「一緒に暮らさないか」
嬉しいはずの告白に立ちすくみ、雪の降りしきる駅のホームで途方に暮れていたわたしは、北風の吹き抜けるベンチに腰掛けるひとりの老人に声をかけた。
「ひとを待っている」という彼との他愛もない話から、冷たい夜は徐々に不思議な光に包まれはじめ――――。
切なくも愛おしい、少し不思議な恋のお話。