今日は機嫌がイイ。
化粧ののりはいいし、髪も跳ねもしないでよくまとまってる。
なによりマニキュアが綺麗に塗れた。
ちゃんと乾くまで、どこにもぶつけなかったし、模様もいつもより数倍も巧く描けた。小さな傷も歪みも…ない。
赤い見事なまでの艶やかな爪に、可憐な白い花が咲いている。本当に自信作。
私は自前の爪で、自分でマニキュアを塗る。
だから、上手くいかない時ももちろん多くて…。
でも今日は綺麗に仕上がった。自分でも惚れ惚れするくらい…。
マニキュアで気合が入ったせいか、仕事も上手く出来たし、嫌いな上司は出張中だし…もうHAPPY!
こういう日は、早く帰って美味しいご飯でも食べたら…最高の日と言っても文句なし!
……っということで、私は仕事をさっさと切り上げて奇跡的に定時に近い時間に家へと急ぐ。
「久しぶりっすね葵サン」
電車でこれまた気分よく座れて、ニマニマしていると、目の間に現れたのは、近所に住む男子高校生。
さわやかな笑顔で、可愛らしく笑う、いい男がいる。目の保養だなぁ。
彼の声も私の機嫌の良さを増幅させてくれる。
「ほんと、早く帰ってこれたし、今日は気分がイイのよ。ほら、マニキュアが綺麗」
私は彼にひらひらと指先を見せた。赤い爪がきらりと輝いた。
……ほら、今日はすっごく綺麗。
自己満足ににんまりとしていると、モモが私の指をとって、そっとキスをした…。
なんか…すっごく大事にされてるかんじ…。絵になるわぁぁ。
「モモ、あんたかっこいい!そういうのサラッとやれて…ホストねぇ…」
私がしみじみ感心してると呆れたようなモモの声が返ってきた。
「葵サン…ふつーはそういうこと口に出さないよ…」
失礼な…。
私は反撃をする。
「あら、いいじゃない、褒める時は褒める。叱る時は叱る。これ基本よ」
「子育てじゃないんスから…」
モモが声を上げる…子育て…思わず二人で顔を見合わせて笑ってしまった。
こんな風に軽い華やかな話が出来て…本当に今日はイイ日。
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