「何?」
叫ぶ俺を見てか、彼女の動きが止まった。
それを見て、俺は頭をフル回転させた。
無我夢中だった。
「お前ほんとに天ヶ瀬か?!」
「…違うって言ったら?」
「違う?じゃあ誰だ??」
「会話するつもりはないんだけど」
「やってること犯罪だってわかってる?!」
「キミは死んでるんだって」
「…意味わかんねーって」
「わかってるでしょ?何が起こってるのかくらい」
「何…って、何が??」
「刺されたことだよ。さっきも言ったけど」
「…わかってるけど」
「じゃあ、わかった。単刀直入に言うよ。“バンパイア“って知ってる?」
「バンパイア??…吸血鬼のこと?」
「そう」
「…知ってる…けど」
「私は吸血鬼なの。意味、わかる?」
……?
……………はい?
…………吸血鬼?
吸血鬼って、………あの吸血鬼??
詳しく知ってるわけじゃなかった。
だけど、どういう「存在」かは知ってた。
誰だって一度は聞いたことがあるんじゃないかな?
絵本に出てたこともあるし、テレビか何かで、見た記憶もある。
背中に翼が生えてて、口には血を吸うための牙があって。
ただ、だからなんだって話ではあった。
『吸血鬼』
自分がその存在なんだって言われても、はいそうですかって言えるわけがない。
夢じゃないとは思ったけど、まさか…
「夢」……なのか??
色々ぶっ飛んでて、ますますこんがらがってしまった。
うまく咀嚼できない何かが、口の中でゴロゴロ転がってた。
見る感じ翼も生えてないし、牙だってない
…っていうか、そもそもそんな「生き物」がいるってこと自体、あり得ないわけで…
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