スキルを模倣しまくって最強無敵!魔王?勇者?どっからでもかかってこいやー!

オギコン
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勇者たちの価値観

公開日時: 2021年11月12日(金) 21:00
文字数:3,340

いつものようにミミウが【遠視】で索敵をしていると、そう言ってきた。


不吉な予感がした俺はミミウに詳しく教えてもらう事にした。


「4人組ですぅ。男の人が2人で女の人が2人みたいてすぅ。」



予感的中。人数的に見て勇者御一行と思われる。


「はぁ〜、横道に逸れて遠回りで帰っても、あの様子見ると何度も来そうだよな。」


「そうね。いずれ会わなくちゃいけないみたいだから諦めたら?」


「他人事だと思って‥」


「何言ってんのよ。パーティだから運命共同体よ。どうせわたしたちにも降りかかってくるんだろうから。」


そう言いながらアキーエは顔を赤らめていた。


「あれが勇者御一行じゃなくて女の子2人だけならいいんだけどなぁ。」


そう呟いた途端にアキーエからローキックが入った‥

腰の入った素晴らしいローキックだったが、腿に決まったので正確にはローキックではないような‥

足が痺れて動けない‥

今日はここで野宿かもしれない‥


「ほら?どうするの?」


野宿を検討させた張本人が問いかけてきた。


「いや、今日は野宿かと‥」


「は?あのひとたちどうするのって聞いてるんだけど?」


「あ、そうだった。とりあえずほっといたら何度も来そうだからな。話だけでも聞いとくか。」


このまま近づかないわけにもいかないので、仕方なく勇者御一行の方に歩いて行く。


「あ!正人。あの人だよ。」


「おう、わかった。後は任せとけ。」


こちらに気づいたのか、勇者がゆっくりとこちらに歩いてくる。


「ちーっす!ちょいとそこの人さ。少し話してもいいかな。」


イラっ。


「俺は勇者やってる正人ってゆーんだけどよ。ツレから気になる話を聞いてよ〜。ちょっとばっかし話を聞かせてほしいみたいな感じでよ〜。」


イラっ。


「なんかさ〜、あんた鑑定?みたいなの持ってんだろ?調べてくれたら勇者だってわかるからよ〜。」


イラっ。



「えっと、すいませんけど一昨日きやがれ。」

いかん、つい心の声がダダ漏れになってしまった‥


「は?一昨日ってもうすぎてんじゃんよ?なにそれウケる。」


やばい。話の通じない人だ。

勇者御一行は真面目な顔しているが、うちのアキーエさんは今の会話だけで、顔つきがかなり厳しい事になってます。


「いや、なんでもない。話って何ですか?」


「いや、あやめに聞いたんだけど、もしかしてあんたに俺達の秘密がバレたっぽいって聞いたからよ〜。それを確かめようって思ったりしてさ〜。」


「秘密って言われても何のことやら?」


「嘘つきなさいよ。あなた確かに私達を見て異世界って言ったでしょ!」

いつの間にか近くに来ていたあやめが食ってかかってきた。


「ああ、その事か。別に他言する気はないから気にしなくていいぞ。」


「だそうだぜ、あやめ。」


「そんなの簡単に信じられるわけないじゃない。」


異世界の知識って言葉からして別の世界って意味なんだろうけど、そんなに重要な事なのか?別の世界の知識があるのは便利なのかわからないし、たいして気にしてなかったが‥

勇者御一行にしてみると重要なことだったみたいだ。


「わかってるの正人?私達が異世界から来たってバレたら元の世界に帰れなくなるんだよ!」






こいつ今なんて言った?


異世界から来た、バレたら帰れなくなる‥

だと‥‥


少し勇者から距離をとりアキーエたちを庇うような位置どりをする。


「おいおい、なんだってんだよ〜。そんな身構えんなって。別にあんた達と争うつもりはないってよ。」


バーントから聞いた話では勇者はウルスート神聖国の出身であったはず。


今の勇者の話が本当だとしたら、勇者たちはどこか違う世界から連れてこられた?

その事をウルスート神聖国が公にしてないって事は、バレたら不味いという事。それだけでも知ってしまった俺たちはウルスートから狙われるかもしれない。

そして帰れなくなるって事は、こいつらも何らかの制約を受けてる事になる。

だとしたら俺がこいつらだったら、制約の内容にもよるが確実に話せない状態にする。そう殺すって事になる。


「アキーエいつでも魔法を放てるようにしといてくれ。」

小声でそう伝え、ミミウにも視線で伝える。


不用意に近づいてしまった事に後悔する。しかし現状ここまで接近してしまったのだから、もし勇者たちが何かしてきても対応できるようにしとかないといけない。


「それで?秘密を知った俺たちをどうするつもりだ?」


「ん?どうするつもりも言わないでくれってお願いをしに来ただけだぜ。俺達のとこにガーノスってウルスートから一緒に来てる人がいるんだけどさ。その人にバレたら俺達元の世界に帰れなくなるかもしれないんだよ〜。だからお願いするって話なわけ。」


ん?こいつら本気で言ってるのか?


「俺たちが言わないって保証が欲しいんだろ?でも言わないって言ったところで信じるのか?」


「そこは信頼関係っしょ。」


「俺があんたたちなら別の方法を考えるぞ。」

俺もミミウもアキーエを庇う位置で盾を構え、話を続ける。


「それこそ口封じとかな。」



「ちょ、ちょっと待ってくれよ〜。そんな物騒な事なんてしね〜よ。そ、そうだっ!あんた達も人に言えない秘密とかないのか?それを教えてくれたらお互い秘密をバラさないって信用できるからさ。」


なんだこいつら?頭お花畑なのか?それともそこまでの秘密じゃないのか?


「そうよ。それくらいしてくれたら信用するわ。」

「なんでこの世界の人達ってこうも物騒なのかしら‥?」


どうやら本気で言っているらしい。

なんだこの違和感は?こいつらが来た世界の人達は全部こんな頭お花畑なのか?それともこいつらが特別なのか?


「ちょっとパーティで話し合いをしてもいいか?」


「もちろん。いい返事を期待してるぜっ。」


勇者たちと少し距離をとり3人で集まる。


「どう思う?信じられるか?」


「そうね。普通なら信じられないわね。でもあの人達は違う世界から来たって言ってたわよね?だとしたら物や人の生死についての価値観が違う可能性もあるわね。」


「どういう事?」


「わたしたちだったら、自分たちの秘密、それこそ国の問題まで発展するような秘密を知られたら間違いなく話せないようにするわ。自分たちよりも大きな権力を持っている人に相談するか、それこそ物理的に話せないようにするか。でもあの人たちは権力を持っている人に相談するでもなく、黙っていてくれって頼むだけ。それこそそんな問題を今まで持った事がなくて対処法がわからないのか、それとも人を傷つける事に禁忌でもあるのか。どちらにしろ、秘密を相手に教えるだけで解決するならそれに越した事はないわ。」


「なら後はこちら側の秘密が‥」


「それなら1つしかないでしょ。」


「ん?アキーエのスリーサイズか?ぐぼっ!」


「そんなわけないでしょ!」


アキーエのナイスなぼでーが刺さった。ナイスボデーだけに‥


「マルコイのスキル【模倣】についてよ!スキルの効果はわたし達しか知らないし、秘密がバレたらスキルの使用に困るってのも理由になるでしょ。」


「なるほど。」


確かに秘密にしている理由もあるし、せっかくだからこの機会を利用させてもらおう。


「お?決まった感じ?」


勇者たちの方に近寄って行くと正人が声をかけてくる。


「ああ。俺のスキルの秘密だ。これが周りにバレるとスキルを使うのが難しくなるし、先々冒険者活動もできなくなるかもしれない。」


「なーる。冒険者活動ができなくなるくらいの秘密ね。いいんじゃね?おっけーそれでいこ。」


相変わらず軽いノリだが、了解を得たので話しはじめる。


「俺のスキルは【模倣】ってスキルだ。スキルの効果は人のスキルを低レベルで模倣すること。」


「へ〜。でもなんでそれを秘密にする必要があるんだ?」


「あんたがもしスキルを模倣されたらどう思う?自分が発現したスキルを、何の苦労もなく勝手に模倣されて使われる‥面白くないよな?もちろん俺が模倣させてくれって言ったとしても嫌がるだろうし、そうなると相手に黙って模倣するしかない。だからもし他の冒険者にバレたらスキルが使えなくなるから冒険者としてやっていけないってことだ。」


「なるほどな〜。わかったぜ。じゃこれでお互い秘密を知った仲だな。」


「待ってよ。それって本当の事なの?適当な事言って騙そうとしてないわよね?」


「そうだな。それじゃスキル【模倣】を実際使って証明してみせるよ。」

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