何も無く平穏な日常よ

平日
ゆーj
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学校の七不思議?

公開日時: 2021年5月20日(木) 21:49
更新日時: 2023年10月29日(日) 21:36
文字数:3,964

もう二学期が入った9月上旬。面倒くさい授業、愛しの信子先生。一学期と変わらない学校生活が始まっていたある日、私はお手洗いに行っている最中に通り過ぎる同級生の話に耳を向けた。


『ねぇ、学校の七不思議って知ってる。』『七不思議?この学校に?』

『そうそう。夜の九時を過ぎた時間に学校の渡り廊下を歩いていると女の人が声をかけてくるんだって!』

『えー、なにそれぇ』

…七不思議なんてあったんだなうちの学校に。

お手洗いから帰ると私はすぐに叶出のいる方に向かいさっきの話をした。

「ねぇ叶出。学校の七不思議知ってる?」

「あ~知ってる知ってる。私が知ってるのは渡り廊下を歩いてたら女の人が話しかけてくるってやつだけなんだけど」

「私もそれさっき聞いたんだよね。残りの6つって何だろう?」

私達は気になったので面白半分でクラスの人たちに聞きまわった。結果残り6つが分かった。

七不思議その一、時計の針。夜、学校に忘れ物を取りに行った生徒が教室に入った。少し遅れると親に連絡を入れて送信ボタンを押したら反応がしない。その時は別に気にせず忘れ物を持って帰ろうとした次の瞬間、異変に気づきふと時計と見ると学校に入った時間帯で秒針が止まっていて腕時計や携帯を見ても同じ時間で止まっていた。怖くて急いで学校から出て時計を見ると時間が進んでいた。


七不思議その二、先のない廊下。ある時間に三階の廊下を歩くとあるはずの壁がない。いや、実際にはある。目の前には確かにあるはずなのに進んでも壁にはたどり着けない。そしてそのまま振り返ってしまうと一生帰れなくなる。


七不思議その三、校舎裏の窓。校舎裏に一本の大きな木があり昼頃にその木の下に手紙を埋め、放課後に木の下に埋めた手紙が無くなっていたら手紙に書いてあった願いを叶えてくれるらしい。ただし手紙が残っている時はその願いは無効される。そして誰にもバレないよう午前5時半に校舎裏に行くと学校そばにある家の窓から必ず男の人が笑って手を振っている。


七不思議その四、渡り廊下から女の声。これは先程聞いたやつだ。なので内容を省く。


七不思議その五、女子トイレから苦しむ声。何年か前この学校である生徒が虐められてその生徒はトイレの便器の水に顔を押し込まれそのまま息絶えた。そして悪霊、というか地縛霊としてトイレの中で苦しみ悶ている声が聞こえるらしい。そしてそこに近づく者がいればその霊に取り憑かれ不運が起こる。ひどい場合は死ぬこともあるとかないとか。


七不思議その六、職員室のパソコン。当時職員は全員で37人いるのだが1つだけ空いている席がある。そこの場所は以前座っていた人がいたのだが何故かパソコンだけは起動のまま置かれてある。それを覗いた新人の教師はそれから変な夢ばかり見たり金縛りにあったりと不運の連発が続き学校をやめた。これは今の校長先生より前の時代からあったらしい。


七不思議その七、カラスの群れ。夕刻の時、見た目よりかなり大きなカラスと目が合えばその夜その人の寝室の窓から覗く、、がこれはこの学校に通っている学生だけらしい。


「………まぁこんな感じだったかな?」

「うん。そんな感じ」

「「…………」」

何故か黙ってしまった。この後のことを知りたくないから、少なくとも私は

「ねぇ、もう暗くなるね…」

叶出は遠くの目を窓に向けてみていた。やめろそれ以上はやめろ。いやまじで

「「……」」

叶出があたしに顔を向けた

「いま、何時?」

「…7時前」

「「…………」」

………いやいやいやまさか

「やろう!!」

「断る!」

勘弁してください

「えーなんでよ!こういうの好きでしょ?」

「あのね!私が好きなのは異世界であってオカルトじゃないの?You know?」

「一緒じゃない?」

「違うでしょ全然」

何勘違いしてるのこの子は私はダン○ちとかリゼ○とかなの!鬼○郎じゃないの!!

「ていうか何で叶出はそんなにしたいのよ?本当にあったらどうするの?」

「え?嬉しい?」

「…あ、そっか」

「うん。だって私未知の世界っていうか未知の存在に会うのが夢だったから」

そうだった。私と叶出は確かに言ってることは合っているんだが意味合いが違う。私はドラゴンやコボルトや勇者。叶出の場合は花子さんや鬼蜘蛛や人面犬の類。空想の生物?と言う点では同じなんだけどなぁ

「それじゃあ今できる二、四、五をやろー!」

「ええー、かえろうよー」

結局することになった

やだなー、帰りたいなー、めんどくさいなー

「ふんふんふーん♪」

どうしてこうなるのよ。おかしいよ!早く帰って小説読みたいのに!

「さて着いた!」

「着いてきてしまった…」

叶出を置いていくのは流石に無理だから付いてきたけど、夜の学校はやっぱり雰囲気がある。

本当に今出て来てもおかしくない雰囲気。私達は学校の七不思議のうちの一つ『先のない廊下』をしている最中

「ところでまいっち。ある時間って具体的に何時なんだろうね」

「知らないよ全く…結局こうなるんだから早く帰ろうよ。面白くもないし」

別に怖いわけじゃない。そう、怖いわけじゃないよ?私が怖いとか思うわけ無いじゃん。だって目に見えない未確認生物じゃん?何なら生き物じゃないじゃん。はい、もうこの時点で怖いです。てか、未確認生物ってだけで怖いのに生き物じゃない者の姿見えるってなによ。オークとかゴブリンは顔は怖いけど触れるし倒せる、それに比べて幽霊は触れないし、妖怪は触れれるかもしれないが気配消しながら襲い掛かってくるしストーカーと一緒だよ?怖いじゃん。

あ、怖かったです。


始まってから30分経過。特に何もない。私達は廊下の端から端をちゃんと行き来できている。

「うーん、この時間じゃないってことはもっと前か後か…これはまた今度しよっか!」

「しないよ!なんで30分もこんな事に付き合わなきゃならないのよ!」

こんなに無邪気に遊ぶ叶出は可愛いけど下手したら命落とすよ?馬鹿なの?

すると叶出が何か考え事をし始める。嫌な予感しかしない。とりあえず聞いてみよう

「どうしたの叶出?」

「え、あぁ、ううん。何でもない」

「ん?」

何だかとても違和感だ。それが何かは解らないが胸の奥がモヤモヤする。それよか心臓の鼓動が速くなっていく。叶出の顔も少し笑顔がなくなっている気もする

私は叶出のおでこを触って熱がないか計ろうとすると

「あ、まいっち。私トイレ行きたい。」

「え、別にいいけど」

私達はそのままトイレに向かい叶出が入っていく。私は少し怖いので叶出のトイレに入る手前らへんで待っている。

ジャーーー

トイレの流れる音がした。そして叶出が出てくる。私達はそのまま出ていく。

「…うーん」

叶出がまた考えてる。私はすごく不安になり聞かずにはいられなかった

「叶出さっきからどうしたの?」

胸の鼓動が高まる。答えによっては心臓が止まりそうだ。

「え、いやトイレの女の幽霊出ないなぁと思って」

「…え?」

「え?」

「ん?ちょっと待って叶出?じゃあさっきあんなに考え事してたのは?少し暗い顔してたのは?」

「なんの話?私はもしかしたら出てくるって思ってるから幽霊は現れないのかなって思ってずっと心を無にしてただけだよ?」

なによそれーーー!!?じゃあアレか、私は叶出の事をあんなに心配してたのにこいつは幽霊が出る可能性を研究してたのか!ふざけんなよ!私がどんな気持ちでいたと思ってるんだ!!

「つまりあんたは心を無にすることで幽霊が現れると思い七不思議のうちの一つを白々しく行っていたわけか」

「いや、トイレに行くんだから当たり前でしょ?気づかなかったの?」

よし、殴ろう。その時女の人の声が密かに聴こえた。

私達はその声の方にすぐ振り向く。私達と反対側の廊下から聴こえてくる。鳥肌が今までにないくらい立っている。体も凄い勢いで震えるのも必死に抑える。すると叶出が歩き出す。

「なにやってんの叶出!行っちゃだめ!」

私は小さな声で叶出に叫ぶ。

「ねぇ、まいっち今の声どこかで聞いたことない?」

「え?何言ってんの?そんなのどーでも良いから帰るよ!」

「ほら、少し聞いてみてよ」

この子、何かに取り憑かれてないよね?違うよね?私は深く深呼吸をして冷静を取り戻そうとする。そのまま耳を澄まし聞いてみる。小さくだがきゃーと聴こえる。確かに聞いたことのあるような声、何だか身近な人にこんな声に似たような人がいたような気がする。

「まいっち行ってみない?もしかしたらクラスの子かもしれない」

少し怖いがその可能性もなくはない。私達は手を繋いでその声のする方へと向かう。着々と進んでいき女の人の声もだんだん近くはっきりと聞こえるようになった。何だか怯えているような泣いているような声だった。何だかとても可愛い声だった。ん?かわいい?私は走った!叶出の手を引っ張りながら笑顔に走る!

「ちょ!まいっちどーしたの!!」

だってこの声を聞くと安心する!可愛い声!この声は間違いない!

「信子先生!」

私が叫ぶと先生は悲鳴を上げた

「キャーーーーーーーー!」

私達は先生がなぜここにいるか聞いてみた。先生は帰りの途中で小テストを持ち帰るのを忘れた為一度学校へ引き返し取りに行った際もよおしたのでトイレに行ったそうだ。そしてトイレから出たときに足元に蜘蛛がいてびっくりして腰を抜かして泣いていたらしい。先生は大の虫嫌いで怖がり。犯人をあんなに懲らしめた人がこんな事で驚くとかギャップ萌え!

私達は先生と一緒に正門を出て真っ直ぐ家に帰る。先生は途中自販機でジュースを奢ってくれた。そして先生と別れて数分後

「まいっちごめんね?今日は少し反省してる」

叶出が暗い顔をして私に謝る。実は叶出は七不思議の廊下をやっている最中ずっと怖がっていたらしい、そして私がビビる姿が見たかったらしいのだ。

私は叶出を撫でて許してあげた。

私達も家に着いた。今日は叶出は泊まっていくらしい。叶出はお母さんに電話し、私は服を着替えに行った。このノートは叶出には内緒してるから今の内に書いておこう。


【今日の日常生活】

(幽霊は懲り懲り。先生は萌え♡)



皆様本日も【平日】を読んで頂きありがとう御座います。次回は文化祭編です!お楽しみに!

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