8/1午後6時
これから叶出と家の近くのお祭りへ行く。
「それじゃあ行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
これから私は叶出の家に迎えに行くところだった。
家から徒歩5分、私は毎年叶出の家へ向かいに行く。私の家より叶出の家の方が近いからだ。
ピンポーン
叶出の家に着いた
「はーい」
扉が勢いよく開き、勢いよく叶出…のママさんが出てきた
「舞ちゃーん!久しぶり〜。全然顔見せないから寂しかったのよー」
「うぐっ、苦し、いぃ」
ち、乳が!巨乳が!…幸せ、じゃなくて邪魔だ!!私は叶出ママの体を押す。
この人はスキンシップが激し過ぎるよ全く。嬉しいんだけどこう激し過ぎるとお胸様がうらやまけしかr…親友のお母さんに何思ってんだ私
「ちょっとママ!!何してんのよ!」
お団子の髪の毛にピンクの口紅、百合の柄の浴衣に女の子らしい下駄。本当こういうのが似合うな可愛い
叶出が私の腕を引張ってくれた。
「もう!ママったらまいっち来るといつも抱きつくんだから!少しは落ち着いてよ」
「あらあら、娘に怒られちゃったわ、うふふ」
叶出は私の頭を撫でながらママさんに注意している。叶出さん、貴女も人の事言えないよ?スキンシップとか特に
「ちょっと叶出頭撫でるのやめてくれる?髪が乱れる」
私は叶出の手をどかした。そして改めてママさんに挨拶をする
「ママさんお久しぶりです。それでは叶出と出掛けて来ます」
ママさんはニッコリと微笑む
「はい、いってらっしゃい。帰り少し寄っていってね。学校のこととか聞きたいわ」
「ええ、分かりました。それでは行ってきます」
私達はお祭りのある神社へと向かった。
目的地へとついた。小さなお祭りだが人が賑わっている。この光景はいつ見ても変わらないな昔も今も
「まいっちまず最初は何にする。輪投げ、射的?あ、それとも何か食べる!」
叶出がはしゃいでいる。お祭りだといつもこんな感じだ。この叶出も変わらないな
「それじゃあまずは異世界へと繋がっていそうな場所を探して冒険をしようか。それから魔王を倒してお金をわんさか手に入れて2人で静かな街で暮らして」
「それお祭りの楽しみ方違くない?」
「そだね、私は年がら年中思ってるもん」
「いやそうだけど、、、そうじゃなくて!お祭り!異世界のお話は今は置いといてお祭りを楽しむの!」
私はお祭りよりこう言った異世界への行き方とそれからの話のほうが好きなのになぁ。お祭り人が多くて屋台も多いから蒸し暑くて疲れる。
「分かったよそれじゃ先に何か食べようよ。焼きそばとかフランクフルトとか」
「そだね、それじゃ買いに行こー!」
それから私達は焼きそばとフランクフルトを買い、神社裏のベンチで食べることにした。
「おいしそう。いっただっきまーす」
叶出は焼きそばをほうばっている。こんなにスタイル良いのに大食いなんだよなこいつ。何で太らないの?不思議
私もフランクフルトを食べようとプラスチックの入れ物を開けようとしたとき目の前に何か光る物が見えた。気になったので光る方向へ行く。もしかして封印されしペンダントだったりして!
私は胸を躍らせてそれを拾う
「ん?ビー玉?」
なーんだビー玉か。いや待てよ?もしかしてこのビー玉を割ると魔人が出てきてこの世界を乗っ取るとかそういうイベントだったりして!!
割ってみようかな?どうしようかな?魔人とか本当に出てきたらどうしようかな?ワクワクするな!でもこのビー玉見覚えあるようなないような?
すると後ろから叶出がのぞき込んできた
「どうしたのまいっち、あ!それ万華鏡ビー玉じゃん!」
万華鏡ビー玉?写輪眼じゃなくて?ん?万華鏡、、、何だっけそれ?
「これ何だか見覚えあるんだけれどなんだっけ?」
「えー!まいっち憶えてないのー!小さい頃よく集めたじゃん。ほら駄菓子屋さんのガチャガチャでいろんな色や形が見えてさ」
色や形が…あ、思い出した。そういえば興味本位で回して目を覗かせてたら凄い形が広がって輝いていてそれを太陽に照らして見てみるともっと綺麗に見えたっけ。懐かしいな
「思い出したよ。懐かしいねこれ、まだあったなんて思わなかったよ。でも何でこんな草むらに落ちてたんだろう?」
万華鏡ビー玉は砂で汚れていて傷だらけだった。とても古い感じがした。私達が小学校上がる前からあった物だし古いのは当たり前なのだがどうしてか何だか哀しく思えた。
あの頃は見るものが輝いていて楽しくて、とても可愛い叶出が…いいね!
「まいっちとよくあそんだなー。」「今もずっとあそんでいるけど」
叶出が何だかむずっとした顔をしていた。
「どうしたの?なんかあった?」
「あーいや、私達そういえばここでよく遊んでたのを思い出してね。それでこのビー玉でいろんな角度でみて楽しかったなーって、でも」
「ん?でも?」
何だかはっきりしないな。どうしたのだろうか
「確か遊んでいるうちにまいっちが1つビー玉を無くして泣きながら探してたのを思い出してね。確かピンク色で光を当てて見ると雪の結晶のような形をしていたような」
「そう言えばそんな形してたっけ。」
「うん。それで私のと間違えないようにどこかに鉢で小さく穴を開けてたよね?訳わかんなかったけど」
あーそうだそうだ。叶出と同じ種類のやつが多くなったから分かりやすいようにと思って穴を開けたんだっけ。訳わからんけど
その時ふと頭の中で何かがよぎる。そして私はビー玉を覗く。その時に確信した。そしてこれが何故ここにあったのかも分かった。
「ねぇ叶出、これ私のかもしれない」
「え?どういうこと?」
「私ビー玉に穴開けてたじゃん?そのビー玉を覗いたとき形が変わったの覚えてる?」
「覚えてるよ!確か中でヒビみたいのが入って結晶の真ん中に雷みたいな線ができたんだよね」
そう穴を開ける時、中のガラスにヒビが入って形が変わった。そしてそのヒビが雷みたいに入り凄いものが見えた。それはとても綺麗で少し儚いような形を見せていた。
「叶出これを屋台の方に向けて覗いてみて」
叶出がビー玉を覗く。すると叶出は固まっていた。その横顔は驚いているようで泣きそうな顔をしているように見えた。
叶出が喋る
「まいっち、これもしかして小さい頃になくしたビー玉」
「うん。きっとそう、ビー玉に穴を開けるような奴私以外にいないと思うし」
そう。このビー玉は間違いなく私のだ。雪の結晶に雷の様なヒビ、ずっとここにあったんだ。この場所にずっと、なんだか私の帰りを待っていてくれていたかのように
そう思うと悲しい気持ちと少し心暖かい気持ちが湧き出て来る。
懐かしい。私はこのビー玉の存在を忘れていたのがありえないくらいにあの頃はたくさん遊んだのに、成長するにつれて忘れていっていた。
叶出と目を合わせ今日は早めに家に変えることにした。
私達は昔みたいに手を繋いで帰る。いつもはお面と綿菓子だが今日の手荷物はこのビー玉だけ。
それから私達は佐倉家に帰りママさんとお話をして私は家に帰る。
今日は思い出を覗いていた日になったな。
私はこのビー玉を忘れたくない。もう忘れはしない。だから今日の記録日記にこう書こう
【今日の日常生活】
(思い出はまるで万華鏡のようだ)
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