次の日、学校に行くと正門で仁王立ちの叶出が待ち構えていた。その姿は怒りを隠すルシファーのようだった
だが私は知っている。なぜ叶出が怒っているのかを。
それは叶出が私が隠し事をしているからだ。友達が、ましてや親友で幼馴染であり自称双子を名乗る程の仲良しに隠し事をしているのだ。怒っても仕方ないことだと思う もし私が叶出の立場でも怒る。
私は叶出に近づき挨拶を交わす
「お、おはよぉ…叶出ちゃん」
物凄くよそよそし過ぎる挨拶だ。自分で気持ちが悪いと思った。
叶出は笑顔に見せているが
「おはよまいっち。何で私がここにいるか分かるよね?ね?」
目が笑ってないのよこの子。怖いの目のハイライト消えてるのよ、こんな叶出は珍しい。
まぁ怒るということは私を大切に思っているからなんだろう。私が何かを言える立場ではないな。
でも私は先生の為に守らなければならない、例えそれが親友だとしてもだ!友達に嘘をつく勇気だ!
「叶出、ごめんね?でも言えない。今は言えない。ちゃんと解決してからじゃないと言えないんだ。だからお願い!今は待って!夏休みには必ず伝える!だから待ってて!嫌いにならないで!」
私は先生の件について解決したらちゃんと叶出に言うつもりだった。もちろんそれを先生にも事情を説明した上でだけど、これは叶出との友情を消したくないからだ。
だから私は必死に叶出に伝える。叶出が口を開く。
「いや、嫌いにならないし見捨てたりしないよ?それは神様に誓うよ。そうじゃなくて何でそれを早く言わなかったのかについて怒ってるんだよ?分かってる?」
ポカンとなった。そうだ、そうだよ。ちゃんと叶出に最初から嘘でも本当でも叶出は了承してるれる子だった。それを私は知っている筈だったのに、アハハハ馬鹿じゃん私。
「ごめんね。頭が回らなくて、これからはちゃんと言う!でも今回のは見逃してほしい!お願い!」
「…うん。待っててあげる。私偉いから」
冗談交じりに言う叶出。この子が親友で良かった。一度もこの子を親友と思ってないことなんてない。なのに私は裏切ってしまった、大切な人を裏切っちゃった。
こんなにも心が痛むものなんだな。嘘をつくこと、絶交されるのかと襲ってくる恐怖の気持ち。凄く心が傷つくこの感じ。怖かった。
次からはしないようにしよう。叶出を傷つけないように、私はそう胸に刻んだ。
叶出は暗くなった私の顔を見て笑いながら頭を撫でてくれた
「もう〜そんな顔しない。私はまいっちの味方だよ?親友だよ?義理姉妹だよ?叶出がそうやって隠す時は人の為にやっていることでそれをその本人が知られたくないからまいっちは言わないんだよね?解ってるよちゃんと。」
そんなこと言われたら泣きそうになる。
「ほら!教室行くよ!あ、今度新しくドーナツ屋さんが帰り道出来るんだって!今度食べに行こ!もちろん奢りねー」
「はいはい、分かりましたよお嬢様」
二人は手を繋いで歩く。幼稚園の遠足に行った日を思い出す。こうやって歩いたっけそう言えば
だから私は本格的に調べる。空き巣を捕まえるのでは無い。どうやって入ったのかをだ!
学校が終わり先生のマンションに向かう。帰り道、怪しい人がいないか確認しながら帰る
とりあえずは居なかった。そして次の行動は警備員さんと以前に起きたことについて話を聞くことだ。
私は警備室に行き、ノックする。警備員さんがドアを開ける
「はいはい。おや?見かけない顔だね?どうしたんだい?」
優しそうな50代半ばのおじさんだった
「お忙しい中すみません。少しお話をさせて頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
私は態度良く警備のおじさんに訪ねる。
「ん?ああ、良いけど?なんのお話かな?」
「先日このマンションで空き巣が入ったと聞きました。その時何時に空き巣に入られたのか、それと何を盗まれたのかを教えていただきたいのですが」
おじさんは急に顔を引き締めた。
「君、そのことを誰に聞いたんだい?」何だかとても真剣な目をしていた。だが、私は正直に答えるのが怖くなったので先生のことは言わなかった。
「風の噂で聞いたんです。ここに空き巣が入ったって学校でも広がっていて、私はそう言った事件などを自分なりに推理するのが好きなんです。ですから教えて頂けるといいなと思いまして」
「そうかい、、、んーどうしようかな?本当はこういう事は言わないようにしているんだけどね。」
ここで聞かなければ足元をジタバタするだけだ。ここは何としてでも聞かねば
あの技を使うか
「おじさ〜ん。おねが〜い、ね?」
必殺!JKの上目遣い!!
「うっ!」
よしよし聞いてる聞いてる!あともう一息
私はおじさんの服の袖をつまみ
「ダメ?」
「うっっ!!」
これぞコンボ奥義JKの魅了!
おじさんはおちた
「仕方ないなぁ。皆には内緒にしといてくれよ?こんなこと他の人に言ったってなったらおじさんの首飛んじゃうから」
「分かりました!ありがとうございます!」
良しっ!これで第一関門突破だ
そして私は警備室に入り事情を聞く
空き巣に入られたのは408号室の新婚ホヤホヤの御夫婦の家だった。そこに警備のおじさんが犯人を見つけた。最初の目撃者はこのおじさんだったのだ。見つけた時刻は00:00過ぎ、そしておじさんは犯人を捕まえようと追いかけ途中で転び犯人を逃してしまったらしい。おじさんは直ぐにそこの家の人に連絡を入れた。
なぜ誰もいなかったのか。それはそこの夫婦は同じ会社で同じ同僚でお付き合いをしていたらしく、結婚後も共働きをしていたからだ
そこの夫婦は警察は呼ばなかったらしい。別に取られたわけでもないし、結婚したてでもし会社に知れ渡ると迷惑をかけるからだそうだ
私はおじさんに問う
「防犯カメラには犯人の顔写ってないのですか?」
おじさんは頭を横に振る
「その日はオートロックと防犯カメラの取り替えがあって朝一番にやる予定だったから映ってないんだよ」
すごい偶然の重なりだな。
「おじさんは見てなかったの?犯人の顔」
「犯人は黒いフードとマスクと黒いサングラスを身に着けていたから顔が見れなかったんだよ」
なるほど。大体は理解した。しかねる所もあるがそこは今考えても埒(らち)が明かないため一旦おいておく
私は一応聞きたいことがあるため聞いておいた
「質問です。00:00前にはドアが閉まると聞いたんですが閉まると聞いていたんですがそれ以降に帰ってくる人達はどこから入ってくるんですか?」
これが今回の鍵となるはずだ
「あーそれはここの住民は皆マスターキーを持っているんだよ。だから深夜帰ってくる人達は裏口まで回ってもらって鍵を開けるんだよ。ほらこれがそのマスターキーだよ」
マスターキーはカードのようなものなのか
「おじさん最後に質問。今防犯カメラの取替が終わっているのはどの階なの?」
「もうほとんどは終わっていて後は39と40の階だね」
まずいな。つまり先生の部屋も危ないと言える訳だな。何とかしないと
「分かりました。お話ありがとうございました」
私はお礼をし、先生の部屋に行く。
話を整理するとまず犯人は00:00前には入っていた。おじさんが犯人を見つけたのは00:00を過ぎていたからだ。その次に盗まれた物は何もなくただ散らかっていただけだった。
そして犯人は何らかで裏口を見つけ内からは捻る鍵がついているためそこから逃げた。と、、
私の推測はこうなった。盗まれなかったのは良かったが犯人は捕まってほしい。一刻も早く手がかりがほしいところだ。捕まらなくても犯人が二度とこのマンションに入られないよう何か策が欲しい。
私が考えていたら先生が帰ってきた
「すみません。少し遅くなりました。今からご飯にしますので手伝ってください。」
とにかく考えるのは後にしよう。先生を不安にさせるわけにはいかないしな。
夕食を終え、お風呂に入りまた考える。
だが、考えても犯人の目的もどこにいるかも分からない。まぁ犯人は金目の物が欲しかったんだろうが
お風呂から上がり先生と今日の学校での出来事を話した。叶出のこともだ
私はこの件が終われば叶出にこのことを話したいと先生にいった。
「そうですか。分かりました良いですよ。先生の為にあなた達の仲を裂くわけには行きませんしね。」
これで私と叶出のことは解決できた。後は犯人だけなのだ
布団を引き横になった。時刻は23:49だった
もう閉まる頃かな?ここで私はふと気づく。
犯人は本当に外から来たのか?なぜ防犯カメラがつかないタイミングで来たんだ?知っていた?何だか私は無償に疑問を抱く
先生に防犯カメラのことを聞いた
「え?防犯カメラがついてなかった?先生初耳ですよそんなの。そう言ったことは警備の人が手紙で知らせてくれるんですよ?でも、そんなものは届いていませんし」
先生の言葉を聞いたとき私は鳥肌が立った。そう、つまりこれは犯人は外部からではなく内部による犯行。そして、防犯カメラのことを知っていてそこの住人の鍵を管理している人。まずい、私は犯人を知っている。接触している。
ガチャガチャ
ドアの向こうから金属の音がした
恐怖が襲ってきた。私は咄嗟に小さく先生に
「先生、物音を建てずに電気を消してこっちに来てください!」
先生は慌てているが私が行った言葉通り慎重に行った。そして、ドアが開く音がした
私達はベランダの外へ隠れた。カーテンを少しだけ開けて犯人の顔を見ようとした。
薄暗くて良くは見えないが間違いない。あの体型と身長は間違いなく警備のおじさんだった。
クソっ!私がもう少し情報を知った上でもっと頭を働かせたらこんなことにならなかったのに!
私はじっと犯人を見ていた。すると犯人が私達の視線を感じたのかぐるっと顔をカーテンの方に向け私と目があってしまった
マズイ マズイ マズイ マズイ
私は咄嗟に体を隠した。その時にベランダにあったサンダルを蹴ってドスっと音を立ててしまった。
しくじった!犯人が来たらどうしよう!
少しずつ足音がなる。犯人が近づいているのか?頼む!来ないでくれ!そう拝むしかなかった。
だが、ベランダが開く音はなく足元も無くなった。もしかして、助かったのか?
そう信じ、ベランダの方へと顔を向ける。するとカーテンから犯人のニヤけた目が覗き込んでいた。
心臓が一瞬止まった。息ができなかった。恐怖を前にすると声が出ないと言うのは本当だった
犯人はベランダを開け私に向かってこういった
「数時間ぶりだねお嬢ちゃん。まさか狙っていた番号室に泊まっていたとは」
犯人が私に手を差し伸べる。動けない。怖い。誰か助けて!!!
次の瞬間、何が起こったのか分からなかった。犯人は宙を浮いていた。━━━━
「いやーでも良かったねどこも怪我がなくて」
「うん。すごく怖かったけど、一番怖かったのは先生だったな」
あの後先生が見たことのない顔をしていた。表すのなら仏様がお怒りになったような、そんな表情をしてた
………
「貴方、よくも私の可愛い教え子を恐がらせましたね。絶対に許しません」
「ヒィ!」
その後先生は関節技を炸裂そしてやっと動けた私は警察に電話。警察が来るまで先生が犯人を押さえてた
「まさか先生が空手と柔道と合気道ができるとは」
「先生そこら辺の警察より強いんじゃない?」
本当にその通りだ。警察もその光景を目にした時は驚きすぎて30秒位瞬きしてなかったもん。
てか、今回私泊まらなくても良くなかった?先生一人でも良くなかった?私いらない子だったよね?
事件終わりのその夜先生は泣きながら抱きついてきた
「怖かったよ〜!うわーん!」
私的に先生が怖かったです。もう犯人の恐怖なんかすぐ消えました。先生が全部掻っ攫(かっさら)って行きましたよ
先生が私に心配した顔で聞いてくる
「あ、、、そうだ!舞さん怪我はありませんか!?どこも痛くありませんか!?具合悪くないですか!?ごめんなさい、私より貴方の方が怖い思いしましたよね?舞さんごめんなさーーーいぃぃ」
号泣された。まぁとりあえず犯人は見つかったし良かった良かった
学校帰り先生の家に行く前に警察のところに行き何故空き巣等したのか聞きに行った。結果、あのおじさんは女性の下着を盗もうとしていたらしい。つまり下着泥棒って訳だな
そして408号室の人の盗めなかった原因、それは引き出しを探っているときに見つけたSMプレイに使う玩具(おもちゃ)と女王様が着る服とムチがあった為、萎えてしまってやめたらしい。そりゃ見られたくないから警察なんて呼べるわけがない。恥ずかしいもんな、あんな物見られたら
私は先生の家に行き、荷物をまとめ先生が帰ってくるのを待つ。
10分後、先生が帰ってきた。私は先生にお礼をし帰った。
さぁて昨日は驚いたなーまさか先生に裏の顔があったとは、、、
まぁそれを含め今日のことを書いて寝ますか
【今日の日常生活】
(先生を怒らせるのはやめよう!叶出はこれからもズッ友♡)
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