学校の帰り道、今日は自己紹介と今後の説明だけだったので午前中には終わりまだお昼が回っていない時間。
暖かな日光と心地良い風にあたりながらゆっくりと帰る。
そんな中、何やら香ばしい香りが漂っている。
何だろう、よく嗅いだ事のあるような懐かしい匂い。
二人はその匂いに案内されるようにその方向へと向かう。
「何だろうこの匂い。スンスン、スンスン、何か思い出せそうなんだけどな」
叶出もか。てことは私達は必ず知っている匂いと言うことは間違いないのだろう。
後もう少しで思い出せそうなんだがそこまでが辿り着けない。
だんだんと匂いが濃くなってくる。
「あ、もしかしてあれかな?」
叶出が指を差した方向
あ、なるほどね。あれか、なら知っていて当然だ。お祭りには欠かせないもんな
「「たこ焼きだ!」」
でも、私達の知っているたこ焼きとは少し違う。何だかまだ隠されている気持ちになる
「いらっしゃいお嬢ちゃん達!たこ焼き買っていくかい?それともお好み焼きかい?」
そうかお好み焼きか。二人はスッキリした顔をする
「お!そんなにいい匂いするかい。まぁなんて言ったってこれはちょいと特別なソースを使っているからな」
お、いきなり話しをしだしてきたぞ。これは長引きそうだ。だが私達も帰ってもすることはないから黙って聞くことにする。
「このソースはな、大阪のソースでなそれをちょいとおじさんがアレンジして作ってな、最初はただの軽い気持ちの挑戦だったんだがこれがビックリなことに美味しいも何も…おっと話しし過ぎちまったな。わりぃわりぃ」
「いえいえ、面白かったですー」
叶出が最後に伸ばし棒を入れるときは大概面白くない時だ。
全く、可愛いくせにこの性格。本当面白いやつだよ。
「ホントかい?そりゃあ良かった。で、どうだい?買っていくかい」
勿論そのつもりだ。こんな美味しそうな匂いを漂わせておくうえに話まで聞いたんだ。買わないわけがない
「じゃあ私はたこ焼き8ヶで」
「私はお好み焼きで」
「はいよ!たこ焼きとお好み焼きね。ソースはどうするんだい」
ほう、そんなものまで選べるのか。お祭りの屋台じゃ大体決まってるからなかったけど
この匂いはこの特別のソース。これを頼まなくて何を頼もうと言うのか。
「おじさんの特製ソースが良いな」
「お!嬉しいこと言ってくれるねぇ。そちらのお好み焼きの譲ちゃんは何にするんだい」
「んー、どうしよ」
深く考える叶出。まぁ気持ちはわかるぞ、なんて言ったってソースの数が8種類もあるのだから悩むのも仕方ない。
そしてやっと顔を上げた叶出
「よし!決めた。ポン酢マヨで!」
「はいよ!少し待っててくれよな」
いいチョイスだ。だが私はてっきり叶出も同じくあのソースにするのだと思っていたのに
「はい、おまちどう」
なんて美味しそうなんだ。
「お会計だけどたこ焼きのお嬢ちゃんは420円、お好み焼きのお嬢ちゃんは450円、って言おうとしたがおじさんの話を聞いてくれたから400円で良いよ」
おー、この人凄く良い人だ
消費税が浮いた気分だ。これは嬉しいことだ
叶出の顔を見ると、叶出は少しニヤリとした顔をしていた。もしかしてこいつ
「ありがとうおじさん。また来るねー…あ、また違うお話もあったら聞かせてね」
「お、そうかい。こんなおじさんの無駄話聞いてくれるなんて今日はなんて良い日なんだ。また来ておくれ次はすごい話を持ってきてやるよ」
なるほど、やっぱりか。こやつおじさんの見た目の年齢判断で私達くらいの年齢が娘位と考え少し笑顔に接してたのか。
怖い子。叶出怖い子
「はーい。まったねー」
私達はおじさんに手を振った
「毎度ありー」
おじさんはすごくいい笑顔で大きく手を降ってくれた
私達は家の近くの公園まで歩き、そこの公園のベンチでお昼にすることにした。
「もう待ちきれないよ」
今にも涎を垂らしそうな勢いの叶出がお好み焼きに手を伸ばす
「叶出そんなに細い身体してるのによく食べるよね。てか、私よりスタイル良いし」
「何でだろうね?」
ニコニコしながら私の胸を見ながら答える
ほんと、いい性格してるよ
だが、私はあえてそこに触れる
「あんたさぁ、おじさんのことと言い、あたしの胸のことと言い性格が悪魔レベルだよ」
これで反省するようなやつではないのはわかっているが、こいつ自身が気づいてくれればそれでいい。そう思っていた
「え?そんなことないよ」
この次の言葉に私はおののく
「悪魔なんてそんな低級じゃないよ?私はルシファー並にだと思ってるんだからそんな低級魔族と一緒にしないでよ」
な、なんだと…自分は悪に染まってることを自覚してる上、悪魔ではなくルシファーと言う堕天使になっていると申すのか
やりおるな
呆れたを通り越して尊敬の詣りだよ
「あっはははははははは」
もう可笑しくて笑いが出る。てかここで笑わないのが可笑しい、だってあの子は自信満々に言うんだもん。そんなの狂ってるとしか言いようがないじゃないか
「ばっかだねーホントー。あ~あ、笑い過ぎてお腹すいた。食べたい度マックスだわ」
「そんなに?じゃあ早く食べよー」
食べ物に体を向け、手を合わせて
「「いただきます」」
仲良く食べた
そして少し話は戻るが叶出が悩んでいたソースだが、あれは私とお互い交換するために少し薄めの味を選んだんだろう
こいつがしてくれることはいつもあたしが絡む。全くこいつはルシファーを名乗るくせに優しいやつだ。なら私はこいつのミカエルになろうではないか。実に私達らしいではないか。
そして私は日記をつけることにしようと思う。
これからの毎日、こんな楽しいことがあるのなら記憶と記録に残したい。
だから私は最後にこう記そう
【今日の日常生活】
(私の親友はルシファー)
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