「イザベラさん。ドラゴン討伐に参加したいと思うんですけど今どれくらいのパーティが参加する予定なんですか?」
「あら?アキーエちゃん達のパーティも参加してもらえるの?」
ガチムチオカマうさ耳はイザベラって言うのか。
いやネームプレートはグレイソンとなっているのだが‥
「そうね。今のところAランクパーティとBランクパーティが2つ。Cランクが2つとDランクが参加表明しているわ。それに確認されたドラゴンは若いドラゴンなの。ドラゴンは歳を重ねる事に強くなるって言われてるわ。だから今回のドラゴンに対しては多分余剰なくらいの戦力になると思うわ。もしアキーエちゃん達のパーティが参加するなら締め切らせてもらうわね。」
自分たちパーティを除いて6パーティが参加する事になるのか。
おそらく戦闘中にスキルを見る事ができるだろうから、あとはギルドカードを確認してスキル名を言って貰えば模倣できる。
3名以上がパーティになるから、20名程度はスキルを見る事がてきるかもしれない。
A.Bランクのスキルを見ることはかなりラッキーだな。戦闘中なら鑑定を使って怪しまれることもないだろうし。
実際は優先順位を決めて必要そうな物から模倣していくつもりだから、かなり時間はかかると思うけどそれでも模倣するのに時間短縮にはなるだろう。
「今回のドラゴンはランク的にAランクの下位よ。AランクパーティとBランクパーティが2つで充分お釣りがくるレベルだけど、ドラゴンに到着するまで体力を温存できるように、そこまでの戦闘はそれ以外の冒険者にお願いするわね。」
条件はさっきアキーエが言ってた内容と同じだな。
「わかった。それじゃその依頼受けさせてもらう。」
「あら。初めましてかしら?アキーエちゃんのパーティメンバーよね?私はイザベラよろしくね。」
どうしよう。名札はグレイソンだけどつっこんだ方がいいのだろうか?
しかし俺の危険察知がビンビンと反応している‥
「じゃあグレ‥イザベラさん。何日後の出発になるんだ?」
や、やばい。グレイソンって言おうとしたら物凄い殺気を放って筋肉が一回り膨らんだぞ。
「出発は3日後よ。2〜3日はかかると思うから、食料や野営の準備もしてきてね。」
「わかった。それじゃあ準備して3日後に。集合場所はどこだ?」
「集合場所は東門になるわ。それにしても貴方けっこういい男ね。年齢重ねたら私好みのナイスミドルになりそうね。」
「はは。ありがとう。それじゃ。」
うん。怖いよ。歳とったらここでは活動しないようにしよう‥
脱兎のように逃げ出し、市場付近にて今後の確認を行う。
「それじゃ3日後のために準備しよう。キリーエ傷薬とか消耗品お願いしてもいいかい?アキーエとミミウは食料。俺は野営品の確認と必要なら補充をするよ。」
それぞれが準備のために動き出す。
ミミウよ。保存食を買うんだぞ。その両手に抱えてるのは日持ちしないぞ。
あ、今食べる用なのね‥
俺はサミュウさんの所に寄ってしばらく作業場に来れない事を告げ、宿に戻り準備品の確認を行うのだった。
出発日当日に、集合場所である東門付近に向かう。キリーエはすでに別行動になっているので俺とアキーエ、ミミウの3人になる。
門の近くにはすでに数パーティが集まっていて、他のパーティを待っているようだった。
「すまない、待たせたか?」
すると4人組のパーティのリーダーと思わしき人物が答えてくれる。
「いや、皆んな来たばかりだし他にいくつかのパーティが来てないから大丈夫だ。」
その後10分程度待つと全パーティが揃った。
「それじゃ自己紹介をしよう。と言っても人数が多いからな。とりあえずパーティ名とリーダーだけお願いしてもいいか?じゃあまずは俺から。俺はAランクパーティ『戦神の矛』でリーダーをしているバラックスだ。よろしく頼む。」
犬系の耳を持った30歳前後の男性でパーティは4人全員が獣人族のようだ。杖を持った人が2人いるので、前衛2名後衛2名ってところかな。
「それじゃ自分達はBランクパーティ『雷鳴の音』で俺はリーダーのスコルだ。」
「私もBランクパーティ『獅子の立髪』でリーダーのアマンダよ。」
Bランクパーティは雷鳴の音は人族みたいだな。獅子の立髪はパーティは強そうだが、メンバーは3人で全員が女性のようだ。
しかも全員前衛のマッチョです。
スピード重視なのか防具の面積が狭いのは嬉しいんですが、出ている筋肉が凄い事になってます‥
さてそろそろ俺たちの‥
あれ?俺たちのパーティってパーティ名ないんだけど?
慌ててアキーエ、ミミウと相談する。
「ど、どうする?俺たちパーティ名てつけてなかったけど‥」
「そんなの考えてないわよ‥スキルハンターとかでいいんじゃない?」
「いや、目的がモロバレなパーティ名はダメだろ!ミミウは何かある?」
「美味しいご飯探し隊ですっ!」
うん。流石ミミウ。
しかし美食ハンターみたいになっとるがな。
「それじゃ素直にクリエイトでいいんじゃない?スキルを創り出すようなマルコイにはピッタリでしょ。」
急に決める事になったけど、クリエイトでいいのか?
俺の特徴しか反映してない気がするんだけど‥
もうすでに俺たちの番が回ってきている。
「俺たちはCランクパーティ『クリエイト』で俺がリーダーのマルコイだ。」
言ってしまった‥
こんな勢いで決めてよかったのだろうか。
アキーエとミミウは笑ってるからいいとするか。
「それじゃ今回のドラゴン討伐については俺がリーダーでいいかな?」
紹介が終わったところでバラックスがそう告げる。
ランク的に上位にあるため、誰も異論は唱えなかったためそのまま決定となる。
「今回の目的はドラゴン討伐だ。ランクはAの下位との事だが油断せずにいきたいと思う。CDランクのパーティは目的地までモンスターを討伐してくれ。ドラゴンとは俺達とBランクパーティであたるからフォローをよろしく頼む。では進もう!」
マルコイ達Cランク冒険者を先頭にドラゴンのいる山中まで出発するのだった。
ドラゴンの住み着いた山中まで進んでいるが、マルコイ達は途中のモンスターの多さに辟易していた。
ドラゴンから住んでいた場所を追い出されたのか、普段は山や森にいるようなボア系やベア系のモンスターが多数出てくる。
マルコイ達は危なげなくモンスターを倒す事ができているが、Cランクパーティの1つとDランクパーティが苦戦する事が多くなってきており、そのフォローをする事が回数的に増えてきていた。
「アキーエ、こっちのボアを頼む。ミミウはフォローしてくれ。俺はあっちのボアを間引いてくる。」
すぐに苦戦しているパーティのもとに動きボアを2匹倒す。
苦戦していたDランクパーティは個数の減ったボアをなんとか倒す。
Cランクパーティは3名と4名パーティの2つでDランクパーティが4名。それに俺たち3名て14名でモンスターを排除しているのに間に合っていない。
しかしもう少しでドラゴンの縄張りに入りそうなので、モンスターも少なくなってくるだろう。
戦いの間に確認したスキルは
常時発現スキルが4名。剣士2、弓士1、狩士1
魔法系のスキルが3名。属性魔法の火と水2
後は身体能力系と思われるが正確にはわからない。しかし追い詰められているから、スキルは使用しているようだ。
1人は斧を持っていたので斧士かと思ったが、力で振り回しているだけのようだったからおそらく腕力系のスキルだろう。
ものすっごくメモとかしたいんだけど、今そんな事したら白い目で見られそうだ。
かなり苦戦してきたので、もう少しモンスターとの戦いが続くようならBランクがでてるかかな。
スキル使用している姿を穴が開くまで見てやる。
山中まで進んでいくと、やはりモンスターと出会う確率が少なくなってきた。
そろそろドラゴンのもとに到着しそうだな。
「そろそろ着くんじゃない?」
アキーエがそばに寄ってきた。
「そうだな。俺たちの出番はそろそろ終わりみたいだな。あとはサポートに徹することになるみたいだし。しっかりと見させてもらうよ。」
「ドラゴン退治に苦戦するようならどうするの?」
「いや、高ランクパーティが苦戦するようなら逃げるしかないでしょ?」
「でも逃げて高ランクパーティが全滅したらスキル模倣できないでしょ?」
「あっ!」
「その時は高ランクパーティと協力して逃げようかね‥」
「そうなるわね‥」
「多分大丈夫だろ。でも‥もしもの時は‥アキーエはミミウ連れて逃げろよ。俺が絶対守るから。」
「いてっ」
アキーエのパンチがお腹に入った。
でもいつもに比べて痛くない。
「ばか。」
アキーエが少し恥ずかしそうにそう呟く‥
「うん。遠慮なく俺の胸に飛び込んできていいぞ。」
そう言って手をワキワキしていたら痛いパンチが飛んできた‥
アキーエと会話しているとバラックスが声を上げる。
「そろそろドラゴンが発見された地点に到着する。ドラゴン討伐パーティも戦闘準備をしてくれ!」
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