異世界リゾートライフ

いつの間にか美少女ハーレムの主になってました
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レイクリゾート編

第1話 メイド喫茶かよ

公開日時: 2023年2月28日(火) 22:12
更新日時: 2023年3月1日(水) 23:03
文字数:2,192

「お帰りなさいませ~、ご主人様~!!」

 そこには30人以上のメイドたちがオレを出迎えていた。

 しかも全員アイドル並みのハイレベルな美少女たちだ。

 これじゃあ、まるでメイド喫茶じゃないか。


 ここはオレが転生した異世界にある豪華リゾートの入口だ。

 オレは今日からここの所有者になったのだ。

 このリゾートをどのようにして手にしたかと言うと、それは少し長い話になる。


 オレの転生前の名前は速水海都はやみかいと、年齢は30歳だった。

 某有名大学の建築学部を首席で卒業し、大手ゼネコンで建築デザイナーとして勤務していた。


 父親は世界的に有名な建築デザイナーで、その2世という訳だから所謂《いわゆる》サラブレッドという訳だ。

 ちなみに母親は業界をリードするコスメブランドの社長。

 小さい頃から何不自由なく育ったが、両親とも超多忙で愛情に飢えていたのは確かだ。


 大学在学中から、国内の建築コンペに入賞し、鳴り物入りで大手ゼネコンに勤務してからは、権威ある海外建築コンペでグランプリを受賞するなど「将来を嘱望された新進気鋭の建築デザイナー」というのがオレの評価だ。


 才能に恵まれ、仕事も順調、そういう意味では幸運だったのだろう。

 ただ一点を除けば…


 唯一恵まれなかったのが「女運」だ。

 将来を嘱望された建築デザイナーのオレに、言い寄ってくる女は数多あまたいたが、決まって悪女ばかり。


 一時は結婚まで考えた女性もいたが、他の男と二股だったり、付き合っている内に他の男と浮気したり、金目的だったりと不運の連続だった。

 その反面、仕事は順調で、忙しさにかまけて、女運の悪さはさほど気にしていなかった。


 休みなしの多忙な日々が続いたが、ある大型プロジェクトが終了し、一週間のリフレッシュ休暇をもらって、東南アジアのとある国に一人旅に出掛けたのだ。


 その日は有名な仏教寺院遺跡を「トゥクトゥク」に乗って巡り、夕方ホテルに戻ってきた。

 古代建築に触れ、新たなインスピレーションも湧いて、新たな仕事に取り組む「充電」も十分できていた。


 明日は帰国と言う異国最後の夜、快く旅行に送り出してくれた同僚や先輩にお土産を買おうと、繁華街に出かけた。


 少し怪しいネオンが灯る繁華街で、辿々たどたどしい日本語の客引きをあしらいながら、予定数の土産物を購入し、ホテルへ戻ろうと思ったその時だ。


 物売りの少年が土産物を売りつけようとオレめがけて道路を横断してきたのだ。

 その時、猛スピードで走ってきたトラックがクラクションを鳴らしながら、少年に向かって突っ込んできた。


 咄嗟とっさにオレは荷物を放り出し、少年に向かって走った。

 間一髪、少年を抱きかかえて反対車線に走り込んで「助かった」と思った瞬間、反対側からも車が来ていたのだ。


 声を出す間も無くオレは宙を舞っていた。

 頭の中では今までの人生がコマ送りで走馬灯のように蘇ってきた。

 あ~、これって死ぬ時に見るやつだなぁと思いながら、最後に見えたのは、やけにくっきりした星空だった。



 気が付くとオレは果てしなく続く白い雲の上に立っていた。


 ここは何処かと見廻すと、後光をまとった女性が、慈愛に満ちた眼差しで微笑んでいた。

「も、もしかして、女神さま?」


「私は女神フィリア」

「この世界の管理者です」

 女神フィリアの声はオレの脳に直接語りかけてくるようだ。


「と言うことは、ここは天国?」

 オレは恐る恐る聞いてみた。


「いいえ」

「ここは所謂いわゆる『天国』ではありません」

「貴方のために作られた特別な空間です」


「え、天国じゃないんだ」

「見た感じ、天国っぽいけど…」


「わたしは、実はパラレルワールドを管理する超時空生命体の一員で、私一人で180の世界を管理しているのです」


「パラレルワールドを管理する超時空生命体?」

 にわには、信じがたい言葉だった


「オレはこれからどうなるんですか?」


「まあ、落ち着いてお聞きなさい」


 オレは女神が指し示した応接セットに腰掛けた。

 体を包み込むような抜群の座り心地だ。


 どこからかメイドが現れコーヒーを出してくれた。

 それを飲むとアロマの香りに癒やされて心が穏やかになった。


 ソファの対面に座った女神が微笑みながら言った。

「少しは落ち着きましたか?」


「はい、何とか」


「貴方は自らの命を賭して子供を助けようとしました」

「この行いは慈悲深く称賛に値する行動です」

「お陰であの子は助かりましたが、残念ながら貴方は命を落としました」


「そうか、あの子供は助かったのか、良かった~」

 咄嗟とっさの事とは言え、命を掛けて救った子供が助かったと聞いてオレは心から安堵した。


「本来、貴方の命は、あそこで尽きるはずでは無かったのです」

「貴方は、多彩な才能で、これから長く活躍する筈でした」


「しかし、あの日は巡り合わせが悪く、あの場所にあなたが偶然いたことで事故に遭い、命を落とすこととなったのです」


「え、それって本当は、まだ生きられたと言うことですか?」


「そう、あの場所に、あの時間に居なければ、貴方は生きていたでしょう」


「マジですか?」


「将来有望な貴方の人生が、こんな形で終わるのは私としても、とても残念です」

「ですが、一度死んだ者を元いた世界に生き返らせることは出来ません」


「貴方に与えられた選択肢は2つ」

「1つは魂は浄化、記憶もすべて消去し、新生児として別の世界に転生する」

「もう1つは魂も記憶も持ったまま違う体で、別の世界に転生する」


「貴方はどちらが良いですか?」

 女神フィリアは優しく微笑みながら問いかけた。


 本作は、カクヨムで1年4ヶ月(途中半年間の休載を挟み)連載して来た異世界ファンタジーですが、ノベリズムさんの環境が執筆思いの外良かったので、こちらの小説サイトにも作品を掲載させていただこうと思います。

 どうぞ、よろしくお願いします。


 登場人物紹介

 

 【ハヤミ・カイト】

 本作の主人公、前世の名前は速水海都はやみかいと、30歳

 有名大学の建築学部を首席で卒業し、大手ゼネコンに就職した新進気鋭の建築デザイナー。

 言い寄ってくる女は多いが、女運は最悪。

 旅先の東南アジアの某国で子供を助けてトラックにかれて命を落とす。

 転生後はハヤミ・カイト18歳、男、爽やか系イケメン、身長180cm、体重70kg

 女神フィリアから、英知の指輪をもらい、3つの願いを叶えてもらう。


 【女神フィリア】

 180ものパラレルワールドの管理者。

 子供を助けて命を落としたカイトを不憫に思い、自ら管理する異世界に転生させレイクリゾートに建つ館を与え、大勢のメイド メイドまで付けて大盤振る舞い。

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