【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第777話 摩天楼ダンジョン 魔法陣の移転先&世界地図

公開日時: 2024年5月5日(日) 12:05
更新日時: 2024年8月27日(火) 16:41
文字数:2,034

「131階はケスラーの民がいる集落に行けるけど……。同じ南大陸は危険だから、それ以上調べなかったの」


「その判断は正しい。どの階層が、アシュカナ帝国につながっているか分からないからな」


「出来れば、この先の階層を調べたいんだけど132階へ移転してもいい?」


 父達の帰りを待ち、一緒に行こうと思っていたのだ。

 なるべく早く、全部の階層先を把握しておきたい。

 父は私の提案に少し考え込む様子を見せ、いつきおじさんへ耳打ちする。

 おじさんは首を横に振り、賛成出来かねるといった表情になった。


「沙良、今日は止めよう。この人数じゃ心許こころもとない。方法を考えてみるから、絶対2人で行くんじゃないぞ?」


「うん、分かった。じゃあ、迷宮都市に戻るね」


 3人をアイテムBOXへ入れ、摩天楼まてんろうのダンジョンから迷宮都市へ移転して外に出す。


「これから商業ギルドに向かうけど、お父さん達はどうする?」


「商業ギルドか……、担当者から地図を貰ったんだよな。俺も会いたいと思っていたから一緒に行こう」


「儂は武器製作に取り掛かりたい。甲羅こうらを出してくれんかの」


 貴重な素材を目にしたシュウゲンさんは、早く武器を作りたいようだ。

 甲羅を取り出し渡すと一瞬で目の前から消える。

 いつの間にかシュウゲンさんの腕に、父と同じ腕輪が着けられていた。

 樹おじさんがマジックバッグにした腕輪だろう。


「ホームまで送りましょうか?」


「いや、特殊な道具が必要になりそうじゃ。一度、国へ戻る」


 シュウゲンさんしか使えない魔法陣で移転するのかな?

 どの場所にあるかは聞かないでおこう。

 あれ? でもダンジョンで発見した魔法陣は、100階層を超えるダンジョン付近しか行けないよね?

 迷宮都市には、ないんじゃないかしら……。

 

「えっと、じゃあ16時に家に集合でいいですか?」


「あぁ、それでよい」


 シュウゲンさんと別れ、4人で商業ギルドへ向かう。

 受付嬢が私と樹おじさんを見た瞬間、あわてて走り出す。

 その場に残された私達が待っていると、息を切らせた彼女とカマラさんがやってきた。


「お待たせして、申し訳ありません」


 2人が深々と一礼した後、別室へ案内される。

 カマラさんは、どこか落ち着かない様子でそわそわしているように見えた。


「本日は、どのようなご用件でいらしたのでしょうか?」


「世界地図があれば、購入出来ないかと思ってきました。あっ、両親と妹です」

 

 3人は初対面だと気付き紹介する。


「サラ様を担当させて頂いております。カマラと申します」


「娘がいつも世話になっている。父のひびきだ」


「母の樹です」


「妹のあかねです」


 簡単な自己紹介を済ませると、カマラさんは茜に驚いていた。

 樹おじさんの姿は、私に似ているから母だと言われ納得したんだろう。

 私と茜は姉妹に見えないしね。


「世界地図ですか……。別大陸の国が記載された物ですね。少し、お待ち下さい」


 カマラさんは一度席を外し、羊皮紙を丸めた物を手に戻ってきた。


「こちらが、各大陸の詳細な地図になります」


 渡された羊皮紙を広げてみると、今まで調べた国の位置がはっきりと分かる。

 流石さすが、商業ギルド。

 大陸を隔てた国と交易もしているんだろう。

 この世界で一番他国に詳しいのは、商人なのかも知れないな。


「お幾らになりますか?」


 金額が高くても、この地図は欲しい。

 すると、カマラさんは樹おじさんの方を見ながら答えた。


「いえ、お金は……。サラ様の、ご両親にお会い出来光栄です」


 高価な地図はタダでくれるらしい。

 カルドサリ王国の地図も貰ったのに、いいのかな?


「この国の商業ギルド職員・・・・・・・は、とても優秀なのね。地図は、ありがたく頂くわ。娘が迷惑を掛けるかも知れないけど、これからもよろしくお願いします」


 すると父ではなく樹おじさんが母親として返事をした。

 その言葉を聞いたカマラさんは、何故なぜか恐縮したように頭を下げる。


「はい、サラ様の期待に応えられるよう尽力致します」


 私が迷惑を掛ける前提で話が進んでいるんだけど……。

 商業ギルドで、そんな無茶振りした覚えはないよ。

 世界地図をくるくると巻き戻し、アイテムBOXに収納。

 カマラさんに見送られ商業ギルドを後にした。


「沙良。ガーグ老の工房へ寄ろう。相談したい件がある」


「じゃあ、お昼はガーグ老達と一緒に食べる?」


「あぁ、悪いが食事を作ってほしい」


「了解!」


 ガーグ老の工房へシルバーに騎乗して移動する。

 樹おじさんは、父と泰雅たいがに2人乗りしていた。

 最近マリーに乗っていないからねない?

 工房へ到着すると、ポチとタマが樹おじさん目掛け飛んでくる。

 10匹のガルム達も、私を見るなり駆け寄ってきた。

 事前に連絡が入っていたのか、ガーグ老達は庭で整列し待機している。

 その顔が久し振りにポーションまみれになっていた。

 仕事を再開したのかしら?


「こんにちは。稽古日じゃないですけど、お邪魔しますね」


「いつでも大歓迎しますぞ!」


「ガーグ老、相談がある。少し話をしたい」


「では、工房内で聞こうかの」


 父と樹おじさんは、ガーグ老と一緒に工房内へ入っていく。

 私は皆の昼食を何にしようか考え始めた。

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