恵は少し考えるような顔をして、あやめとどうするのか話をする。
「恵、一旦正人達のところに戻ろう。ガーノスさんとも話をしないと。」
「私としてはこのままマルコイさん達と一緒に行動したい所なんですけどね‥でも勝手をしたら正人君達に迷惑がかかりますよね。」
意見をまとめたのか、恵が此方に顔を向ける。
おどおどした顔じゃなくちゃんと目を見ている。それだけでだいぶ印象が違うな。
勇者パーティの他の2人どうでもよかったが、とりあえず恵とあやめが困っていたら助けたいと思うようにはなっている。
まあ勇者パーティが困るような事態に俺が何かできるとは思えないが。
「このままマルコイさん達を手伝いたいのですが、まずは正人君達と合流してパーティといて動きます。必ず戻ってくるので、待っててくださいね。」
「わかった。気をつけて戻ってくれ。スキルの事とか諸々ありがとうな。」
「はい。マルコイさん達も気をつけて。」
2人と別れ、俺たちはランク別に集まっている場所に歩みを進めた。
ギルドが指示した場所に着くと、赤茶色の髪をマッシュルームカットにしたフルアーマーの男が大きな声を出していた。
「俺はCランクパーティ[マッシュクレイジー]リーダーのノベルタだ。今回の緊急依頼でC.Dランクの指揮官を勤めさせてもらう。よろしく頼む。」
ノベルタの周りには青紫色頭のタワーシールドを持ったタンクっぽい男、黄土色頭の魔法使いっぽい男、黄緑色頭の修道服を着た僧侶っぽい女がいる‥
全員マッシュルームカットで‥
た、確かに狂ったキノコだな。
「俺たちは、騎士団と高ランク冒険者の左翼と右翼に別れる。パーティごとでいいが、できればCとDが同じくらいに別れてくれると助かる。」
俺たちは右翼側に行く事にした。
しばらくするとノベルタの声が聞こえる。
「モンスターは変わらず王都方面に侵攻している。戦場を王都から少し離すために前進する。王都から1キロ程の平野でモンスターを迎え撃つ予定だ。用意はいいか?」
すると500名ほどの騎士団と50名程度の冒険者が進み出す。
「騎士団が敵の中央に進む!俺たちもモンスターとを殲滅しながら進むぞ!索敵の出来る者は高ランクモンスターを発見次第、集団中央に配置している腕に赤い布を巻いた騎士に報告せよ!では前進っ!」
騎士団500名、冒険者250名程度の総勢750名ほどで中規模モンスター2000体ほどの殲滅に動き出す。
マルコイたちは、はじめての大規模戦闘に足を進めるのだった。
目的地まで進む中、マルコイは隣にいるアキーエに話しかける。
「アキーエあのさ。さっきの俺たちの指揮をとる人見てどう思った?」
「ん?ノベルタさんの事?どうって別に何も思わないわよ。Cランクでトップクラスの実力をもってるパーティでしょ。何回か王都で見たわよ。」
俺はアキーエの言葉に驚愕する。
「何回か会っただと?俺は覚えてないぞ。あんなの一回会ったら絶対忘れないはずだ。」
「ん〜マルコイは会ってないのかしら?私とミミウも話こそしてないけど、何回か会ったことあるわよ。」
ミミウも頷いている。
「お前会ったのにあの頭の事何も思わなかったのか?男も女もおっさんもキノコだぞ!」
アキーエは呆れた顔をする。
「別にパーティの決め事なんだろうからいいじゃない。確かにあの頭にするのは嫌だけどね‥」
先頭辺りを歩くクレイジーマッシュを見ながらアキーエは呟く。
「だろうだろう。しかも全員揃って明らかに毒キノコじゃないかっ!」
「ふふっ。」
笑い声が聞こえアキーエを見る。
「ありがとうマルコイ。わたしたちが緊張しているからほぐしてくれているんでしょ。大丈夫お陰で緊張も解れたし、それに守ってくれるんでしょ。」
アキーエがこちらを見ながら笑いかけてくる。思わず見惚れてしまうくらい綺麗な笑顔だった。
「そっか。なら大丈夫だな。アキーエもミミウも絶対俺が守るから心配するな。」
するとミミウが大きな盾に手をかける。
「守るのはタンクのミミウの役目ですぅ。2人とも安心して戦っていいですよ!」
「そうだな!ミミウありがとう。じゃあ気を引き締めて行くぞ。」
「うん!」「はいですぅ!」
うん。2人とも気合が入っていい状態みたいだ。
とてもじゃないけどさっきの話は本気で思って話してましたとか言える雰囲気じゃないから、俺の胸にそっとしまっておこう。
しばらく進んでいると先頭集団が止まったような気配がした。
しばらくするとノベルタから指示が出る。
「この平野でモンスターを迎え撃つ!モンスターは変わらず王都に進んできている。あと1時間もすれば見えてくるはずだ。各自武器の点検や回復薬の確認を行ってくれ!」
実際に戦いが迫ってくると気持ちが高揚してきた。緊張なのか武者震いなのか、剣を点検している手が震える。
大規模戦闘は経験がないので、想像していなかった事が起こる可能性もある。
絶対に仲間と共に無事に王都に戻る。それが今回の緊急依頼の目標だな。
「おう!マルコイまた会ったな。」
声がした方を向くとスキンヘッドの厳ついおっさんがいた。ガッツォさんだ。
この人昼間に外で会うと眩しいな‥
何がとは言わないが‥
「武器の確認は終わったのか?」
「今確認中ですよ。」
するとガッツォはまだ見えないモンスターの方を見つめる。
「モンスターの数はこっちの倍以上だ。正直死ぬ奴も出るだろうな。」
「そうですね。でも俺は死ぬつもりないですよ。自分の命も仲間の命も守り抜きます。」
「そうだな。生きて王都で飲もうや。だから王都は俺達の手で守るぞ。」
はは。異世界で言うフラグって奴っぽいけど、ガッツォさんが言うとカッコいいな。
頭眩しいけど‥
ガッツォと話をしていると、平野の奥から黒い影が見えてくる。
影は徐々に大きくなり、それがモンスターの大群とわかるまでそれ程時間はかからなかった。
「モンスターを確認した!それぞれ戦闘の準備にかかれっ!」
ノベルタさんの声が聞こえてきた。
「さてアキーエ、ミミウ準備はいいか?必ず生きて戻るぞ。」
「うん。」「はい!」
さ〜て、ガッツォさんのフラグを盛大にブチ折りに行きましょうかね!
あ、あそこにガッツォさんがいる。
眩しいな‥
その世界は白で作られてたいた。ただただ果てしなく真っ白な世界。
その白以外に全く色のない世界で1人の女性が佇んでいる。
その女性は美しいと表現できる。しかし姿形は人族のそれであるが、どこか神々しく神秘的な雰囲気を持っており、姿は人族のように見えてはいるが、それが人族ではない事がわかる。
そんな女性が自分の足元を見ながら憂いた表情をしている。
「ついに理から外れた者が動き出しましたか‥。システムから逸脱した者。彼を止める術はありませんね。たとえ世界が滅びたとしても‥」
「落とした一雫が芽吹いて阻止せぬ限りは‥」
彼女の表現は変わらぬままであったが、声だけが少し、ほんの少しだけ希望を持ったような気がした。
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