【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第204話 椎名 賢也 21 ダンジョン 地下1階 初めての治療

公開日時: 2023年2月2日(木) 12:07
更新日時: 2024年1月8日(月) 12:37
文字数:2,189

 日曜日の午後。


 今日も休暇の予定で俺は本屋に行こうと思っていたが、沙良が収入も増えたし防具を新調したいと言うので俺の分も新しくする事にした。


 C級冒険者になったんだから、いつまでもボアの革鎧・大人用銀貨7枚(7万円)は無いだろう。


 俺は一度、身長が20cm伸びたので大人サイズの物に変更しているが、沙良は身長がずっと同じだったので最初に購入したボアの革鎧・子供用銀貨5枚(5万円)のままだ。


 防具屋に入ると、ミリオネの町とは品揃しなぞろえが違っていた。

 ダンジョンの魔物製が幾つか増えている。


 その中でも、沙良はリザードマンの革鎧(銀貨15枚~)を選んだようだ。

 俺も同じ物を注文し銀貨20枚(20万円)で購入する。


 沙良の分は店頭にサイズが置いてないため、注文となるらしく金額は銀貨10枚(10万円)と俺の半額になった。


 安くなったんだから何時いつもはお得になったと嬉しがるはずなのに、金額を言われて微妙な顔になっている。

 背が小さい事を最近知り合った女性冒険者に言われてばかりなので、納得しがたいのだろうか?


 隣で笑っていると、不意に脇腹にエルボーを食らった。

 沙良もLvが上がって力も強くなっているので、かなりの衝撃を受ける。


 女性に年齢と体重の話をするのは禁句だが、俺の妹には身長・・に関する事もタブーだったようだ。


 お兄ちゃん、もう少し手加減してほしかったよ……。

 

 後でこっそりヒールを掛けておこう。

 多分あざになっているだろうからな。


 週明けのダンジョン初日。

 安全地帯に到着すると怪我をしている女性がいた。


 同じパーティーメンバーは、何もしないで怪我をした女性の周りを囲んでいる。


 何やってるんだ!

 右手の骨が見えてるじゃないか!


 俺はすぐさま怪我人のもとへ駆けつけると、痛みで舌をまないように口に棒をませる。


「しみますよ、我慢して下さい」


 そう言って、傷口にウォーターボールで水を大量に掛けてから治療した。

 わずか数秒で、骨の見えていた右手は傷がふさがり綺麗な状態になる。


 相変わらず、出鱈目でたらめな効果の魔法だ。 

 どういう原理なのか、さっぱり分からない。


 治療した女性に手を取られて、テントの中まで連れて行かれる。

 その際、後ろに居る沙良を気にしているようで一度振り返って視線を送っていた。

 

 ?

 

 服を着たままじゃ分からない部分に、怪我でもしているんだろうか?


 安全地帯には少ないが男性もいる。

 外で服を脱ぐのは恥ずかしいのだろうと思い待っていると。


 何とその女性は、全ての服と下着を脱いで全裸になってしまった!

 しかも、見える部分に傷は1つも見当たらないじゃないか!!


 俺は一瞬で事態を把握し、次いで怒りが込み上げてきた。


 日本での治療は医者として当然仕事の報酬を受け取っていたが、異世界に来てから治療行為にお金を受け取った事など一度も無い。 


 ましてや性接待を受け取る事は、治療行為を冒涜ぼうとくされた様で非常に気分が悪い。

 

 そんな事をされるために医者になったんじゃない!

 

 俺は無言のまま、憤慨ふんがいしてテントから出た。


「何かあったの? 他にも怪我してた?」


 心配そうに沙良に問い掛けられたが、その場で話す内容じゃないので、 


「テントの中に入ってから話す」


 と言って自分達のテントに入ってから何があったか話す事にした。


 俺の話を聞いて、沙良は状況を確認した後に納得している様子だった。


 医者になった理由も、その後にどうやって医者になったのかも知っている妹は、何も言わずただポンポンと軽く肩を叩く。


 一応、慰めてくれているらしい。

 

 その後、沙良が仲良くなった女性冒険者に詳しく話を聞いた所にると、地下1階でのダンジョン内の治療代は使用するポーションの金額×3倍となるそうだ。


 今回のような怪我の状態だとハイポーション(銀貨6枚)では治らずエクスポーション(銀貨30枚)が必要になるため、3倍の銀貨90枚(90万円)支払う必要がある。


 光魔法を使用出来る冒険者は少なく、MP消費も多いので無料でする事は無い。

 その治療のお礼として性接待は普通の事らしい。 


 1回の治療に90万円。

 手術並の値段だ。


 魔法を使用したら、ほんの数秒で治療出来るのに……。

 それが一般的な治療代で、お礼の仕方だと言われたら納得するしかないのか?


 確かに回復魔法を持っているだけで、ダンジョンでの攻略は安全性が増すだろう。

 ポーション類も売ってはいるが、決して安い物じゃない。


 地下1階を拠点とする冒険者には痛い出費となるだろう。


 ただダンジョンの攻略を中止して地上に帰還し、治療院や教会で治療を受けるとなるとその日の収入は無くなるだろうし、地上に帰還する間に怪我の状態によっては最悪命を落とすかも知れない。


 ダンジョン内で、該当するポーションの3倍を払っても治療を受けたい冒険者は多いみたいだ。


 ヒールのMP消費はLv0で5。

 属性魔法はLv0で1。


 光魔法はMP消費が高い。

 現在俺のヒールLvは5で、MP消費は50だ。


 この世界の冒険者は10歳で冒険者登録をしてLvUPするので、初期値が10となりMP値は少ない。

 パーティーメンバー以外に、無料で魔法を使用する事は難しいのか……。


 だからと言って性接待をする必要は無いと思う。

 好きでもない相手と、怪我を治してもらったお礼にする行為では割に合ってない。


 それとも異世界は性に開放的な文化なのか?


 どうにも、もやもやとした気持ちを抱えながらダンジョンを攻略していると、槍持ちのリザードマンを見付けた。


 お前か!?

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