【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第263話 迷宮都市 奏屋に新しい果物の紹介

公開日時: 2023年3月4日(土) 12:05
更新日時: 2024年7月28日(日) 14:45
文字数:2,027

 翌日朝8時。


 兄達を起こしにいったら、また2人で一緒に寝ていたので起さないようにそっと寝室から出て帰った。

 旭は今日も兄に腕枕をしてもらい、幸せそうに寝ていた。


 異世界で2人が再会したのは、必然だったのかも知れない。 

 この世界では、同性同士でも隠さないで付き合う事が出来るんだから。

 

 一体、何時いつから付き合ってたんだろう?

 そしてどっちがって……考えちゃ駄目よね。


 今は日本で辛い思いをした分、2人で幸せになってくれればいい。

 旭は大好きだった兄に再会出来た時、居酒屋で大泣きしていたしね~。

 

 2人で抱き合って喜んでたよ。

 見ていた私は、少々大袈裟おおげさだなぁと思っていたけど恋人同士だったのなら納得だ。


 朝食用に作ったサンドイッチにラップをしてメモ書きを残し、私は奏屋かなでやに新しい果物を卸しにいこう。


 さてキウイフルーツとマンゴーは、幾らで買い取ってもらえるのか楽しみだなぁ。

 そういえば、ここの店長さんは編み物教室で知り合ったサヨさんの息子さんだった。


 ちゃんとお礼を言っておかないといけないな。

 サヨさんのお陰で助っ人が10人も増えて、子供達の防寒着が間に合う事になったのだから。


 私と母親達だけだったら、きっと腹巻を編むだけで精一杯に違いない。

 なんせ皆初心者の集まりだ。


 どうせならセットでそろえてあげたかったから、参加人数が増えた事は本当に助かる。


 奏屋かなでやに入ると、店員さんが応接室に案内してくれる。

 もう何度も果物を卸しにきているので顔パスだ。


 店員さんが紅茶とクッキーを置いて部屋からいなくなると、私は出された紅茶を飲んでまったりする。

 5分程してから店長さんと店員さんが入ってきた。


 席を立って挨拶をする。


「こんにちは、いつもお世話になっています」


「こちらこそ大変お世話になっております」


 お互い頭を下げ合い席に着く。

 

「先週は母と息子がお店に我儘わがままを言ったそうで申し訳ありません。息子が評判の『ミートパスタ』を食べて、すごく美味しかったと嬉しそうに話しておりました。『肉うどん』・『シチュー』に続き迷宮都市の名物になりそうですね」 


「ありがとうございます。お陰様で限定50食が毎日お昼前に売り切れですよ。お母様にはその後、子供達用の冬着を編んで頂いたのでとても助かりました。またお友達も沢山参加してくれたので、冬までに何とか間に合いそうです」


「そうでございましたか。あれから毎日、編み物教室に通っているらしく充実している様子です。趣味が役に立って嬉しいのでしょう」


「まぁ、毎日ですか? それはありがたいです。聞いているとは思いますが、今日は編み物教室の後でお母様をお借りしますね。多少帰りが遅くなっても構いませんか?」


「こんな若いお嬢さんと母で話が合いますでしょうか。朝から今日はとても楽しみにしておりましたよ。夕食もご馳走ちそうになるそうでよろしくお願いします」


「はい。編み物のお礼も兼ねているので、腕によりを掛けて作りますね。今日なんですが、地下14階の新しい果物が採れたので卸しに来ました。味の確認をしてもらえますか?」


 私はマジックバッグから、グリーンキウイフルーツ・ゴールデンキウイフルーツ・マンゴーをそれぞれ1個ずつ取り出して手渡す。


 いつも店員さんが皮をいて持ってきてくれるので、今日は事前にカットした物を用意してある。


 キウイフルーツは切り方を間違えると、美しい模様が台無しになるからね。

 ガラスの器にカット済みの果物を盛った物をマジックバッグから取り出し、テーブルの上に置いた。


「どうぞ。緑色の物より黄色の方が甘いので、先に緑色のキウイフルーツから食べてみて下さい。真っ赤な実はマンゴーです。かなり貴重な果物になります」


 マンゴーは収穫するのが大変だという事を、やんわりと伝えておく。


「では、失礼して頂きます」


 店長さんはまずグリーンキウイフルーツを、次にゴールデンキウイフルーツを食べてうなずいている。


 そして肝心かんじんなマンゴーを食べた瞬間、目がクワっと見開いた。

 うん甘くて美味しいですよね~。


「今回の果物も大変美味しゅうございます。キウイフルーツ1個で銀貨12枚、マンゴー1個で銀貨30枚でいかがでしょうか? 各10個卸して頂けるとありがたいです」


 お~、マンゴー1個銀貨30枚(30万円)の高価買取出ましたよ!


「その価格で問題ありません」


 店員さんにいつものマジックバッグを手渡され、りんご30個・みかん30個・桃10個・梨10個・ピオーネ10個・シャインマスカット10個・グリーンキウイフルーツ10個・ゴールデンキウイフルーツ10個・マンゴー10個を入れて返却する。


「では代金をお支払いしますので、少々お待ち下さい」 


 しばらくして店員さんから、金貨10枚・銀貨38枚を受け取った。


「それでは、失礼します」


「はい、本日も貴重な品をありがとうございます。今後ともご贔屓ひいきのほど、よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 今日もVIP待遇で店先まで見送られてしまった。

 この対応に、いつか慣れる日はくるんだろうか?

ポイントを押して下さった方、ブックマークを登録して下さった方、作品を応援して下さった方。

読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。


応援して下さる皆様がいて、大変励みになっています。

これからもよろしくお願いします。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート