【第1章完】ゲートバスターズー北陸戦線ー

阿弥陀乃トンマージ
阿弥陀乃トンマージ

第8話(3)ツインアタック連発

公開日時: 2023年11月13日(月) 13:54
文字数:1,652

「こ、これは……!」

 二つ増えたゲートから、それぞれの影が現れる。深海が戸惑う。

「こちらからは、火の玉のような影が!」

「あちらからは、大型トカゲのような影が!」

 葉と雪が戸惑いながら報告する。

「ブオオン!」

「おっと! まだバイクの影もいくつか残っていますね~」

 天空が告げる。

「危険度……B!」

「Cではないのですか⁉」

 通信手に対し、深海が問う。

「単独ではCですが、このように集まるのならば……危険度は上昇します!」

「ふむ、そうなりますか……」

「はい!」

「……他の地点は?」

「危険度はそこまででもないですが、イレギュラーの数が多く……」

「すぐの応援は期待できないということですね……」

「そうなります……」

「了解しました。こちらでなんとかします」

「お願いします!」

 通信が切れる。

「さて……」

「深海隊長、どうしましょうか⁉」

「イレギュラーは三方向からこちらに迫っています!」

「やはり各個撃破でしょうか⁉」

 雪と葉が指示を仰ぐ。

「……」

 深海が目を閉じる。

「それが一番分かりやすいんじゃないの~?」

 天空が腕をぶんぶんと振り回す。

「ふむ……」

 目を開いた深海が頷く。それを見て、天空が走り出そうとする。

「よっしゃあ!」

「雷電隊員、ストップ!」

「⁉ ま、また⁉」

 天空が動きを止める。

「……ツインアタックの使用を許可します」

「!」

「まずは、前方から来るバイクの影に! 佐々美隊員、雷電隊員!」

「はい!」

「は~い♪」

「お願いします!」

「はっ! 掛けまくも畏き……」

「えっと、佐々美隊員、何やるか聞いてないんですけど……」

「………」

「あ、聞いてないですね、分かりました」

「恐み恐み申す!」

「うおっ⁉」

 天空が体ごと飛ばされ、バイクの影の群れに落下する。

「ブオオン⁉」

 バイクの影たちが霧消する。葉が呟く。

「『神之如雷』……」

「雷電隊員を雷化させるとは……まさに神の所業」

 深海が頷く。

「あらかじめ言っておいて欲しかったな、神様……」

 天空が後頭部をポリポリと搔きながら、素早く戻ってくる。

「次は、東側から迫ってくるトカゲの影の集団です! 宙山隊員! 雷電隊員!」

「了解!」

「ほ~い♪」

「重ね重ね……非常時なのでご勘弁を!」

「ギエッ!」

 雪が右手を振ると、ダムの水がいくらかトカゲの影にかかる。

「雪っぺ! かき消すには水量が足りないんじゃないの⁉」

「あんまり大量には使えないでしょう⁉」

 天空に対し、雪が言い返す。

「それはそうかもしれないけどさ!」

「これで良いのよ!」

「へっ⁉」

 雪が左手を天空の頭上で振る。

「よし!」

「何が⁉」

 天空が首を傾げる。

「あっちに向かって拳を叩きつけて!」

「おおっ!」

「ギエエッ⁉」

 天空が拳を地面を叩きつけると、電気が走り、感電したトカゲの影たちが霧消する。

「『雷水魔法』です……」

「ふむ、水に濡れさせて感電しやすくしたのですね……」

 深海が感心する。

「電気を帯びるのって変な感じだな……」

 天空がくすぐったそうにする。

「西側から向かってくる、火の玉の集団です! 佐々美隊員! 宙山隊員!」

「はっ!」

「了解です!」

 葉と雪が前に進み出る。

「宙山隊員!」

「ええ!」

「ボアアッ⁉」

 葉が右手を突き出し、雪が左手を突き出す。二人は手を絡ませるようにすると、強風が吹き荒れ、火の玉は吹き消されるように霧消する。

「名付けて……」

「『神魔融合』です!」

「これほどの強風を吹かすとは……もはや天変地異レベル……」

 深海が感嘆とする。

「二人は怒らせないようにしよう……」

 天空が小声で呟く。

「ご注意を! ゲートはどれもまだ消えていません! さらに増援の可能性が!」

「⁉」

 通信が再び入る。通信手の言葉通り、まだまだ影が飛び出してくる。

「くっ……さすがに数が多すぎる……」

「お困りかな~?」

「間に合ったようだな……合同訓練予定の場所に近いのは幸運だったな……」

「‼」

 深海たちが視線を向けると、夜塚率いる石川隊と三丸率いる福井隊が駆け付けていた。

「応援に来たよ~」

「深海隊長! 号令を!」

「ええ、三隊合同訓練です!」

 深海が声を上げる。石川隊、富山隊、福井隊、三隊初の揃い踏みである。

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