次の日、私達は昨日叶出が言っていた先生は結婚しているのか。
それを聞いた私はそれを先生に質問をしたい。
今日は朝のHRに自己紹介がある。その後、先生に質問をしようと思う。
本当に結婚しているのか。田中とは旦那さんの名字なのか。もしそうならばその男の下を使えなくしてやる。
登校中、ダメダ緊張してきた。
鼓動が速くなる。何なんだこの気持ちは。
もしかして、これが恋?
「んなわけ無いでしょ」
あれ?私言ってないはずはずなんだけどな?
もしかして口に出てた
「口には出してないけど、顔に出てたよ」
なるほどね、だからかぁ
てか、心読んでるの?この子人の心を読む能力あるの?目を盗む能力…なんてね
「叶出はよく見てるね」
「当たり前じゃん。私はまいっちしか見てないよ」
「舞的にポイント高い!」
「まいっち…怒られるよ?」
おっといけない、どこぞの千葉の兄妹の口癖が出てしまった
「まいっちは怖いもの知らずだね」
「いや、私も怖いものくらいあるよ?」
「ふーん、例えば」
「ん?例えば、そうだなぁ。田中先生に嫌われること。田中先生に無視されること。田中先生に名前を忘れられること。田中先生に…」
「あ~、ハイハイもういいや」
叶出は呆れた顔をしていた。だが私は答え続けた。
「後は、叶出に嫌われること。叶出に友達やめられること、かな?」
叶出はポカンとした顔をしていた。何だか面白いな
「そんなこと思ってたの?」
え?逆に思ってくれてないの?私だけ?
「そりゃそうでしょ叶出以上に信頼してる人家族以外いないよ」
叶出は頬を赤く染めて髪を指に絡め照れていた。可愛いな私の親友
そんなことを話していると、もう学校近くにいた。
叶出はまだ頬を赤らめている
正門前に近づくと生徒会と風紀員が挨拶活動している。ご苦労なことだ
なら、私達も協力するしかあるまい
「「おはようございます」」
二人揃って挨拶をする。
「おはようございます!」
なんて元気の良い返事なのだろう
きっとあの先輩は皆を引っ張る人になるだろう。…誰目線で言っているのだろう
正門をくぐり抜け、靴箱に進み上靴に履き替える。
そして教室へと向かう。
あ、ヤバい。心臓の鼓動が速くなってきた。
静まれ私の心臓
教室の扉を開く。だが、先生はいなかった
そりゃそうだ。まだチャイムも鳴っていないんだから
緊張の糸が解けて大きな息を吐く
「緊張して損した」
「でも、チャイムが鳴ったと同時に先生は来るんだよ?もう少しで鳴るし」
「え、嘘?まじ、待って待って心の準備できてないから、無理だから」
焦りまくる。それを見る叶出はクスリと笑う
「もう、仕方ないな。私が聞いてあげるからまいっちは聞いてるだけでいいよ。それなら大分マシになるでしょ」
私が聞くはずだったんだけどな、私の親友は気遣いの出来る優しい子だ
ピーンポーンパーンポーン
チャイムが鳴る。それと同時に先生が教室へと入ってくる
「はーい皆さん席について下さーい」
皆が席へと着く
「えー、皆さん起立してください」
一同は起立する。私は緊張して少し遅れて立つ
「起立。礼。着席。おはようございます」
先生は本当に綺麗だなぁ。あの綺麗な先生の素肌に男が触っているも思うと反吐が出る
そんなことを思っていると皆が席についている。前を向くと先生があたしの目を見て
「内田さん。昨日余所見しないって言ったばっかりなのに全く貴方は、ちゃんとしなさい」
先生に怒られた。しかし可愛さが勝っていて別に怖くもなんともなかった。寧ろその顔を写真に納めたかった
周りから笑い声が聞こえる。座ろう、恥ずかしくなってきた
「はーい、それでは皆さん。昨日言っていた自己紹介をします。では先生から改めてしますね」
お、これは先生の好きなものを知るチャンス
「えー、コホン。私の名前は田中信子と言います。好きなことは寝ること。好き食べ物はオムライスとプリンです。これから1年間よろしくね」
え、待って待ってすごく待って、コホンってなに?超可愛いんですけど、寝ることとオムライスが好きって子供じゃん。何なのこの先生マジで天使。あ、違った女神か
「あ、皆子供だと思ったでしょー。これでも立派な大人なんですからね?」
はい。すみません思っちゃいました。だが、そんなことを言う先生が背伸びしている子供にしか見えないです。これ私だけ?違うよね?みんなそう思ってるよね?
「まぁ、ざっとこんな感じです。それでは廊下側の人から順番にどうぞ」
お、てことは叶出が先に自己紹介をしてくれる。頼むぞ
視線を感じたのか叶出は私の方を見てウィンクする。可愛いな私の周り可愛い子ばっかりだな、ハーレムじゃん
すると早くも叶出の番がきた
「えー、私の名前は佐倉叶出です。好きなことはテレビを見ること。好きな食べ物は先生と同じプリンです。よろしくお願いします」
拍手が鳴る。すると叶出が質問をしだす
「先生質問です。さっき聞きたかったんですが先生は結婚しているんですか?それか彼氏とか」
ナイスだ叶出、もし結婚していなくても彼氏がいないとは限らない。流石だな
「え〜っと、あいにく結婚もお付き合いしている人もいませんね」
よ、良かったぁ、いたら世界滅ぼそうかと思ったよ。そんな力無いけどね
安心していると叶出はまた先生に質問する
「じゃあその指に付けている指輪は何ですか?」
「え?あーこれ?これはアクセサリーですよ」
なるほどね、てかあれ薬指じゃなくて人差し指だし、左手じゃないし。やっぱり叶出の見間違いだったな
「そっかぁ、わかりました。ありがとうございます」
そしてたんたんと自己紹介が進み皆回った
私は適当に終わらした
「はい、ありがとうございます。これからクラス一同強力しあい楽しいクラスにしましょう」
私は先生と叶出がいてくれるだけで良いのだが、まぁ女神様が言うのであれば仕方ない。仲良く云々はともかく協力はしよう。
女神様の命令なら仕方ない。
「え〜では、今日はこれで終わりです。明日から通常授業になりますので教科書・ノートを忘れずに持ってきてくださいね」
今日先生を見れるのはここまでか
はぁ、ハラハラした。結婚してなくて本当に良かった。犯罪者にならなくて良かった
「まいっち帰ろー」
「うん。そだね」
席から立つ。そして田中先生に挨拶する
「先生さようなら」
「さようなら」
「はい、さようなら。あ、内田さんボーっとし過ぎたらだめですよ、もう貴方は高校生でここの生徒なんですから。学校に恥じない人になって下さいね?少しくらいなら良いですけど」
固く言ってるように聞こえるがその実、無理しないでと遠回しに言ってくれている。なんて優しい先生なんだろう。
私はこの1年間楽しく暮らせそうだ
何も無く平穏な毎日から、今日から女神様と会話することが出来る。
私の思っていたのとは少し違うが今はこれで良しとしよう。
このように先生に出会えたんだ、いつかもっと素敵な出会いだってある筈だ
これからが楽しくなる予感がする。
私の何もない人生が今新たな素敵な1ページになる。
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