【3巻発売&コミカライズ決定!】自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

48歳の主人公が異世界で12歳の少女になり、冒険者として生きるお話です
如月 雪名
如月 雪名

第197話 椎名 賢也 14 ダンジョン 地下1階 初攻略 2

公開日時: 2023年1月29日(日) 18:44
更新日時: 2023年3月16日(木) 14:53
文字数:2,115

 冒険者ギルドの前には10台くらい馬車が並んでいる。


 料金は1人銅貨2枚(2,000円)。

 ダンジョンまで1時間くらいかかるらしいので、料金としてはそう高くない。


 1時間毎に運行しているので乗れない事はないだろう。

 5台目の馬車に乗ると、4人組の男性冒険者と一緒になった。


 ニヤニヤと笑いながら沙良を見る目つきが、どうにも不快な気分にさせられる。 

 沙良は怖くなったのか、俺の背に隠れて男性達からの視線を遠ざけようとした。


 その気持ちをんで、俺が冒険者達の矢面やおもてに立つ。

 狭い馬車の中で、何かを仕掛ける事は無いと思うが注意するに越した事は無い。


 それから1時間あまり。

 男性冒険者からの不快な視線は止む事が無かった。


 一体どういう心算つもりなんだ?

 

 馬車を降りると、沙良が男性冒険者に気を付けてと注意をうながしてきた。


 言われなくても4人組の顔は覚えたから大丈夫だ。

 4人なら魔法で行動不能に出来る。


 沙良はダンション内で鉢合わせする事が無いように、マッピングを使用して回避するようだ。


 4人組の冒険者達がダンジョンに入っていくのをしばらく待ってから、俺達も入場料の銀貨1枚(1万円)をそれぞれが払って中に入る。


 最初にケチがついてしまったが、初のダンジョンだ。

 気持ちを切り替えて楽しもう!


 ダンション内に入ると思ったよりも明るい。

 壁が少し光っているようだ。


 どんな不思議素材で出来ているんだろう。

 魔道具屋にダンジョン内で使用するような、照明は売っていなかったのでこのまま探索を続ける。


 ダンジョン内は迷路状になっていた。

 なるほど地図が売れる訳だ。


 不意に沙良から魔物が居ると声を掛けられた。


「前方3mにファイヤースライム3匹。ファイヤーボールを撃ってくるから注意!」


 沙良のお陰で、盾で防御する態勢を取り近付いていく。


 2匹のファイヤースライムの攻撃は盾で防いだが、残り1匹のファイヤーボールが沙良の右手首をかすめてしまった!


 急いで2匹のファイヤースライムをライトボールで倒し、沙良の怪我の状態を見た。


 服は燃えてしまったが、火傷跡のない綺麗な皮膚を見てホッと安堵あんどする。


 これは、ファイヤースライムの魔法Lvが低いからか、高いMPで魔法抵抗値があるかのどちらかだろう。


 よく分からない魔法について考えていると、沙良が突然大きな声を上げる。


「私、火魔法を覚えられたよ! お兄ちゃんも確認してみて!」


「本当か!?」 

 

 言われて俺は直ぐにステータスを見たが、沙良の言った通り覚えているような事は無い。


「俺は無理だった」


「もしかして、体に受ける必要があるのかも。次は盾で防がずに受けて検証しよう」


「ああ、そうしてみよう」


 もし魔法を体に一度受けて覚える事が出来るなら、攻撃手段が増える。


 運良く5m程歩いた所でウォータースライム3匹を見付けた。

 一度体に受けて倒した後ステータスを確認すると、俺も水魔法のウォーターボールを覚えていた。


 2人共テンションが上がり、他の2種類の属性スライムの攻撃も受けて4属性の魔法を覚える事にする。


 これで火・水・土・風と基本的な魔法が使用可能になった。

 後、考えられる属性は雷と氷魔法くらいだろうか?


 ダンジョン内では他の冒険者達を徹底的に避け、効率良く魔物を狩っていく。


 初見の魔物で、やっかいなのは吸血コウモリだけだろう。

 飛んでいるためウィンドボールで頸動脈けいどうみゃくを撃ち抜き、地面に落としてから沙良に槍で刺させる。


 ダンジョンネズミは50cmくらいの大きさで、眉間にライトボール1発で死亡した。

 これ本体も必要って事は肉を食べるのか?

 

 どう考えても角ウサギの肉の方が美味そうだけどなぁ~。


 ファングボアは未だ見付かっていない。

 ミリオネの森に居たボアの上位種ならば、突進して来る前に魔法で倒せば問題ないだろう。


 地下1階は、リザードマンとファングボアの換金率が高いから積極的に狩っていきたい所だ。



 2時間後。

 リザードマンを見付ける事が出来たが、冒険者達が走って近付いてきたのであきらめる。


 リザードマンは2mくらいの背があり槍を持っていた。

 死んだ冒険者の持ち物だろうか?


 冒険者達の討伐の様子を見ていると、誰も魔法を使用しない。

 普通に盾で防御しながら槍や剣で攻撃し倒していた。


 あ~、あれだけ皮に傷が付いたら、買取価格は最低の物になるだろうな。

 トカゲの革は一体何に使用するんだ?


 ヘビ革やワニ革は財布や鞄や靴に使用出来るが、同じ爬虫類系だから用途も同じなのか……。


 そして必要なのは皮だけなのか?


 肉も食べるとしたら、異世界の飲食店では何の肉が出てくるのか分からんな~。

 俺達はこの世界で食事をする事がなくて良かったのかも知れん。


 どうせ味付けも塩のみだ。

 今後も店を利用する事は無いだろう。


 更に1時間後。

 もう一度リザードマンを見付けるも、またしても冒険者達が勢い良く走ってくるのでゆずる形となってしまった。


 何だ?

 早い者勝ちなのか?


 既に交戦中の所を割り込むのはルール違反だろうけど、今回は確実に俺達が先に見つけていたはずだ。

 

 マナーが悪いにも程がある。


 少し広くなった安全地帯に行くと、50人程の冒険者達がテントを張って休んでいた。


 簡易トイレが設置してあるが、沙良はどうやらここに入るのはかなりの抵抗があるらしく、攻略は一旦いったん終了する事にした。

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