホームの自宅でトイレ&食事だ。

 

 今日は唐揚げ弁当だった。

 唐揚げの他に、卵焼き・法蓮草の胡麻和え・ポテトサラダが入っている。

 あさりの味噌汁と一緒に、ご飯を3杯食べた。


 冒険者がダンジョン内で食べる食事とは、かなりの差がある。


 テントから出て最後の攻略開始だ。

 

 おや?

 

 金魚のフンよろしく、後を付いてくるのはあきらめたのか?


 違うな……、これはどうやら先回りをして待ち伏せしているんだろう。

 地下1階の地図を調べた所、待ち伏せしやすい箇所が2つ程あった。


 けれど待ち伏せが有効なのは、確実にその道を俺達が通る事が前提だ。

 隠れている心算つもりでも、沙良のマッピングにはしっかりと映っているので回避されるだろう。


 俺達が来ない場所で延々と待っていてくれ。


 最後の攻略も無事終えて、翌朝5時にダンジョン前から乗合馬車に乗って冒険者ギルドへ。

 今日も大量の魔物を換金する。

 

 ホームの自宅に戻り就寝。


 翌日夜9時。

 再びダンジョン攻略開始。

 4人組の冒険者の姿は無い。


 後を追いかけても待ち伏せをしても、俺達と接触出来ないので方針転換をしたんだろうか?


 安全地帯に着くとやはり居た。

 かなり強い視線を感じる。


 さて、今日はどう出てくるか……。


 マジックテントの中に入り、ホームの自宅でトイレ&休憩。


 テントから出て攻略開始だ。

 4人組冒険者は動かない。


 どうやら昨日1日俺達の後を追いかけて、ダンジョン内で接触するのは無理だと気が付いたのだろう。


 3時間後。

 安全地帯に戻ると、俺達のテントのそばに自分達のテントを張ったようだ。


 周りは女性達ばかりで、ものすごく浮いてる自覚はあるのか?

 以前からいた男性冒険者とは、明らかに質が違う雰囲気だ。


 周り全員から、4人組冒険者はマークされていた。


 テント内に入りホームの自宅でトイレ&休憩。

 テントから出ると直ぐに攻略開始だ。


 基本的にテントの外で休憩するのは、1日の内1回のみ。

 食事はホームの自宅で食べるので、テントの外での休憩は紅茶を飲むわずかな時間だけだ。


 テントの外で休憩すると思っていたんだろう。

 4人組冒険者は、えっ? という顔をして何も出来ずに俺達を見送る。


 3時間後。

 安全地帯に戻ると4人組冒険者が食事をしている所だった。


 テント内に入り、ホームの自宅でトイレ&食事をする。

 今日のお弁当はオムライスだった。

 他に野菜サラダと、ピーマンとウインナーをいためた物が付いている。


 ナポリタンが好きな俺は、当然ケチャップ味のオムライスも好物だ。

 オムライスの上に、ケチャップで描かれたハートマークに思わず笑ってしまう。


 沙良の方を見てみると星マークが描かれている。

 マークを別にしたのは何か意味があるんだろうか?

 

 バターの風味がよい特大オムライスを完食して、安全地帯のテント内に戻る。


 俺達がテントから出て直ぐに攻略を開始するのを見て、4人組冒険者は苛立いらだちを隠せないようだ。


 最後の攻略を終えて安全地帯に戻ってくると、明らかにイライラしている4人組冒険者の姿が見える。


 これは、冒険者ギルドから帰る際を狙ってきそうだ。  

 

 テント内に入ってホームの自宅でトイレ&休憩。

 マジックテントを沙良がアイテムBOXに収納して、ダンジョンを出る。


 ダンジョンから後を付いてきているのを横目で確認し、さて落とし前はどう付けようかと考える。


 昨日1日ずっと後を付けられ、今日は安全地帯で見張られていた。

 気分が悪いなんてもんじゃない。


 こいつら、もしかして奴隷商とつながっている冒険者か?

 沙良を奴隷として売り飛ばす心算つもりなのか?


 そうでなくても、良からぬ事をたくらんでいるのに違いない。

 後顧こうこうれいを断つために、悪いが2度と接触出来ないようにさせてもらう。


 冒険者ギルドで換金した後、沙良が人気のない路地へと歩き出した。

 移転する姿を見られないようにだが、4人組冒険者にとっては絶好の機会だったろう。


 俺は4人組冒険者に視線が通っている事を確認し、相手より先に事を起こした。


 針くらいの細さにしたライトボールを、4人組冒険者の延髄えんずいに撃ち込む。

 全員が地面に崩れ落ちた事を確認して、ホームの自宅に帰った。


 悪事を働くからには、それなりのリスクを負う覚悟があるはずだ。

 自分だけは大丈夫、なんて思っているのなら考えが甘い。


 今回は自業自得だろう。

 

 俺は全身麻痺状態にしてやっただけだ。

 しかも路地裏で人気のない場所に放置されていれば、その後の末路は目に浮かぶ。


 今頃は路上生活者に、身ぐるみがされている事だろう。


 俺にとっては沙良の身が一番大切だ。

 その安全をおびやかす存在は排除はいじょさせてもらう。

 

 この事は俺だけが知っていればいい。

 沙良には死ぬまで秘密だ。


 旭、俺は異世界で妹を絶対に守ると誓ったんだ。

 お前なら分かってくれるだろう?


 この世界は人の命が簡単に失われてしまう。

 法の整備もされていない状態なんだ。


 沙良に近付く人間は、この先もっと増えていくだろう。

 その度に俺は医者とは真逆の行為をする事になるが、後悔はしない。


 最後まで守り抜く事が出来たら、お前に良くやったと言ってもらいたいな……。


 人を傷つけた事に痛む胸を押さえながら、今日の事は絶対に忘れられないだろうなと思う。


 沙良……。

 俺は自分の信念を曲げても、お前を守ってやりたい。


 どうか妹に知られる事無く、この先も無事でいられますように……。

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