【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第281話 迷宮都市 サヨさんからのおもてなし 2

公開日時: 2023年3月13日(月) 12:05
更新日時: 2023年8月13日(日) 23:58
文字数:2,052

「おもたせで失礼ですが……」


 料理を頂いた後は、お土産に持参した果物の盛り合わせが出てきた。

 桃やマンゴーが綺麗にカットされて、フルーツタルトの飾りのように美しく並べてある。


 完熟した甘みと瑞々みずみずしさがたまらない。

 ダンジョン産の果物は、毎日食べても飽きない程美味しい。


「ところで、来週持ってくる迷宮タイガーの皮で何を作るんですか?」


 少し気になったので老紳士に質問してみた。

 虎の毛皮と言えば、絨毯じゅうたんにするくらいしか思いつかない。


「マントですよ。今年の社交界では、リザルト公爵が話題をさらいそうですね」


 ゼブラ模様のマントかぁ~。

 迷宮都市はリザルト公爵領にあるので、華蘭からんの老紳士は公爵に伝手つてがあるみたいだ。

 

 毛皮1枚、金貨10枚(1千万)。

 そこに仕立て料と利益を乗せて販売すると、一体幾らになるのか恐ろしい値段になりそう。


 そして確かに目立つだろうと思う。

 また王都から、毛皮目当てで冒険者がこなきゃいいけど……。


「今日は夕食をご馳走ちそう様でした。また自宅へ遊びにきて下さいね」


「ええ、おうかがいしますわ。じゃあ、土曜日の編み物教室でまたお会いしましょう」


「はい、ポンチョよろしくお願いします。おやすみなさい」

 

「気を付けて帰って下さいね。おやすみなさい」


 なごやかに食事会は終わり、食事を作ってくれたサヨさんにお礼を言って私達は自宅へと帰った。


 明日はスキップ制度の申請をして、先輩冒険者から合格判定がもらえればB級冒険者になる。

 A級へのスキップ制度もありそうだけど、これ以上は止めておこう。

 

 そして、初めて2匹と一緒にダンジョン攻略だ。

 ハニーにも紹介しておかないと。


 シルバーとフォレストには、後で換金するから獲物は傷付けずに倒す事をお願いしないと駄目よね。


 シルバーはアイスボール、フォレストはサンダーニードルの魔法が使えるから上手く調整して倒してほしい。


 それにしても、王都のダンジョンには牛乳が取れる魔物の『ミルクカウ』がいるのかぁ。

 それはテイム後に、飼育して搾乳さくにゅうしてるのかしら?

 

 それともハニーみたいな体内に牛乳を溜め込む袋があるのか……。

 ちょっと可哀想かわいそうな想像をしてしまった。


 やっぱりダンジョン毎に出現する魔物に違いがあるなら、攻略しに行きたいなぁ~。


 兄に異世界での家を購入してもらう予定なので、『ミルクカウ』をテイムして家で飼えば毎日しぼりたての美味しい牛乳が入手出来るかも知れない。


 コカトリスみたいに卵を産む鳥系の魔物も、テイム出来たら毎日新鮮な卵を産んでくれるかも?


 そう言えば今日、初めて迷宮都市のギルドマスターに会ったけど30代の女性とは驚いた。


 副ギルドマスターがヤクザの親分に見える老人なのは、まぁよしとしても随分ずいぶん若いと感じたのだ。 


 迷宮都市のギルドマスターはやり手・・・だと聞いていたのに、秘書があんな人で大丈夫なのかしら?


 リザルト領内にある迷宮都市は独立採算制を取っている。

 運営に長けたギルドマスターじゃないと維持する事は難しいだろう。


 それなのに年齢と会った印象がちぐはぐな気がする。

 年齢から言えば副ギルドマスターの方がすごみも利いて、統治しやすい感じがするんだけどなぁ。

 

 もしやオリビアさんは、エルフ・・・なんだろうか?


 確かに綺麗な人だったけど毎日リーシャの顔を見慣れている私には、はっきりとエルフのように美しいとは断言出来ない。


 耳は……髪で隠れて見えなかった。


 明日アマンダさんに聞いてみよう。

 迷宮ダンジョン地下18階を攻略していたトップ勢のクランリーダーだから、持ってる情報は段違いに多い。


 きっとギルドマスターについても何か知っているだろう。


 秘書のオリーさんについては兄に注意された事もあり、ギルドを首になったら逆恨みされるかも知れないから気をつけておこう。

 

 最初から態度の悪い人だった。

 初対面で受ける相手のイメージは、ほぼ合っていると思う。


 人はわずか数秒で、その人の第一印象を決めるらしい。

 昔から身嗜みだしなみが大切であるとは、よく言ったものだ。


 第一声がひどければ、余程の事がない限り最初に抱いた第一印象をくつがえす事は出来ないだろう。

 

 そういった意味で、オリーさんは最悪だった。

 私がこの先、彼の印象を変える事はないと思う。


 今回は兄の手をわずらわせたくない。

 私に原因があるなら、私自身で対処しないと。


 マッピングを使用すれば、私に死角は存在しないので相手より早く行動出来る。

 先制攻撃をすれば相手に気付かず処理する事が可能だ。


 ドレインで昏倒させてしまえば、1日寝ないと起きられない。

 事を起こそうとする度に毎回気絶する事になれば、その内あきらめるだろう。

 

 財布は盗まれるかも知れないけど、誰も傷付かない良い対処の仕方だと思う。


 兄は全身麻痺にしたり、不能・・にしていたりしていたけどね。

 それでも命までは奪っていない。


 いつかくるその時は、なるべくこない事が望ましい。

 だから目立たないように行動していた心算つもりだったんだけど……。


 B級冒険者になれば、少しははくが付くから狙われなくなるといいな。

 人の欲望に終わりはないから難しいだろうけど……。


 そしてその思いは後日、予想通り裏切られる事になった――。

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