スキルを模倣しまくって最強無敵!魔王?勇者?どっからでもかかってこいやー!

オギコン
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聖女と聖騎士

公開日時: 2021年11月13日(土) 21:00
文字数:3,568

いきなり確信をついてくるな。周りに人がいないからいいものを、いたら契約違反じゃないか?


「大丈夫ですよ。ちゃんと周りに人がいないのは確認してますから。」


この恵という女性‥

前回と印象が違わないか?前回はあやめの後ろに隠れるような感じだったと思うんだが‥


「もしかしてびっくりしてる?」


ふとあやめが声をかけてくる。


「あの子、この世界にきてから人の悪意に敏感になってて。もともとは頭のいい子だったんだけど、こっちでは少し塞ぎ気味でね。あんた達とは普通に話せてるみたいだからよかった。」


【異世界の知識】で知った事だが、こっちの世界は異世界と比べて人の生死が軽いからな。それに利用される為に召喚されてこっちの世界に来たんだ。最初から悪意ある人達に会う事になったんだろう。

長い黒髪の大人しそうな女性だったが、真っ直ぐにこちらを見つめる目は、自分の意思をしっかりと持った芯のある女性を感じさせる。


「そうだな。あんたたちから模倣した【異世界の知識】で得た料理だよ。」


すると恵はにっこりと笑う。


「やはりそうでしたか。私達の世界の事が全てわかるんですか?」


「いや、模倣した相手の知識レベルと等しくなるようで、簡単な物しかわからないぞ。例えばフライドポテトの作り方はわかるが、あんた達の世界にある自動車と言ったか?その作り方はわからないといった感じかな。」


「なら私達のスキルを模倣したら、もっと知識は得られるですかね?」


「さあどうだろうな?全員同じ歳なんだろう?似たり寄ったりじゃないのか?」


「誰か何かに卓越してるかもしれませんよ。私は料理も得意でしたし。」


「何が言いたいんだ?」


恵はこちらを見ながら、またも笑顔で告げる。


「マルコイさん、私のスキルも模倣されませんか?」


「は?」


突然、恵がそんな事を言い出した。恵にはまったくメリットはないはずだが‥

恵のスキルは【聖女】【属性魔法:聖】【異世界の知識】だったはず。【聖女】は模倣できないとは思うが、【属性魔法:聖】は回復魔法になるはずだ。

こちらとしては願ったり叶ったりではあるが、恵の意図が読めない。

素直にありがとうと言って模倣してもいいものやら‥


「大丈夫ですよ。特に何かをお願いする訳じゃないです。ただこの世界に来てはじめて友人になれる人達に会ったんです。できれば何か力になれたらなって思っただけですよ。」


こちらを見つめながら恵は続ける。


「それに‥1日たった今でも私達の周りはいつも通りでした。マルコイさんが私達の秘密を話さないでいてくれたんだなって。」


「だから‥」


そう言いながら、恵は自分のスキルカードをマルコイに渡す。


「私のスキルがそんなマルコイさんの役に立てたらいいなって。」


俺にメリットはあるが、恵にはデメリットはない。だがそんな事で言ってるのではないとわかる。

裏があるとも思えないし、本当にそんな事を思っているのだろう。

勇者だけではなく、仲間も頭の中身がお花畑だった。

しかし‥

自分を信じてくれているのはわかる。そのためか、単純に嬉しいと思ってしまった。

元々勇者たちの秘密を話すつもりはなかったが、余計に話す訳にはいかなくなったな。


「わかった、好意として模倣させてもらうよ。」


すると恵のギルドカードを持っているマルコイの手を恵が包み込む。


「彼の者を癒せ‥」


そう恵が呟くと、マルコイの身体が光に包まれる。


「これが【属性魔法:聖】になります。そしてそれ以外のスキルは【聖女】と【異世界の知識】ですね。」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【聖女】【属性魔法:聖】【異世界の知識】を模倣しました。


『スキル【聖女】は模倣できません。スキル【聖人】に変換します。現在のスキルレベルでは模倣できません。レベルによる開放までストックとして補完します。』


『スキル【異世界の知識】は模倣しています。模倣しているスキルに不足している物があったため、補足します。』



やはり【聖女】は模倣できなかったか‥

しかし【聖人】って‥俺が男だから変換されたのか?まあいい。これで傷を癒す手段を手段に入れる事が出来た。何かあっても皆んなを守る事が出来る手段が1つ増えた事になる。


しかし‥

「模倣させてもらっといて言うのもなんだが、よかったのか?何のメリットもないだろうし。」


「いいんですよ。この世界で会った友人の役に立ったんですから。それに私達の秘密この先も黙っててくれるでしょ?」


はは。確かに。ここまでしてもらったんだ。この先秘密を誰かに言う事はないだろう。

もしかしてこれが狙いだったのか?


そう思って恵を向くと、笑顔でこちらを見つめていた。


「そうだマルコイ!ついでに私のスキルも模倣したら?」


「有り難く貰うぞ。」


即答する。あやめには迷惑をかけられたから、遠慮なくいただいておこう。


「なんか恵の時と態度が違わない?」


あやめがムスくれているが違わんと言って宥めておく。


「私のスキルは【聖騎士】と【堅牢】【異世界の知識】ね。」


そう言いながらスキルカードを渡してくる。


「【堅牢】は防御スキルって言ったらいいかな。結界のような透明の壁を創り出すスキルよ。レベルが上がれば強度が上がり範囲が広くなるわ。大きさは自由に出来るけど、レベル1でも5メートル×5メートルくらいかな。」


あやめは堅牢スキルを使用する。しかし見てる側からは最初に身体が淡く光ったくらいで、何の変化も見受けられない。


「私を叩いてみて。」


おう。迷惑かけられた恨みだ。マキシマムストレートをお見舞いしてやる。


かなりの力を込めた拳は見えない壁に当たり押し返される。


「今のが【堅牢】よ。だいぶ力が入ってたのが気になったけど‥それと【聖騎士】と【異世界の知識】ね。」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【聖騎士】【堅牢】【異世界の知識】を模倣しました。


『スキル【聖騎士】は現在のスキルレベルでは模倣できません。レベルによる開放までストックとして補完します。』


『スキル【異世界の知識】は模倣しています。模倣しているスキルに不足している物があったため、補足します。』


ふむ。恵の時とほぼ一緒か。しかし流石に勇者パーティのスキルだな。ここで防御スキルまで手に入れる事ができるとは。





そんな事を考えているとら突然大きな音が鳴り響く。

その音を聞いたポテート屋のおっちゃんが慌てて店を片付けて出す。


「おっちゃん、この音は何だ?」


「知らないのかっ?この音は王都の緊急警報だ。この音が鳴ったら住民は避難するんだよ。」


避難?何か王都に危機が迫ってるのか?




緊急警報の大きな音が鳴り響く中、マルコイたちは急いでギルドに行くことにした。


「マルコイどうするの?」


アキーエが並走しながら聞いてくる。なぜかあやめたちも一緒に来ているが、とりあえず無視しておこう。


「ギルドに行って状況を確認する。モンスター絡みだったら冒険者に招集がかかるはずだ。もし違ったとしても手伝える事くらいあるだろ。」


ギルドに着くと同じようにたくさんの冒険者たちがギルドに集まって来ていた。

ごった返すギルドの中で見覚えのあるスキンヘッドの人を見つけた。


「ガッツォさん!」


「おうマルコイか。」


「緊急警報の原因は何ですか?モンスター絡みですか?」


するとガッツォさんは頷き


「魔の森からモンスターの氾濫が確認されたらしい。中規模ではあるが、そのまま王都に向かって来ている。王都の騎士団が迎撃に向かっているそうだが、おそらく冒険者にも声がかかるだろう。緊急依頼だ!俺も仲間と合流してから依頼を待つ。マルコイも気を引き締めろよ。」


「わかった。ありがとうガッツォさん!」


ガッツォさんと別れてすぐに受付にサベントさんが出てきた。そして周りを見渡すと、容姿に似合わない大きな声で語り出した。


「冒険者諸君。今回の緊急警報だが、魔の森からモンスターの氾濫が確認された。中規模ではあるがBランクのモンスターも確認されている。もしかしたらそれ以上のモンスターもいるかもしれない。高ランクモンスターには騎士団とBランク以上の冒険者で当たる。CDランクはBランク以下のモンスターに当たる。Eランク冒険者は住民の避難を行って欲しい。以上だっ!」


話を聴いてアキーエたちのところに戻り、2人がどうするか確認をする。


「アキーエとミミウ。どうする?俺たちは王都に来て期間は短いが、俺は微力だとしても力になりたいと思う程度には王都の事を気に入ってる。」


アキーエとミミウは顔を見合わせた後、笑顔を見せる。


「もちろん参加するわよ。」

「参加するですぅ。」


よかった。もちろん参加してくれるだろうとは思っていたけど、2人の意見を尊重したいとは思っていた。

そして一緒にギルドまで来てしまっている2人に声をかける。


「それで恵たちはどうする?このまま俺たちと参加するわけにはいかないだろう?」

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