【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第274話 迷宮都市 初めての従魔登録 2

公開日時: 2023年3月9日(木) 18:05
更新日時: 2024年1月10日(水) 23:48
文字数:2,315

 しばらく2匹とたわむれながら待っていると、先程の受付嬢となんかいかつい顔をした老人が一緒に出てきた。


 相変わらず異世界人はデカいっ!

 身長2mくらいありそうな老人は腰も曲がっておらず、矍鑠かくしゃくとしていた。


 迷宮都市のギルドマスターには会った事がないけど、この人がそうなんだろうか?


「お待たせしました。ギルドマスターが直接対応するそうなので、会議室に移動して頂けますか?」


 受付嬢から会議室へと案内される。


 あの、このヤクザの親分みたいな顔をした人の紹介はないんですかね?

 旭がビビッて逃げ出しそうなんですけど……。

 

 ほら兄の後ろに隠れてないで、ちゃんと歩きなさいよ。


 会議室に案内された私達はテーブルを挟んで横並びに3人で席に着いた。

 反対側の右端にいるのは、沈黙したままの老人だ。


 ここで自己紹介をリーダーである自分からするべきだろうか?

 

 口を開こうとした瞬間、会議室の扉がノックされた。

 そして1拍置いた後、また別の人が2人部屋に入ってくる。


 老人の左に30代くらいの綺麗な女性が座り、その隣には神経質そうな雰囲気ふんいきがする眼鏡をかけた中年男性が座った。


 まるで3対3の集団面接のようだ。

 就職活動を思い出すなぁ。


「従魔登録をしたいとか。テイムした方はどなたですか?」

 

 最初に眼鏡の中年に質問されて、私はムカッとした。

 初めて会った時は、まずは挨拶からでしょ。

 何この人、自分の名前も言わないで要件から話すなんて社会人失格よ!


「すみません、まずは貴方は誰でどういう立場の人ですか? 受付嬢からは、ギルドマスターが対応すると言われてたんですけど、貴方がギルドマスターなんですか?」


「いえ、私はギルドマスターではありません。秘書のオリーです」


「では最初にそうおっしゃって下さい。でなければ貴方がギルドマスターだと勘違いするところでした。そして秘書の方なら、何故なぜ他の2人について紹介をしないのですか? 紹介がないと私達は誰かも分からない人達と同席する事になるんですが」


 小娘に見える私の言葉に、オリーさんがあからさまに顔をしかめた。


 あぁ駄目だこの人……。

 冒険者ギルド職員なのに、冒険者に対する姿勢がまるでなっていない。


 一見いっけん冒険者ギルドは、冒険者が冒険者ギルドで換金をしてもらう事もあって立場が上に見える。

 でも実際は冒険者が換金をしないと冒険者ギルドとしての業務が成り立たない事から、相互扶助そうごふじょの関係なのだ。


 それを充分に理解している受付嬢はどんなに業務が忙しくても笑顔をやす事はないし、冒険者に対して上から目線で物を言う事もない。


 解体場の人達も同様だ。


 なのに組織の上層にいるはずの人がこの対応って、冒険者をめているとしか思えない。


「オリーさん、貴方は冒険者ギルドの職員に向いていないようです。今、思い切り顔に不快だと表情が出てましたよ。相手が年端としはもいかない小娘に、あって当然の常識・・・・・を言われたくらいで腹が立つのなら秘書をおめなさい。交渉人としても失格です」


 私は子供の振りを完全に止めて、55歳の自分の言葉で話した。

 私達は別に、迷宮都市のギルドで従魔登録をする必要は全くない。


 ミリオネの町やリースナーの町で、仲の良いギルドマスターにお願いすればいいからだ。


 特にリースナーの町のギルドマスターは質の良い皮やオリハルコンゴーレムを沢山換金した事もあって、沙良ちゃんと言って可愛がってくれている。


 更に言えば、Lvが上がるなら迷宮都市のダンジョンにこだわる必要もない。

 別の都市のダンジョンを攻略すれば良いだけの話だ。


 迷宮都市では既に子供達への継続した支援方法が確立されている。

 2店舗のお店も、原料を追加補充するだけで何も問題はなかった。

 必要な時に迷宮都市にくるだけで事足りるからね。


 立場が上だと勘違いした態度をみせる相手には、当然毅然きぜんとした態度でのぞむわよ!

 売られた喧嘩けんかは、買いまくる主義ですから!


 両隣の兄と旭がやれやれって顔をしてるけど、ここはとして1歩も引かないつもりよ!

 冒険者は実力主義なんだから、少女だと思いあなどってもらっては困る。


 伊達だてに迷宮都市トップのかせぎをほこる、パーティーリーダーを務めている訳じゃないんだからめないで!


 私の言葉を聞くとオリーさんは顔を真っ赤にして席を立ち、これ以上同席するのは真っ平ごめんとばかりに足音も荒く部屋を出ていった。


 あ~あ。

 これは本当に秘書から解雇されそう。


 私達の素性も調べずに対応したんだから仕方ないわね。

 事前情報が大事だって事、知らない訳じゃないでしょうに……。


「うちの秘書が大変失礼しました。私がギルドマスターのオリビアです。隣に座っているのは、副ギルドマスターのウォーリーです」


 沈黙したままだった女性が、やっと口を開いて自己紹介をしてくれた。


 部屋を出ていってしまった秘書のオリーさんと、副ギルドマスターのウォーリーさんか……。

 名前が似すぎて混乱しそうだ。


「私はパーティーリーダーのサラと申します。右側が兄の賢也けんやで左側がメンバーのあさひです。今日はよろしくお願い致します」


「貴方がサラさんなのね。従魔登録をしたいという事でしたが、テイムされた2人は男性ですか?」


「いえ、テイムしたのは私1人です」


「えっ? 1人で種類の違う2匹をテイムしたんですか!?」


 ギルドマスターであるオリビアさんの声が裏返ってしまった。

 これは、相当驚いているらしい。


 正確にはハニーもいるので現在は3匹だけどね。

 1人でテイムするのは駄目だめなのかしら?


 しまったな。

 サヨさんにテイム魔法の事をもう少し詳しく聞いておくんだった。


 考えられるのは、相手を屈服させて強制的にテイム魔法で従魔にする方法だろうか?

 それとも飼育して人間に慣れさせてからテイムする方法だろうか?


「一体どうやったら2匹同時にテイム出来るんだ!?」

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