「それでは皆さーん。これより!文化祭の出し物をかんがえましょー!」
もの凄くハイテンションな信子先生、皆より盛り上がっている。
…一人で。
9月下旬、私達は文化祭に向けて出し物を考えている。
委員長と副委員長が教卓の前でクラスにやりたい事の案を取っている。
そして、信子先生はこの場を誰よりも楽しみ仕切っている。
その姿に私は見惚れている。今日もかわいい。
「さぁ。文化祭もとい百合祭を大いに盛り上げましょう!!」
そう、今回の文化祭もとい百合祭は今年で50周年目を迎えるのだ
それを記念に全生徒の記念写真を校長室と職員室の近くの廊下に大きく貼るらしい。
それはいいことだが、だからといってこんなに喜ぶものなのだろうか?理解できぬ。
だが、先生が喜んでいるからこれはこれで良しとしよう。深く考えると頭がパンクしそうだからね。
皆が和気藹々として百合祭の出し物を決めている。
「えー、それでは今皆さんからの提案の中から出していきたいと思います。」
「今出ているのはお化け屋敷、メイド喫茶、たこ焼き、クレープ屋です。」
まぁ王道よねー。うん、普通が1番よ。
だが、そんな中ある一人のクラスメイトが手を真っ直ぐに手を伸ばした。とても綺麗に垂直に。
「自分はメイド喫茶をコスプレ喫茶にしたいです!」
皆がその人に視線が集まり、教室が静かになる。
え、何これ。やめてよーこの空気。おっもいわ
誰が助けてお願いします。私の愛をあげるから誰かこの場を救って!
「あ、のぉ〜…具体的にはどういったコスプレなんでしょうか?雛菊さん」
副委員長がとても言いづらそうに頑張って話しかけてくれた
てか、あの人ひなぎくっていうのか。
そういえばハ○テのごと○でそんなキャラいたな。ツンデレのピンク色ロングの
ま、生徒会長でもなければピンク色ロングヘアーでもない茶髪のセミロングのただの生徒だけどね!この雛菊さんは
「よくぞ聞いてくれました!!自分の理想のコスプレは何でもありのコスプレで、ニャンでもワンでもピョンでも魔法少女でも剣士でも!何でもありな喫茶店にしたいのですよ!」
ほう、興味深い。続けなさい勝手に
「自分はコスプレが観るのが好きでてか大好きで特に女性コスプレイヤーがギリギリのラインでえr…とにかく好きなんすよ!それに私服を作るのも趣味なのでお力になれると思うのですよ!」
おぉ、おぉ、何か途中やべーこと言いかけたなこいつ。
私はそういうところ逃さないよ
「えっとー、雛菊さんありがとうございました。と、言うことによりコスプレ喫茶も案として入れさせて頂きます。皆さんどうでしょうか?」
ヤバイこと言ってたの絶対気づいているのにそこに触れないなんてこのクラス優しいな
てか、叶出あれ伏せてない?体ピクピクしてるけど笑っているの堪えてね?
て言うか先生何か俯いてない?何か体ピクピクしてない?あれ?あの表情めっちゃくちゃコスプレ喫茶したいんじゃない?
そして、雛菊さんが追い込みをかける
「お願いします皆さん!自分は皆さんをアニメや漫画のヒロインにさせたいのです。て言うかさせて下さいお願いします!」
「………」
皆がまた黙り込む、それはもう時が止まったかのように、
だが、そのうち二人は先程から体をピクピクと、まるでコイキ○グ並みの動きを先程からしている
したいの?ねぇしたいの?したいんだね。分かったよ。
私はあの二人のためにと声をあげる
「良いんじゃない?私は良いと思うよ漫画のヒロインみたいな可愛い感じになりたいってのは思ったことあるしね。」
「おおー!!本当ですか!」
「うっ、うん。まぁね」
勢い凄いのよほんとヤバイよ。
だが、これくらい無いとこの案は成立しない。誰もが決まっていない時のみ成立できるやり方なのだから
まだ何をするのかが決まっていない。一人がこれをしたいと主張。それだけじゃ皆が賛成しない。その為には何が必要か。もう一人の同意者だ。
これが成立することにより周りが人に合わし徐々に賛成者が増える。
例えるなら感染されていくバイオ○ザードの様なものだ
なぁなぁで決まるかもしれないが決まってしまえば後はみんなでやっていくしかない。
「皆さん!どうですか!やって頂けないっすか!」
「んーまぁ」「面白そうだよね」
お、皆思ったよりいい反応だな
「内田さん!!」
「うおぉ!」
「自分のためにありがとうございますっス!」
「え、ぁ、まぁうん」
急に寄って来ないでよ、犬かあんた。ご主人様が帰ってきて嬉しく飛び込んで来るゴールデンレトリバーか!そんなの叶出で十分だよ。
「ま、まだ決まった訳じゃないし席つこ?ね?」
雛菊さんは、はい!と元気よく自分の席にステイした。犬だ
そして再度クラスの出し物の多数決の集計をする。
「えーでは、私たちのクラスはコスプレ喫茶に決まりました。」
なっちゃったかぁ。なっちゃいましたね。
「内田さん!!!ありがとうございます。」
「うおぉ!」
「内田さんの一声で皆さん興味を持ってくれたっス!ありがとうっス!」
「え、ぁ、まぁうん」
何度も言わないで!?そしてやめて皆んな見てるこっち見てる注目されてる!
「お詫びと言っちゃ何ですが自分の家にご招待するッス!仲良くなりたいッス!お茶だすッス!好きな漫画やアニメやラノベとか何でもいいんで話たいっス!」
ねぇ察して?みんな見てるの、恥ずいの嫌なの苦手なの。
「わ、分かった!分かったから少し離れて暑苦しい」
「おおっとこれは失敬」
「ふぅ。行くのは良いけどもう1人連れてきていい?私結構口下手だからさ」
て言うかこの子と二人きりが正直怖い。何されるか分からん
「良いっすよ!内田さんのご友人という事は佐倉さんってことっスよね?」
「あぁ、うん。なんでわかったの?」
「え?だっていつも一緒にいるしクラスの中じゃもしかして百合カップルなんて噂もあるッスよ?」
まじか。姉妹では無くカップルか…そんな勘違いされるなら信子先生とがいいなぁ
叶出の方を振り向くと叶出も私の方を見ていて笑顔でピースをしていた。可愛いかよ!守りたい!この笑顔!
あ、こういうところが表に出て勘違いされるのか。あれ?でもそれなら先生にだって負けないくらい猛アピしてるけどな?
「へ、へぇそうなんだね」
とりあえず話を早く終わらせたいため適当に返事をする。
「あ、もしかして怒らせちゃいましたっすか。それだったらごめんなさいっす」
「え!いやいや違うよ!そんな風に思われてたんだなぁ位だったから気にしないで!」
「本当ッスか?」
え?やだこの子ちょっと可愛い。少し涙腺プルプルしてる
「う、うん!だから気にしないで、ね?」
「はい!了解っス!」
あーなんかこの子見てると忠犬飼いたくなってきた
そして、時間は淡々と流れ放課後。私は叶出を誘い雛菊さんと一緒に下校する。
「いやぁ、改めてありがとうございますッス。内田さん」
「良いよ別に、私も興味あって1票しただけに過ぎないし」
本当は叶出と先生がやりたいんじゃないかって位体が反応していたからそれに力を貸しただけだけどね。
黒板の方を見てみると先生は満面の笑みを浮かべているし、叶出に関しては顔は可愛いままだけど足がじたばたしてるし、私にとっては最高でしかない。
『だから決してあなたのためじゃないんだからね!』と、声には出さず心の中の私で恥じらいながら言ってみた。
そして、たんたんと数分歩いた頃目的地である雛菊家に着いたのだ。
学校近くの住宅街で凄く立派な3階建ての一軒家だ。周りはゴミも落ちてないしガラの悪い人もいないし治安が良いとこだ。
「着きました。ここっス!」「ここっすか!」「やめい叶出」
私は叶出の頭部にチョップをかます。あれ?韻踏んでね?ラッパーになれんじゃね?自然に出ちまったよおい。
「それじゃ上がってくださいっス!」
「「お邪魔しまーす」」
玄関の目の前には階段、少し視線左には1つの部屋
スリッパは無い。至って普通の家っぽい
てっきりコスプレイヤーの写真が飾られている物だとばかり思っていた。だが、安心するのはまだ早い!!
次に待つは雛菊さんの部屋だ。何があるのか楽しみでいた…その時までは
彼女の部屋は三階。3つの扉があった。真ん前の部屋、左右にも部屋はある。が、私は見逃さなかった。左の部屋が数センチ開いていた事に、そして見落とさなかった。私の好きな小説の山々を
私は力強く眼光を開く、まるで夜に見かける猫のように
「おーい、どうしたッスか?」
私はいつの間にかその場に立ち尽くしていた
「え、あ、ううん。なんでもない」
私は思った。この部屋の人と仲良くなれると
だって宝の山あったもん。財宝だもん。フィギュアたくさんあったもん。あれこそ探し求めていたワン〇ースだよ。って口に出して言いたい。だけど言わない。
話せる機会があれば自然に話してみよーかな。
「さぁさぁどうぞっス!」勢いよく扉の中へと誘われる。その先の光景を見た時、私達は目をまん丸にした。
コスプレの衣装が沢山だとか、キラキラしているだとか、実はめっちゃお金持ち!だとか、そんな驚きで目を丸くした訳では無い。
私はこんな性格だから、こんな人間だから、思っている事を言っちゃおう。
「エロい!ものスっっっっっっっゴくエロい!」
なんなのコスプレ依然に同〇誌の山積みにえろイラストに、どれもこれもがピンクなんだよ!って言うかモザイク物なんだよ!
そして何が危ないって全てが百合ものなんだよ!!
「ご馳走様です!」「え?あ、…え?」「ん〜?」
あ、口に出しちゃった。え?でも私悪くなくない?いいもの見せてくれたらご馳走様とか常識じゃない?ていうか当たり前じゃない?
だって私上半身を折って90度にして御礼してるよ?むしろ感謝して欲しい。
「まいっちぃ〜」
叶出が私の名前呼ぶ声の方へと上をあげると、そこには凄まじく笑いを堪えながらも憐れむような表情をしたいのに口がへの字口になっちゃってるから面白い顔になってる。例えられない。こればかりは例えられない。
て言うか憐れるような表情って私何かしたか?あ、ご馳走様というオタクポイントを出したからか?よし、叶出が興奮したら私も同じようにしよう。
できるかな?笑いを堪えつつも人を憐れるさまになれない表情。…無理だな。
とりあえず、この空気をどうにかしなきゃ皆が混乱してしまうだろうから何か話をしよう。
「あ、えーっと…な、何でこんなにすてkじゃなくて!えっちぃのが沢山あるのかな?」
「あー!それはっすね!自分の趣味っすよ!!」
目がキラキラし始めとる、そして早口で物申してる。何だろうなこの既視感は?
横から叶出が私の肩を3回叩きそちらに目線を向けた。何?何なの?君はいつも可愛いよ?
叶出は私の目を見て言ってきた。
「何だか雛菊さんってまいっちと少し似てるかも」
「はい?それ私が全面丸出しドピンクって言いたい訳?」
「だって雛菊さん自分の好きなことに対して凄く目を輝かせて話してるんだもん。まいっちもよくあんな風に話してるよ」
「ドピンクなところが否定されてないが私ってそう思われてるの?ねぇ?」
叶出に意地悪されてる…でも全然気にしない。寧ろ嬉しい!あ、こうゆう所だよドピンク舞ちゃん。
すると我に返った雛菊さんがあたふたしてた。
「あ、ごめんなさいっス!自分好きな話をするといつもこうなっちゃって浮いてるっていうか、その」
何だろうな?雛菊さんのキャラって大体は誰彼構わず暴れる系だと思ってたのに以外にもネガティブ要素が豊富だ。いや豊富ってなんだよ。
「大丈夫ッス!慣れてますし類は友を呼ぶっていうじゃないっスか!」
「おいコラ叶出!それは私に対して言っているのかそうなのか!そうなんだろうなきっと!そして類は友を呼ぶってところはお前も含めて言ってるんだよな?私単体に言ってねーよな?」
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