夕食後。
偽装工作のために、まず旭とシルバーを地下14階の安全地帯のテント内に送り返す。
最近はシルバーと一緒に宿泊しているからね。
続いて兄とフォレストを地下14階の安全地帯付近に送り、安全地帯に帰ってテント内で宿泊してもらう事にする。
私は1人でテント内に居る事にすれば問題ない。
序に出現していた迷宮タイガーを2匹倒して収納する。
兄達がダンジョンで宿泊するようになってから、私達の6人用マジックテントは3個設置済みだ。
3人パーティーなのに、6人用のマジックテント3個を設置したらアマンダさんとダンクさんに呆れられたけど……。
もしシルバーとフォレストをテント外で休ませている間に、誰かに危害を加えられたらと心配なのでマジックテントは必要だ。
テント内は登録者以外が入れない仕組みになっているので、防犯設備としては日本より優秀な魔道具と言っていい。
鍵は開ける事が可能だから本当の意味での防犯は難しいと思う。
実際、私は過去に不在時、空き巣に入られた事がある。
仕事から帰ってきた時に部屋の鍵を開けようとして、開いている事に気が付いた時は心底ゾッとした。
玄関は電気がつけっぱなしになっており、廊下には土足で誰かが上がり込んだ靴跡が残されている。
心臓がバクバクした状態で、部屋の中を確認すると全ての引き出しが開けてあった。
自宅に現金は一切置いていなかったので、盗まれた物は過去の恋人にプレゼントしてもらった貴金属と何故か未開封のカルーアミルクとそれを入れる手提げ袋だった。
私は直ぐに警察に連絡をして被害状況を伝えた。
鑑識の人が何人も来て家中の指紋や残された靴跡を調べるのに1時間程かかった。
犯人から除外するために、犯罪者でもないのに指紋を取られた時は複雑な心境だったよ。
同じアパート内で3件が被害にあっていたので、集団窃盗団だろうと警察の人は言う。
多分盗まれた物は戻ってこないと思いますが、その後の結果は犯人が捕まり次第連絡しますと言って帰っていった。
女性の1人暮らしで怖かったので、直ぐに〇コムを付けましたよ!
でも後で考えてみれば、あの時玄関が開いていた時点で部屋に入るのは無謀だった。
まだ部屋の中に犯人がいる可能性もあったのだから、空き巣に入られた時点で警察に連絡しないといけなかった。
幸い犯人は部屋に居なかったので事なきを得たけど、次回(無い事が望ましい)同じ被害にあった時は対応を間違えないようにしたいと思っていたんだけど……。
今は私達以外無人のホーム内では、防犯がなくても全く問題なかった。
攻略2日目。
兄達を迎えに行って自宅で朝食を食べる。
朝食のメニューは、法蓮草と卵のバター炒め・キンピラ・ししゃも・オクラ納豆。
茄子の味噌汁&ほうじ茶と一緒に頂きます。
ししゃもは昔、よく朝食にお母さんが焼いてくれた。
昔に比べると、最近は小さくなって入っている卵も少なくなったような気がするのは私だけ?
北海道の本ししゃもは高すぎて買えない……。
いや今なら購入出来るかも知れないけど、ネットが繋がってないから北海道物産展がいつ開催されているか分からない。
マッピングで常時覗いて調べれば分るかも?
あぁ海鮮丼が食べたくなってきた。
いつも百貨店の北海道物産展に行くと試食しまくってたけどね~。
ホームでそれぞれのテント内に送り安全地帯に出ていく。
アマンダさんダンクさんが心配そうな顔をし挨拶にきてくれた。
2週間連続で体調を崩した事になっているので、娘のような歳の私の事を思ってくれているんだね。
実際の年齢は逆だけど……。
「もう大丈夫です!」
と元気な様子を見せておく。
アマンダさんが、昨日起こった事を眉間に皺を寄せて話し出した。
「そう言えば、昨日もまたキングビーの毒針に刺された冒険者が居たよ。見ない顔だったから他領から来たやつらだと思うけどさ。なんかサラちゃん達が、ここで治療している事を知っていて当てにしていたみたいだったね。最後は派手に揉めて安全地帯から出ていったよ。最近、王都から来た『白銀の剣』といい他領から来る冒険者の質が悪いね。サラちゃん達も、巻き込まれないように注意するんだよ」
いやもう既に思いっきり巻き込まれた後です……。
「分かりました。知らない人に会ったら気を付けますね」
「お兄ちゃんが、サラちゃんに手を出すやつは片っ端からやっつけてくれるだろうから安心しな。まぁ隣の旭は……多分守ってくれるだろうよ」
旭の存在、薄っ!
まぁ一緒に討伐している訳じゃないから、無双している旭の事を知らないのも無理はない。
きっと優秀な治癒術師としてしか見られていないんだろう。
さて第1回目の攻略開始。
兄はフォレストに騎乗し地下11階まで上がり果物採取。
旭は迷宮ウナギの討伐。
私は果物と薬草採取だ。
本当に自由すぎるよ、このパーティー!
シルバーの背に乗って、トレントの森へ向かう。
途中で地下13階に移転してハニーを呼ぶと直ぐに来てくれた。
そう言えばハニーのコロニーが48匹になっていたけど、あれは私の従魔扱いなんだろうか?
ハニーにコロニーの仲間を呼んでとお願いしたら、48匹のキラービーが集団で降りてきてビビった。
敵意のようなものは感じないので、私にテイムされたハニーのコロニーは眷属扱いとなりそうだ。
言葉が通じるかしらと思いキラービーに1回転してみてとお願いしたら、48匹が一斉に回転したので直接テイムした訳じゃないけど言葉は理解出来るらしい。
何故、蜜蜂の体型をしているのにハニービーは蜜袋が体内にあるんだろう?
これだけのキラービーが居たのなら養蜂で蜂蜜が沢山採れたのになぁ~。
これからもコロニーは増えていきそうね。
やっぱりハニーだけは、ホーム内で一緒に生活するのは無理みたい。
体長2mもある蜂の集団は迫力満点だった。
ただ、迷宮都市のダンジョンを攻略した後でハニーとコロニーをどうしたら良いものか……。
次のダンジョン内に、皆を連れてマッピングで引越しする?
その頃にはハニーがクインビーに進化していると思うけど、コロニーの仲間は自動的にキングビーに進化するのかしら?
普通テイムされた従魔は、サヨさんから聞いた話に依ると進化はしないらしいので分からないのだ。
迷宮都市にまだ数年は居るから、その時になったら考えよう!
余り数が増えないといいんだけど……。
ハニーは自分のコロニーを私に見せて、少し得意げにしている。
可愛いから頭を撫でてあげるね。
ハニーだけLvが30なのは、コロニーの人数に左右されるのかも知れないな。
ハニーを連れてトレントの森へ移転する。
流石に48匹を地下14階に連れて行く事は出来ないからごめんなさい。
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