準備を済ますと私は家を出て先生の家に真っ直ぐに向かう。
またあのデカいマンションへ来てしまった。まさかこんな早くに行くことになるとは思ってもみてなかった。
そりゃ行きたいとは思っていたし夏休み中には行く予定ではあった。だが訳ありなのが少しだけ嫌だった。
嬉しい気持ちいっぱいにして行きたかったがその逆で今の私の感情は2割嬉しいと2割の怒りと6割楽しみが混じった複雑な気持ちだ。
先生は最近マンションで起こった空き巣が怖くて、先生の家を唯一知っている私が今日から、いつまでかは分からないが泊まることになった。
マンション前まで着くと先生が待っててくれていた。新婚さんみたいな気持ちになった。
先生が私に気付いたようだ
「あ、舞さーん。こんばんわ」
律儀な人だ。ま、教師と言う立場なのだから生徒の手本となるのは当然か。
「はい、こんばんは。今日からお邪魔しますね」
とりあえず先生に少しでも安心させるように笑顔で振る舞う。私って本当に良い子だな。あの堕天使叶出の自称双子とは正反対の良い子。
先生は私の顔を見て安心したのか少し表情が緩くなった
「良かったです。無事に辿り着けてくれて、先生少し不安だったんですよ?今空き巣の犯人に出会(でくわ)したらと怖いの気持ちに、しかも舞さんが行き道に拉致されたらと思うといても立ってもいられなくて」
この人は気が利いて自分思いで他人思いで行動する心優しく人間が出来ている。こんな人を怖がらせる犯人許すマジ
「大丈夫ですよそんなに心配しなくても。第一私が出会したとしてもここに住んでいる人かなんてわかる訳ありませんし、ね?」
私は先生を明るくさせるように言葉を選ぶように言った
「で、でもそれでも心配なんです!貴方は私の教え子で貴方の担任!そんな無責任なことできません!」
うん。分かってたけどね。こう言うこと言うと熱くなっちゃう人って、でもこうでもしないと気が紛れないからあえてそうした。
私はめいいっぱいの笑顔で感謝を伝える
「ありがとうございます!」
「あ、い、いえ!当然です!」
少し照れたな?大きい声を出したのと少し臭い台詞を言ったことに。もう可愛いなぁ。
「そ、それでは行きますか舞さん!」
先生があたしに訪ねる
「はい。行きましょう」
あのエレベーターは嫌いだが仕方ない、乗るとしよう。
そしてエレベーターに乗り扉が閉まるといきなり先生がエレベーターの扉側に背に向け私を優しく抱きしめた
え?なんで?頭が追いつかない。そんなに怖かったのかな?
先生は抱きしめながらこう言った
「前に来た時気分を悪くしていたので今日は初めからこうしときますね。苦しくないですか?」
私は頭から湯気が出そうな勢いで体中の血液が暴走しているようで、とにかく体が熱い。てか恥ずかしい!そして可愛い!いい匂いする!柔らかい!
そんなことしか考えれなかった
「あ、あの?舞さん?」
はっ!危ない!気を失いかけた。私は慌てて返事を返す
「は、ははははは、はい!!大丈夫です!!!」
噛みまくった。でも、なんか緊張が解けた。
大きな声で言ったからかな?
「そうですか良かったです。」
先生はこのままエレベーターがつくまで優しく包んでくれた
40階についた。この前より早く着いた気がする。先生の匂いって本当に落ち着くなぁ。先生すげぇ
まぁ、、、私が一番緊張したことはこのままエレベーターから誰かに覗かれたり途中で人が乗ってくることだった。
先生はそこまで考えていたのだろうか?自分がやっている行動に
先生は家の鍵を取り出しドアを開けた
「舞さん。今日からよろしくお願いしますね。あ、先生の家でも帰ってくる時はただいま!ですからね?分かりました?」
考えてないな。うん。先生は可愛い。それでいいじゃないか。それがいいじゃないか
私は先生の指示に従い
「ただいまー」
先生は
「おかえりなさい」
…新婚さん達ってきっと今の私の気持ちなんだろうな。幸せが満ちる感じ。
明日は早速荷物を整理し先生のお手伝いをしようとする。
「先生今日の夕飯は何ですか?」
私が先生に訪ねると先生は胸を張って言う
「今日はすき焼きです!奮発しました!」
胸でかいなー。…じゃなくて!!今日はすき焼きかぁ。何年もしてなかったなそう言えば
すごく楽しみだ
「分かりました。私先生のお手伝いしたいのですが何か役に立つことありますか?」
先生は母の微笑みのように
「それではタンスの間に折りたたみのテーブルがありますので広げて台拭きで綺麗にしてください。」
「分かりました」
「あ、それと拭き終わった後また水で綺麗に擦って下さい。それ鍋置くときに使いますので」
「了解です」
テーブルを出し台拭きで拭き、水で綺麗に流しテーブルの真ん中に広げた。
先生へ終わった報告をする
「終わりましたよ」
「ありがとうございます。次はお皿をお願いします。冷蔵庫の横の棚に小皿とお茶碗がありますので出しておいて下さい。あ、お箸はその棚の下の引き出しです」
「はーい」
小皿2枚、お箸2膳、取皿2枚、お茶碗2つっと。これでいいかな?
「先生終わりましたよ。」
「ありがとうございます。舞さんすき焼きに卵をつける派ですか?」
「はい。使います」
「では冷蔵庫から4つ出しておいて下さい。お肉沢山買いましたので卵一つじゃ足りないでしょ?先生も使いますので合計4つ!お願いしますね」
あー最高。なんか先生のエプロン姿見ながら手伝うの超ー嬉しい
「他にやることありますか?」
もっと先生の役に立ちたい。てか褒められたい。支配されたい。
でも、先生はもういいですよ。と言った
なんかショックだ。もっと手伝いたかったのにな。落ち込むわー
私は先生が夕飯の準備が出来るまでテレビを見させてくれた。
「出来ましたよー。ご飯よそってくれますかー?」
「はい!喜んでー!」
元気が出てきた!
それからすき焼きを先生と美味しく頂き、食べ終わったら先にお風呂に入らせてくれた。流石に一緒にお風呂に入るイベントは無かったようだ。
私がお風呂から上がると先生はパソコンとにらめっこしていた。次の少テストの問題でもしているのかな?
「先生上がりました。いい湯加減でした。」
先生がこちらへ振り向く
「そうですか。良かったです。それでは先生も入っちゃいます。布団はもう出しているので寝たい時に寝てくださいね。先生まだ仕事しないといけませんので」
「分かりました」
先生は着替えを持っていきお風呂へ入っていった
…さて、戸締まりの確認をしよう。
ベランダよし!玄関よし!カーテンよし!
念の為に台所側の窓も締める!
これでなんとかなるはずだ。まだ夜10時を過ぎたところだし時間はあるが、早く対策を打っても何も問題はないだろう。
今日のところはこれで寝るとしよう。今日は疲れたが楽しかったし、これが後何日か続くのだから嬉しいことこの上ない。
私は目を瞑るとすぐ夢の世界へ行った
その日は何もなかった。住民たちも被害があった訳でもなく平和な1日だった。
そして次の日、この日も何も無かった。
昨日と変わらず楽しかった
このまま空き巣が警察に捕まってくれればいいんだが。
まぁ空き巣が消えれば私も泊まれなくなるのだが、先生の笑顔を守るほうが大事だ
てことで今日はここまでにしますか。
【今日の日常生活】
(先生と新婚生活(仮)を味わっている)
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