異世界リゾートライフ

いつの間にか美少女ハーレムの主になってました
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第15話 美少女錬金術師をスカウトする

公開日時: 2023年3月1日(水) 22:57
更新日時: 2023年3月1日(水) 23:02
文字数:2,513

「ところで君は、これからどうするつもり?」


「はい、どこかの国で錬金術師として仕官できればと思っております」


「そうか、仕事探しているんだったら、うちで働かない?」

「君を助けたのも何か縁だし」

 オレの頭には『目指せイベントクリア』と言う言葉がチラついた。


「カイト様に仕官ですか?」


「そう、この館に居れば、少なくとも衣食住に不自由はしないと思うよ」

「ご飯も美味しいし、客間もたくさんあるからね」

「それに、お望みなら専用の工房も用意できると思うよ」


「確かにご飯、美味しかったです」

「失礼ですが、カイト様はご領主様なのですか?」


「あ、いや、どこかの国に属している領主ではないんだけどね」

「まあ、領主って言えば、領主かもなぁ」

 転生して女神様からこの館と領地をもらったと言う方が正しいが、それは伏せておこう。


「ここの暮らしに貨幣は不要だから、すぐに報酬は払えないけど、その内ポーションが売れるようになったら、働きに応じた報酬は当然支払うつもりだ」

「それにポーションの作成に必要なモノはこちらで全部用意するよ」

「ねえ、ソニア、何か問題あるかな?」とソニアに話を振ってみる。


「特に問題はないかと存じます」


「悪い話では無いと思うなんだけどなぁ、どうだろう」

「あ、それに君、何でもするからご飯食べさせてくれって言ったよね」


「はい、確かにそう言いましたが、突然のお話なので、少々戸惑っております」

 トリンは暫く黙りこんで考えていたが、暫くしてこう答えた。


「私、決めました」

「カイト様に救っていただいたこの命」

「私のような者で宜しければ、カイト様にお仕えさせていただきいと思います」


 こうしてオレの目論見通り、錬金術師としてトリンと主従契約を結ぶこととなった。

「あとで契約書を作っておくね」


「契約書なんて要りません」


「いや、こういう事は最初にハッキリさせて置いた方がお互いのために良いんだよ」


「分かりました、それじゃあ、これから宜しくお願いします」


 トリンがそう言うと、ステータス画面が開いてイベント達成のファンファーレが鳴り、『イベント達成おめでとう』の文字がスクロールした。


 そして少し間をおいて今度はステータス画面のメッセージが点滅した。

 メッセージの内容はこうだ。

「錬金術師新規契約に伴い、消費LPが120ポイントにアップしましたのでお知らせします」

 なんと、錬金術師と契約するとLP消費ポイントがアップするのか?


 今回のイベントクリアでLPは2000ポイント増えたけど、ベースポイントが毎日20ポイント多く消費されるのは痛い。

 もっとLPを稼がなければならないが、その方法は後でじっくり考えよう。


 それよりもまずはトリンの住む部屋だ。

「トリンの部屋どこが良いだろう?」

 そうソニアに聞いてみる。


「そうですね、とりあえず6階の真ん中の部屋は如何でしょう?」


「了解」

「ところでトリン、君の持ち物は何かあるの?」


「いいえ、何もありません」

「身につけていた物以外、遭難した時に全て流されました」

「今、生きているだけでも奇跡です」


「そうか、何もかも流されてしまったんだ」

「必要なものがあったら、ソニアに言って用意してもらうといいよ」

「あと、この館のこともソニアに聞いて」


「トリン、今日の夕食は一緒に食べよう」

「色々と話も聞きたいしね」

「それじゃ、あとはソニア宜しくね」

 オレはトリンのことをソニアに丸投げした。


「それじゃあ、また夕食の時に」


「カイトさま、何から何まで、ありがとうございます」

「それでは一度失礼します」

 トリンはそう言うと一礼してソニアの後について部屋を出て行った。


 その日の夕食の時間となった。

 今日はトリンが同席する予定なので楽しみだ。

 オレが1階のメインダイニングに行くと既にトリンは座ってオレを待っていた。


「ご主人さまがご到着です」

 ソニアにそう言われて、トリンは立ち上がってオレを出迎えてくれた。

 今度はメイド服ではなく、足まで隠れる白いドレスのようなワンピースを着ている。

 どこかで見たこと有ると思ったらベトナムの民族衣装アオザイに似ている。


「カイト様、こんばんわ」

「本日は夕食にお招きいただき、ありがとうございます」

「私のような者が、カイトさまと席をご一緒させていただいて宜しいのでしょうか」


「ああ、逆に大歓迎だよ」

「せっかくの美味い料理だし、ひとりで黙って食べるのは味気ないからね」

「これからは毎日一緒に食事しよう」


「はい、ありがとうございます」

「私も一緒にお食事できて嬉しいです」


「ところでその服、素敵だね、よく似合ってるよ」

 そう言って着席すると向かいの席に座ったトリンの胸に自然と目が行く。

 そんなに大きくないが、出るところはちゃんと出ているし、細身の割にはスタイルも悪くない。

 昨日は髪を結んでフードに隠していたので少年のように見えたが、今は肩まで黒髪を垂らし、笑うとドキッとするくらい可愛い、とびきりの美少女だ。


「ありがとうございます」

「この服はソニアさんが、今夜のために用意してくれたんです」

「シンプルで、動きやすいし、このドレス気に入りました」


「そうなんだ、ソニアは優秀だから、姉だと思って何でも頼るといいよ」


「分かりました、それじゃあ色々甘えちゃいますね」

 そう言ったトリンの笑顔がヤバいくらいに可愛い。

 昨日は海岸に打上げられた流木だと思っていたのに、それがこんな美少女に変身するとは思いもしなかった。


「今日の夕食は中華料理のフルコースでございます」

 ソニアがそう言って合図するとメイドたちが次々と料理を運んでくる。


「さあ、遠慮なく食べて」

「今日はトリンの歓迎会も兼ねてるんだから」


「はい、ありがとうございます」

「どれも私が食べた事のない料理ですが、とても美味しそうです」

 トリンは目を輝かせ、メイドたちが取り分けた料理を食べ始めた。


「これ、ピリ辛だけど、とっても美味しいです」

 そう言ってエビチリを口いっぱいに頬張っている。


「そんなに頬張らなくても沢山あるから」

 何日も食べてなかったんだから、まあ仕方ないか。


「遭難して大変だったね」


「そうなんですよ、もう死ぬかと思いましたよ」


 いきなりダジャレかよ?

 オレが苦笑していると、トリンはそれに気づかず真顔で続ける。


登場人物紹介


【トリン】

 錬金術師(16歳女性)

 細身の割にはスタイルも良く、肩までの黒髪で、笑うとドキッとするくらい可愛いとびきりの美少女。

 リルトランデ王国の筆頭宮廷錬金術師メルキューラの弟子として6歳から仕えていたが、兄弟子の卑劣な罠に嵌められて破門となり、仕官先を探すため旅たが、船が竜巻に合って難破し、海岸の砂浜に打上げられた所を偶然通りかかったカイトに助けられ、カイトの元で錬金術して主従契約を結び、カイトの館で働くこととなる。

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