【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第617話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ23(摩天楼のダンジョン30階)&宝箱出現!

公開日時: 2023年11月27日(月) 12:05
更新日時: 2024年3月19日(火) 15:22
文字数:2,258

 月曜日。

 今日から5日間またダンジョン攻略。

 階段へ一直線に、地下1階から地下11・・階まで駆け抜ける。

 兄&フォレストと別れ、私達は再び地下11階から地下15階まで駆け抜けた。

 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。


 王都のダンジョンで呪具が設置された件は、既に冒険者達の知る所となっていた。

 冒険者ギルドの壁に事件内容が貼り出してあったからだ。

 ギルド間は通信の魔道具で遣り取りが出来るから、情報も早く連絡が入ったのだろう。

 迷宮都市に引き続き2度目の呪具の設置に、アマンダさんもダンクさんもいきどおりを隠せない様子。

 また犯人が捕まった事や、教会の司教が関与していた疑いがあるとも書かれていた。


 今回の件で、教会の立場は悪くなるだろう。

 組織的にアシュカナ帝国とつながっているのをあばけるといいけど……。

 きっと、そうはならないだろうなぁ。

 こういった場合は、司教だけが切り捨てられるのがお約束だ。

 ただ、それでも大きな波紋を生むには違いない。

 特に被害を直接こうむった迷宮都市と王都の人間は、教会に疑いの目を向ける事になる。

 王都にいたと言えないため、私は「犯人が捕まって良かったですね」と話を合わせておいた。


 午前中は、いつもの薬草採取と地下16階の果物採取。

 午後からは、かなで伯父さんとセイさんと一緒に摩天楼まてんろうのダンジョン30階の攻略だ。

 そして今日は攻略を始めて30日目になる。

 丸を付けたカレンダーを見ながら、私は朝からウキウキしていた。

 ダンジョンで宝箱が出ないと知り、ずっと残念に思っていたからね。

 父とセイさんが安全地帯から攻略にいくのを見送り、私はテント内から宝箱をマッピングで探していく。

 出現場所が分からないから、この階層全てを確認する必要がある。

 と言っても半径10kmくらいの広さなので、そう時間は掛からないだろう。


 しばらくすると、ポチがテント内に入ってきた。

 いつもは父の肩に止まり攻略をするんだけど、どうしたのかしら?

 ヨロヨロと歩いているように見える。

 これは魔力切れの状態かな?

 私はハイエーテルを出し、ポチに飲ませてあげた。

 すると元気になり、テントから出て父のもとへ飛び去っていく。

 毎週、迷宮都市と摩天楼のダンジョンを往復するポチも大変だなぁ。

 奏伯父さんは、従魔にポーションが効く事へ驚いていたようだ。

 テイム出来る人間は少ないので、従魔の生態を知る機会はないんだろう。

 この摩天楼のダンジョンを攻略しているA級以上の冒険者パーティーでさえ、従魔がいるのは本当に極僅ごくわずかだった。


 さて宝箱は、どこかな~?

 雪が降っている階層で景色は白いから、宝箱の色によっては簡単に見付かると思うんだけど……。

 1時間後。

 魔物を倒しアイテムBOXへ収納しながら、金色に輝く宝箱を発見した!

 何だかサイズが小さいような?

 アイテムBOXに収納した宝箱をテント内で出してみると、1辺が30cmくらいの正方形だった。

 

「奏伯父さん。宝箱って、こんなに小さいの?」


「いや、俺が見付けた時はもっと大きかったが……。宝箱の色は青だった」


「疑問なんだけど、誰かが先に発見したりしないのかな?」


「あぁ、それはない。30日攻略したパーティーにしか、宝箱は発見出来ないようになってるからな」


 へぇ~、ダンジョンは相変わらず不思議が一杯だ。


「大きいより小さな宝箱の方が、良い物が入っているかも知れないね!」


 宝箱の色も金だし、これは期待大だ!

 父達が帰ってくるのを私はそわそわ待つ。

 2時間後。

 2人がテント内に戻ってきた。


「お父さん。宝箱見付けたよ! 私が開けてもいい?」


「おっ、金色かぁ~。何が入っているか楽しみだな。開けてもいいぞ」


 父に了解をもらい、セイさんを見るとうなずきを返された。

 じゃあここは失礼して、私が宝箱を開ける役目をさせて頂こう。

 ゆっくりとふたを開けると、そこには……。

 私は中身を確認した瞬間に、速攻で蓋を閉じた。

 その行動をいぶかしんだ父が宝箱に手を掛け数秒後、同じように蓋を閉める。


「えっと、私も確認していいですか?」


「どうぞ……」


 私と父の落胆した表情を見て、セイさんが躊躇ためらいながら宝箱を開け固まった。


「あ~、これは……」


 と言ったきり、苦笑している。

 30日間待った宝箱の中身が、ゴールドのビキニとブーメランパンツ2枚ってどういう事よ!


「ちなみに性能ですが、身に着けると全ての魔法攻撃を跳ね返すとあります。ただし、これ以外を着た場合、効果はなくなるそうです」


「……」


 雪が降る階層で、ビキニを着て攻略しろってか!?

 死ぬわ! ダンジョンマスター、許すまじ!

 絶対、男に違いない。

 今から向かって文句を言ってやろう!


「沙良。怒るのは分かるが、勝手に何処どこかへいこうとするな。お前がいなくなると大変なんだ」


 父に手をつかまれ行動を制された。


「だって、ひどすぎるよ! 金色の小さな宝箱で期待させておいて、これはないんじゃない?」


「宝箱の中身はランダムだからなぁ。中にはハズレもあるし、仕方ないさ」


 自分に関係のない奏伯父さんは、そう言って笑う。

 いや、納得出来ない!

 

「性能だけ・・は、いいんだけどね~。流石さすがに、これを着て攻略する勇気はないかな?」


 セイさんは、ブーメランパンツを宝箱から取り出し手に取ってながめている。

 

「海水浴にはいいかもな」


 父はそう言うけど、ビキニなんて人前で恥ずかしくて着れないわよ。

 それにブーメランパンツを穿いた父も見たくない。


「よし、売ろう!」


 私は初の宝箱の中身を売る事に決め、迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯へ移動したのだった。

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