異世界リゾートライフ

いつの間にか美少女ハーレムの主になってました
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第6話 異世界宅配便

公開日時: 2023年2月28日(火) 23:24
文字数:2,655

 さて、昼から何をしようかとエレベーターで1階に下りてみる。

 すると「お届けもので~す」とエントランスの方から大きな声がした。


 行ってみると、見知らぬ男が一人立っていた。

「ハヤミカイト様のお宅でしょうか?」


「は、はい、そうですが…」

 オレは戸惑いながら返事した。

 まだ慣れないが、確かにここはオレの家だ。


「こちらにサインをお願いします」

 男から伝票とペンを渡された。


 何かよく分からないが伝票にサインして渡す。

「荷物が大きいので外に置かせてもらいました」

「ありがとうございました~」

 そう言って男は帽子を取り、一礼して去って行った。


 あれ、この館って警備が厳しいから簡単に入って来れない場所じゃなかったっけ?

 そう思いながらも、外へ出てみる。

 すると大きなダンボールが山のように積まれていた。

 ダンボールに書いてある文字を見て思わず声に出てしまった。

「異世界宅配便?」


「え、ひょっとして…」

 半信半疑ながらもダンボールを開けてみると、中から出てきたのは前世のオレの私物の数々であった。


 大量の本にパソコン関係一式、テレビやオーディオ、冷蔵庫、エアコンにオーブンレンジなど電化製品一式にスマホやタブレットまである。


 その中に、どう見ても大き過ぎだろうと思うダンボールが1つあった。

 幅3.5メートル、長さ7メートル、高さ2.5メートル位の箱だ。

 開けてみるとオレの愛車、国産4WD車だった。


 え~、でも燃料どうするんだよと思いながら、ダンボールを開封し終わると、運転席に乗り込んだ。


 どういう訳か、キーは助手席に置いてあった。

 スタートボタンを押すと『ブォン、ブロロロロ~』と大きな音がしてエンジンが掛かった。


 マジかよ~っ、と思いながらも愛車に再び乗れたことが、とても嬉しかった。


 それからオレは宝探しゲームのように次から次へとダンボールを開けていった。

 中には懐かしいアルバムや、どうしようもないゴミ同然の物もあったが、どうやら元の世界でオレが所有していた物が全て運ばれて来たようだ。


 その中で最も嬉しかったのはパソコンだ。

 デスクトップPCが2台とノートPCが1台、それに42インチの4Kモニターが2台

 これがあればインストールしてあるCADソフトで建築設計ができるはずだ。


 車も嬉しかったが、1000CCのバイクがあったのも嬉しかった。

 これで気の向いた時にツーリングに行ける。


 異世界宅配便って、どんな仕組みなんだろうと疑問に思いながらも、元の世界の私物を手にして気分は最高に良かった。

 ここでは電気は普通に使えるし、電化製品も問題なく動きそうだ。

 さすがにインターネットは使えないだろうが、それでもPCの中に入っているアプリが使えるのは大きい。


 あとは車とバイクの燃料をどうするかだが、それは追々考えるとしよう。

 ところで、この荷物は誰が発送したんだ?


 先ほどの伝票の控えを見てみる。

「ご依頼主 女神フィリア」

 なんだ、女神様か。


 住所欄はブランクだったが、電話番号欄には数字16桁の番号が書いてある。

 16桁の電話番号って長すぎない?


 もしかして!!

 オレはスマホを持ってきて、その番号に電話を掛けて見た。


 プルプルプルって呼び出し音、鳴ってるじゃん。

 3コールくらい鳴って

「はい、もしもーし、フィリアでーす」


 女神様、普通に出るじゃん。

「あ、あ、先日お世話になったカイトです~」


「あ、カイトくん、無事そっちに着いた?」

「なかなか来ないって言うから、心配してたんだよ~」

 最初に会った時とは別人のような軽さで女神フィリアが話した。


「はい、無事こちらの世界に着きました」

「その節は色々とお世話になり、ありがとうございました」


「いやいや、あれも仕事だから、気にしないでいいよ」

「でも無事に着いて良かったね〜、安心したよ〜」

 そこで少し間があり

「あれ、でもなんでこの番号知ってるの?」


「え~、何でって言われても」

「今日届いた異世界宅配便の伝票に女神様の電話番号が書いてあったので掛けてみました」


「あ~、なるほどそう言うことね」


「元の世界の私物を届けていただき、ありがとうございました」


「あ~、あれね」

「これから色々と必要になって来るんじゃないかと思って、運んでもらったの」


「え、これからって??」


「まあ、それはいずれ分かるよ」


「ところで、そっちの生活には慣れた?」


「着いてまだ1週間なので、慣れないこともありますが、みんな親切でサポートしてくれるので、すぐに慣れると思います」


「そう、良かった」

「私の部下も派遣しておいたから、何でも相談してみてね」

「ところで、新しい家の住み心地はどう?」


「お陰様で、広くてキレイで環境も良くて快適で、恵まれ過ぎかも知れません」

「なんか悠々自適って言うか、隠居生活みたいで少し退屈なくらいです」


「そっか~、まあいずれ退屈じゃなくなるから、今の内にリゾートライフ満喫しておきなよ」

「それじゃ、用事あるから電話切るね、バイバ~イ」


 そう言うと女神はガチャッと電話を切った?


 ん、今なんて言った?

 退屈じゃなくなる?


 それにしても女神ってあんなに軽い感じだったっけ?

 最初に会った時は仕事モードだったのか?


 今のが素なのか分からないが、女神フィリアの電話番号をゲットできたのは大きいな。

 何かあったら、また掛けてみよう。


 しかし携帯の電波は無いはずなのに何故か電話も繋がるし。

 まあ、謎だらけの世界なので、深く考えないでおこう。


 異世界宅配便で届いた荷物はかなりの量で、片付けるには時間がかかりそうだ。

 すぐ使う物はメイドたちに手伝ってもらいエレベーターで8階の部屋へ運び、残りはホールの隅に積んでもらった。

 この部屋には書斎もあるので、パソコン一式はそこへ運んで設置した。


 PCとモニター、キーボード、マウス、ケーブルを繋いで電源を入れてみる。

 起動音がして普通にOSが立ち上がった。


 どうやら普通に使えそうだが、当然のことながらインターネットは使えない。

 しかしインストール済のアプリは使えそうだ。


 60インチ液晶テレビとブルーレイレコーダー、オーディオも設置してみた。

 テレビは当然ことながら電波がないから映らないが、録り貯めたビデオライブラリやブルーレイの再生は問題ないようだ。


 オーディオ機器一式はリビングに設置した。

 音楽配信サービスは無いがハードディスクにある音源とCDライブラリが、かなりの量あるので音楽に不自由することはなさそうだ。


 車とバイクはローレンに頼んで車庫を作ってもらう予定だ。


 燃料がなければ、いずれ動かなくなり無用の長物になるかも知れないが、それは後日また女神様に相談してみよう。

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