次の日の朝、いつも通りギリギリに起き顔を洗い制服に着替え、叶出が迎えに来て学校へ行く。
だが今日はちょっとしたイベントがあるらしい。それが今日の終業式のことだ。
講堂で朝礼が始まり学年に別れて1列ずつに並んでいる。皆がそわそわしている。夏休みが始まるのだから仕方がないのだが、それにしても列が乱れすぎている
「…ですのでくれぐれも危険なところには行かないで下さい」
校長先生の長い言葉が終わり、そして各クラスは担任の所に集まり課題を配られ下校する。
私達は校門へと向かう。
「いやー、やっと終わったね。ねぇこのあとコンビに寄らない?アイス食べたいよ〜」
7月下旬、真夏が始まる時期。私も賛成だった
「良いよ。その代わり早く決めてよ?叶出はいつも選ぶの遅いんだから」
「えー、だって沢山あるんだから仕方ないじゃん!私が悪いんじゃないよアイスが悪いの!」
夏になればいつもこの話題だ。何も変わらないし何も変えられない。
はぁ、いつになれば非日常が来るのだろうか全く退屈だ
真っ青で雲の陰が少しもない道をただただ歩く、そしてコンビニへと着き叶出が中へ駆け込む。
「あーー生き返るー!」
両腕を天井へ伸ばし日本人皆が言いそうなことを代弁する。
「そうだね。さ、早くアイス選んじゃお」
二人はアイスコーナーを眺める。私はいつも買うアイスがある。
「やっぱりこれじゃないと夏って感じしないわ」
私は迷わずそのアイスに手を伸ばす。そうガ○ガリ君だ
叶出が首をかしげ私に問いかける
「今更だけどさまいっち、何でいつもガ○ガリ君なの?他にもいっぱいあるのに?たまには別のを食べないの?」
「ないよ。夏はこれを食べないと気がすまない」
即答する。これを食べずに夏が過ごせるか!!これは私の夏のお供で相棒なんだ!あ、叶出は人間なので殿堂入りなので含まないよ?
「えーせっかくこんなにあるのに勿体無いよ」
「いいの。私はこれが好きだから。それより早く選んでよ?私のアイス溶けちゃうから」
「あー!待ってよー」
二人とも買い終わった。私はガ○ガ○君のソーダ味、叶出は白○まだ。
私達はアイスを食べながら帰っていた。そうでもしないと溶けてしまう。コンビニの前で食べる手段もあったが一刻も早く食べたかったのと家でキンキンに冷えたクーラーの効いている家に帰りたかったのだ
「ねぇまいっち!今日まいっちの家で夏休みの課題やろーよ」
「お、良いね!出来たら教えてね写すから!」
「いやなんでなの!私よりまいっちの方が勉強出来るんだからちゃんとしてよ!」
叶出にツッコまれた。なんて無駄のないツッコミなのだろうか。だから私は叶出を好きで居続けるんだろうな。ニヤついてしまいそうになったが我慢した。
そのままくだらない話をしてたら家に着いていた。
「「ただいまー」」
息ぴったり言うとふと思った。何でこんなに揃って言うことが多いんだろ?そりゃだから双子なんて思ってるんだけどいつからか憶えてないがよく毎度毎度よく揃って言えるな私達
「おぉーお帰り二人とも」
リビングから声がした。私の父さんの声だ
「ただいま、母さん調子どうだった?」
「あー今は落ち着いてるよ心配することは無いよ」
母さんは今絶賛夏風邪中なので父さんが3日間有休を取って母さんの面倒を診ているのだ
「そっかママさん風邪だったね」
叶出が心配してる顔をしている。ここは私が紛らわせないと
「大丈夫だって、父さんが言ってたでしょ?心配ないって。さ、私達は課題するよ」
「うん!そだね」
よし!笑顔が戻った。私偉い!
そして叶出を連れて自分の部屋に行こうとすると
「あ、舞少しいいか?」
父さんが私達の足を止めた。私は先に舞を行かせて父さんのところへ行った
「どしたの父さん?」
「ここは家なんだからパパって呼びなさい!」
「え!そんな事で呼んだの!?」
察してくれてる人もいると思うがとうさn…パパは娘を甘えさせたがる親バカなのだ。いや、別に嫌いじゃないよ?寧ろ好きだよ?でもこの歳にまでなって友達の前でパパって呼ぶのは恥ずかしいのだ。わかってくれパパ様
パパが口を開く
「それもあるんだがな、それとはまた別だ…舞」
何だかいきなり空気が変わった。パパの目が真剣になった。何だろう?もしかして母さんに何かあったの?
「舞、大きくなったな」
余計な心配しなくて良かった。てか、何が大きくなったの?身長?胸?流石にそれだと娘もドン引きだよ?私は恐る恐る聞き返す
「な、何が大きくなったの?」
父さんが優しい顔で私に言う
「大人になったって意味だよ。叶出ちゃんを心配させないように元気づけるよう言ったんだろ?だから大きくなったなって言ったんだよ」
…少し照れくさかった。父さんは母さんより私に怒ってくれたり褒めたりと雨とムチが上手いのだ。怒ってくれるときはちゃんと1から話を口を挟まずに最後まで聞いてくれてその後で叱ってくれるし私がいい事するとちゃんと言葉にして言ってくれる。凄くいい人なのだ
「い、いや別に…ただ叶出が笑顔じゃないと私も調子が悪くなるからそう言っただけだよ///」
「そこが大人になったって言ってるんだよ。舞は母さんに似て優しい子に育ってくれたね」
本当この人は恥ずかしいことをスラッと言うんだから
「も、もももういい!?叶出待ってるから!!」
アカン、ここに居たら恥ずかしさで顔が沸騰しそうだ
「あぁ良いぞ。足止めして悪かったね、勉強頑張れよ」
「う、うん」
私は急いで上にあがる
「あ、舞」
また父さんが足を止める
「今度は何?」
「今日叶出ちゃん家で食べるように言っといてくれ。あっちにはもう連絡を入れてるから…それと」
「ん?」
「お前は顔より耳が先に赤くなるから照れてるなんてお見通しだ」
父さんがめっちゃ笑顔でそんなアホなことを言ってきた。さっきより顔が熱くなってきた
「バカ!!!///」
私はダッシュで階段を登る!何なのパパのバカ!叶出に聞こえてたらどうするのよ!
「本当だぁ耳が真っ赤だ」
もう遅かったらしい。よしこの3日間父さんと呼んでやる!!これは罰だ!!!
今日やる分の課題を終え丁度晩御飯が出来ていた。
「「いただきます」」
「はい召し上がれ」
父さんは先に母さんにお粥を持っていき食べさせに行った。いつまでもラブラブな夫婦なことだなまったく
「パパさん本当優しいよね。あれが理想のお父さん像なんじゃない?私のパパには負けるけど」
何言ってんだこのファザコンが、私は対抗する
「確かに理想のお父さんだよ。親バカが過ぎるのはちょっと頂けないけど叶出のパパさんより私の家の父さんの方が格好いいよ」
叶出もムキになってきた
「ムッ 家のパパの方がカッコいいもん!優しいし!顔もイケメンだし!何より声がカッコいいもん!落ち着く声だもん!」
「ふんだ それなら私の父さんもそうだよ。背は高いし私の考えを尊重してくれるし私を信じてくれるし、その上家族思いだしね!」
「叶出のパパだってそうだもん!全部当てはまるもん!」
「舞だって叶出が言ってたこと全部入ってるもんね!」
「シャーーーーー!」
「ガルルルルルル!」
ただの自慢大会になってしまった。
ガチャ
後ろのドアが開いたと思ったら父さんが電話しながら泣いていた。
「どうしたのパパ!?大丈夫!?」
どうしてそんなに号泣しているのか?心配してしまう
「ぁ、いや…叶出ちゃんのお父さんと電話してたらお前達がパパ達の自慢を言い合うもんだから何だか嬉し涙がな…あーヤバイまた泣きそう」
聞かれてた………超ーーーーーーー恥ずかしい!!!!!!!!
叶出の顔がタコみたいに真っ赤だ。多分私もそうなのだろう
叶出が焦って私のパパの携帯に指を指す
「え、ええ!パパと電話してるの!?何で何で何で!!!パパさん今すぐ切って!お願いだから!」
「やだよーだ!今からパパ達は娘の自慢大会するんだからな!まだ切らんぞ!」
大人気ないな、、、え?自慢大会?あたし達の?
「やーーーめーーーてーーー///」
私達は必死に追いかけ携帯を奪おうとする。私は追いかけながらこんな時間も悪くない。何てそんなことを思っていた。
今日はこんな感じで1日を終え叶出は家に帰ったらパパさんに言い訳すると言って帰って行った。叶出、、、お前がパパさん大好きなのはパパさんも知ってるよ。お互い父親には手を焼かされるよ。焼けたのは私たちの顔だがな
今日は恥ずかし過ぎて疲れた。せっかく夏休みに入ったから夜更ししようと思ってたのに1日目から予定がくるちゃったよ
では、今日はここで終わるとしようかな
【今日の日常生活】
(今日から夏休み!私も少しファザコンなのかもしれない)………?
ていうか今日叶出から話聞くの忘れてた
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