スキルを模倣しまくって最強無敵!魔王?勇者?どっからでもかかってこいやー!

オギコン
オギコン

魔道具士のスキル

公開日時: 2021年11月25日(木) 19:00
文字数:4,126

「わかったわ。これでいいかしら?」


イレイスは懐からアリアと同じ楕円形のギルドカードを取り出して見せてくれた。


イレイス

錬金術ランクA

スキル【魔道具士Lv.6】


なんとイレイスはランクAだった。

まあ【魔道具士】はかなり優秀なスキルのようだしな。

貢献度から考えると優秀なスキルを持っている人がランクが高くなっているのはわかる気がする。


今までも王族や高名な人物からの依頼が多かったのだろう。


「それじゃ見てて。これから行う作業がスキル【魔道具士】の能力になるわ。」


イレイスはネックレスに向かい魔力を放出する。

するとネックレスのペンダント部分の大きめの赤い宝石に薄らと模様が浮かび上がる。

模様を見てみると、模様の最終地点あたりの線が微妙に震えているように見える。

この部分が伸びているのだろうか。

しかし魔力が空になるまで注ぎ込んで数ミリしか進まないわけか‥


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル『魔道具士』を模倣しました』


模倣はできた。

あわよくば【錬金術士】と統合して新たな生産系のスキルが手に入ったらと思っていたが、そうそう都合良くはいかないようだ。


「はい今日の作業はここまで。」


イレイスは出していたネックレスを懐にしまう。

時間にして1時間はたっていない。30分程度ではないだろうか?


「1日の作業はこのくらいなのか?」


「そうよ。総魔力を注ぎ込んで数ミリだけど、魔力全部注ぎ込んだらその後動けなくなるわよ。だから少し余力を残すように作業するのよ。」


確かに。

作業するたびにぶっ倒れていたら日常生活に支障をきたすな。


「なるほど。見せてくれてありがとう。そのうち借りは返すよ。」


「そんなものいらないわよ。でもそうね‥今後アリアに言い寄らない事‥なんて言うとアリアに怒られるわね。」


イレイスの後ろでアリアがスリッパを振りかぶっている。

気配を察したか。


「そうね。それじゃ闘技会を面白くしてちょうだい。せっかく見にきたんだもの。知人が活躍したら嬉しいでしょ。」


おっとこれはかなり難易度の高い要求だな。


「そうだな。出来る限り活躍できるように頑張るよ。」


まぁ簡単に負けたりするつもりはないけど、期待に応えれるように頑張らないとな。


闘技会で負けられない理由がもう1つ増えたな。




闘技会での活躍を約束させられた後、しばらく話をしていたが、イレイスの2人で話をさせろオーラが半端なかったので御暇する事にした。


宿に戻るとキリーエが誰かと話し合いをしているところに遭遇した。


「あっ!マルコイさん丁度いいところに!ちょっとだけ時間いい?」


呼び止められキリーエのもとに向かう。

キリーエと話をしていたのは所々白髪の入った黒めの茶色をオールバックにしているナイスミドルな、どこかのうさ耳マッチョの人が目をハートにさせそうな人物だった。


「マルコイさん。今度ホット商会で新しく重曹分野を作るんやけど、そこで責任者をしてもらう予定のラファトさんや。」


すると先程までキリーエと話をしていた男性がこちらに歩いてくる。


「貴方がマルコイさんでしたか。その若さでBランクの新進気鋭の冒険者の方に会えるとは感動です。私はロッタスで小さな商会をやっていましたラファトと申します。今回お話をいただきまして、自分の商会をホット商会の傘下に入れていただき重曹分野の責任者をさせていただく事になりました。どうぞよろしくお願いします。」


ラファトは自分のギルドカードを提示しながら凄い事を言ってきた。



なんだかキリーエが本当にロッタスの商会を支配してしまいそうな件‥



「よろしくお願いします。俺の事ご存知のようでしたけど、マルコイでBランク冒険者をやっています。」


俺はラファトのギルドカードを確認しながら挨拶を返す。


ラファト

商人ランクD

スキル【生産】


スキル【生産】?

初めて見るスキルだな。


「マルコイさん。彼のスキル【生産】は生産工程の最適化とスピードが上がるスキルになるんよ。口で説明するのは難しいんやけど、他人と同じ作業をしていても彼の方が早くなるって感じかな。」


「はい。そのおかげで商売は軌道に乗りましたが、自分で商会をやっていくほどの技量はなかったので商会自体の成長はありませんでした。商会自を閉めようかとも思っていたので、今回のお話は大変助かりました。今後はホット商会で自分のスキル【生産】を活かしていきたいと思ってます。」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【生産】を模倣しました』


『統合条件を達成しました。模倣スキル【錬金術士】【魔道具士】【生産】【思考】を統合します。スキル【アルケミストメーカー】に統合しました』


おおう!

ここで統合するかね。

しかも錬金術のスキルと商人のスキルを統合するとは‥

何でもありだな模倣スキル‥


新しいスキル【アルケミストメーカー】か‥

スキルの内容が頭に入ってきた。錬金術のスキルだが、これも反則級のスキルだな。


どうやら【アルケミストメーカー】は魔道具を作ったりはできないようだ。

魔道具というよりも魔力回路を作り出す事ができないといったほうが正しいかな。

このスキルが作り出すのは【魔道具士】や【錬金術士】が作る魔力回路ではなく、魔力回路の錬成といったところか。


魔道具に付加されている魔力回路を剥がしてつけ替えたり、別の魔力回路と合わせて新しい魔力回路を作り出す事ができる。

魔力回路自体は別の【魔道具士】や【錬金術士】が作っているので、その魔力回路を応用して作り出す事になる。

その為、魔力回路を作製する時間はかからず、すぐに素体に付加する事ができるようだ。


いや、マジで反則だろ。

魔力回路の長さを補えるなら、放出系の魔力回路を買い集めてそれを合わせる事で身体効果系の魔力回路にする事もできる。

これだけで国に飼い殺しされる案件だな。


「どうかされましたか?」


ラファトさんに急に黙ってしまった事で心配させてしまったようだ。


「いや何でもありません。キリーエは俺たちの仲間なんですが、商売についてはあまり協力してやれません。なので貴方のような方が手伝っていただくけると大変助かります。キリーエをよろしくお願いします。」


ラファトさんは安心したのか男前な笑顔を見せる。

この笑顔はうさ耳は一発でノックダウンだな。

ラファトさんにはくれぐれも冒険者ギルドには近づかないように言っておかなければ‥


「キリーエちょっといいか?」


「どうしたん?何か儲け話?」


いや俺は毎回儲け話を持ってくるわけじゃないからね。

まあ儲け話じゃないとは言い切れないのかもしれないけど。


「キリーエ、魔道具を仕入れる事はできるか?1番安価なやつでいいけど、数が多ければ多い方がいい。」


「魔道具やね。仕入れる事できるよ。数を集めるとなると少し時間がかかるかな。お金は多少かかるけどマルコイさんのことやから、かかった費用なんてあっという間に取り戻すやろ?」


「それはどうかな。集める時間は1ヶ月かからなければ大丈夫だ。」


そう。

闘技会に間に合えば大丈夫だ。




闘技会まで残り3日となった。

スキル【アルケミストメーカー】を発現してからはモンスターの討伐と魔道具の作製に精を出した。


スキル【エレメントナイト】もなんとかスキルレベル4まで上げる事ができた。

しかし1番の成果は魔道具の作製だと思う。

俺の装備は間に合わなかったが、アキーエとミミウの装備は闘技会に間に合わせる事ができた。


3日後から闘技会の予選が始まる。

俺たちはBランク冒険者だから予選からの参加だ。

予選が3日後に迫っている事もあり、今日からは各自自由行動にしている。

もちろん身体を休めるのが目的だから調整はいいがキツめの訓練は行わないように伝えた。


宿の庭で少し身体の具合を確かめる。

スキル【異世界の知識】で得た『超回復』という技法は身体を酷使して筋肉を傷つけた後に筋肉を休ませると回復時に筋肉が大きくなるとの事だった。

それが本当なのか確認しようがないが、今できる事は全てやっておくべきだろう。

それに大会に疲れを残して参加する訳にはいかないからな。


ふと視線を感じて振り返ると庭にあったイスに腰掛けてこちらを見ているアキーエと目があった。


「どうしたアキーエ?何か用か?」


するとアキーエはしばらく何も言わずにこちらを見つめてきた。

沈黙が恥ずかしくなり誤魔化そうかと思ったがアキーエが言葉を発するのを待った。


「‥‥いつの間にか凄いところまで来たわね‥カーロッタにいた頃は自分が獣人国の闘技会に出るなんて思ってもいなかったわ。」


「なんだ?まさか後悔してたりするのか?」


「まさか。感謝こそしても後悔なんてする訳ないでしょ。」


アキーエは微笑みながら言う。


「田舎生まれの宿屋の娘だったわたしが、いつの間にかBランク冒険者よ。でもマルコイがいたからここまでこれたと思う。もしこれが夢だったとしても、やっぱりってすんなり納得できるくらいの出来事だわ。」


そうだな‥

スキル【模倣】のおかげで俺もアキーエも随分と強くなれた。

でもまだ夢の途中だ。

そう叶えるべき夢への道のりを駆け上がってる途中だから。


「マルコイはどこまで行くつもり?まだまだ足を止めるつもりはないんでしょ?」


「そうだな。強くなりたいって気持ちは昔よりもっと強くなった気がするな。アキーエはまだついてきてくれるか?」


「当たり前じゃない。それにマルコイについて行けるの人なんて、そうそういないわよ。マルコイはどうせ行けるところまで行くんでしょ?だったら最後まで付き合ってあげるわよ。」


最後までか‥

ずっと付き合ってくれるというアキーエの言葉に安心する。

時々無理に付き合わせているんじゃないかと思う事もあったからな。

アキーエを見る。

陽の光を浴びている赤い髪がとても綺麗だった。


その時にふとした想いが口から出る‥


「アキーエ。俺が‥」


「お腹すいたですぅーーー!」


出なかった‥


「あらミミウ。どこ行ってたのよ?」


「屋台巡りしてたんですけど、途中でお腹が空いたので戻ってきました〜。」


「屋台巡りしてて、お腹空くってミミウの胃袋どうなってるのよ?まったく‥ところでマルコイ何か言いかけなかった?」


出かかった言葉を飲み込んだ。

今じゃない気がしたから‥


「なんでもない‥また今度な!」



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