【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第298話 迷宮都市 優雅なランチ

公開日時: 2023年3月21日(火) 20:59
更新日時: 2024年1月10日(水) 23:49
文字数:2,164

 自宅に戻ってダイニングに行くと、テーブルの上に置いてあった2人分の朝食はなくなっており食器も片付けられていた。

 旭の書いたメモ書きが残されている。


『沙良ちゃん、朝食ありがとう。豚汁美味しかったです! 賢也とジムに行くので、昼食は用意しなくて大丈夫だよ。8:45 旭より』


 豚汁の鍋を見てみると、量が3分の1まで減っている。

 どうやら2人ともお代わりをしたらしい。


 味噌汁を作る時とは違い、豚汁はカレーのように大量に作った方が美味しいので10人分を作っておいたのだけど……。


 残りはアイテムBOXに収納しておこう。


 さて、私のお昼ご飯はどの店で食べようかしら?

 兄には内緒だけどLv35あるので、自宅から35km以内の飲食店にマッピングで行く事が可能だ。

 

 兄のマンション近くに、美味しいフレンチのお店があると聞いた事がある。

 あの周辺は高額所得者が多く住むから、お洒落しゃれなお店も多い。


 場所はどこだったかな~?

 確かお店の名前は……と考えながら、兄のマンション周辺をマッピングで拡大しながら見ていく。


 店の看板に視点を変えて見続けていると、目的のお店を発見する事が出来たので移転する。

 

 店内に入るとカウンター席とテーブル席に分かれていたので、誰もいないテーブル席に着いて電子メニューを開く。

 ランチコースがA(2,000円)・B(3,000円)・C(4,000円)と3種類あった。


 お肉と魚料理どちらか1つ選べるのがAコース。

 両方とも付いているのがBコース。

 Bコースに更にメインを1品追加出来るのがCコースだった。


 リーシャの体は量を多く食べられないので今回はAコースで、メインはたい香草こうそう焼きにした。

 他に前菜・スープ・サラダ・デザート・飲み物が付いてくる。


 当然のように電子メニューには「《お任せ》・《お好みで》・《タイミング》」が表示されていた。

 ここに旭はいないので《タイミング》をタップする。


 これでやっと本来の優雅な食事が出来るよ!


 テーブルに出現した前菜は色鮮やかで、どれを食べても新鮮で美味しい。

 スープは南瓜かぼちゃのポタージュで、これも味が濃厚で幾らでも入りそう。 


 メインのたい香草こうそう焼きは、身が厚くて充分な食べ応えがある。

 皮目はパリパリ身はふっくらジューシーで、掛けられた岩塩と非常に合う。

 

 最後に出て来たデザートは濃厚なフォンダンショコラで、ブラックコーヒーを飲みながら幸せな気分でランチを食べ終えた。


 これが本来の外食だよ!

 もし今回《お好みで》を選んだら、どのメニューを自分で作る事になったのか想像もしたくない。

 

 鯛の香草焼きは確実としても、南瓜のポタージュやデザートのフォンダンショコラを作れと言われたら泣いてたよ。


 ポタージュは作るのに時間がかかり過ぎるし、フォンダンショコラはそもそも作った事がない。

 デザート系は余り手を出してないから、作れる物が少ないんだよね。


 簡単に出来るプリンとかゼリー系、ドーナツ・クッキー・パウンドケーキくらいかしら?

 後はケーキ専門店の物を購入すれば良いのだ。

 

 ランチメニューで2,000円なら、このお店は正解だった。

 次回はメインを肉に変えて食べにこよう。


 私は優雅なランチに満足して異世界に移転した。

 魔道具屋に行って、マジックバッグ30㎥金貨410枚(使用者登録付き)を3個追加で購入する。


 12億3千万円もしたけど、アイテムBOX内にある大量のトレントを換金するのに必要だからね。

 毎週マジックバッグ4個分のトレントを換金すれば、いずれ元は取れるだろう。

 

 道具屋の店主が再び高額商品を追加で購入した事に感謝して、またマジック寝袋を3個おまけしてくれた。


 最近は兄と旭がマジックテント内で使用しているから、マジック寝袋をおまけしてもらって嬉しい。

 こういった物は消耗品のため、ある程度使用したらまた購入する事になるからね。


 まぁ旭の方は、どれだけシルバーと一緒に寝てもテイム魔法を習得出来そうもないので、ダンジョン攻略中の数年は1人寝が続きそうだ。


 ちなみにこれ以上入るマジックバッグは、迷宮都市には売ってないみたい。

 マジックバッグ50㎥やマジックバッグ100㎥は、摩天楼まてんろうの塔のダンジョンがある都市で購入出来るらしい。


 100階層もあるダンジョンなので、塔を攻略しているのはA級やS級の冒険者ばかりだ。


 魔道具屋にも高額商品が置いてあるんだろう。

 他にも私の知らない便利な魔道具があるかも知れないなぁ。

 お店をのぞいてみるだけでも楽しそう。


 やっぱり攻略に行きたい!

 A級冒険者になるまで10年は、ちょっと長すぎない?


 それだけA級になるための資格を難しくしているって事は、A級以上じゃないと入れないダンジョン攻略はベテラン勢じゃないと厳しいのかもね~。


 一体、どんな魔物が出てくるんだろう?

 そして海の階層はあるんだろうか?


 大きな蟹や海老の魔物がいたら嬉しいんだけどなぁ~。

 海老、大好きなんだよね!


 兄も蟹が大きければ、ちまちま食べる必要がないので喜ぶと思う。

 蟹味噌もたっぷり入っていると更にお得だ。


 まっ、現在B級冒険者の私達じゃ攻略するのは無理なんだけど……。

 食材を探しに内緒で夜間攻略しに行っちゃ駄目かしら?


 兄の大激怒する様子を思い浮かべて無理だとさとった。

 これがバレたら大目玉どころの騒ぎじゃない気がする。


 延々と続くお説教に、心が折れている自分を想像してゲンナリとしたのだった。

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