「じゃあなんで、キミを襲ったの?」
「…そんなの、知らないけど」
「彼の目的が、キミを殺すことだとしたら?」
「は!!?」
俺を殺す…?
…いやいやいや
「…冗談だろ?」
「この状況で、冗談なんて言えると思う?」
「…わかってるけど、だからってだな…」
「理解できない?」
「当たり前だろ!」
「じゃあ、キミが私のことを「好き」だっていうことは?」
………………………へ?
思いもよらない言葉が、頭の中を掠めた。
『好き』
確かに、そう言った。
聞き間違いなんかじゃない。
はっきり、耳の中に届いた。
……でも、なんで………?
「…今、なんて?」
「キミがいちばんよく知ってるでしょ。その“気持ち”は」
俺がしおりのことをどう思ってるか。
そのことを、彼女に打ち明けたことはなかった。
この場所。
この時間。
浴衣姿を着た彼女と、——2人。
中学3年の夏。
祭りがあった日だった。
彼女から、一緒に花火を見ようと言われたのは。
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