ただ可愛いってだけじゃなくて、どこか掴みどころ魅力を持ってた。
言葉にするのは難しかった。
同い年の感じには見えなかった。
見た目がどうこうって言うより、雰囲気というか、ちょっとした仕草や、言葉遣いが。
「今のうちに考えておいた方がいいよ」
「…なにを」
「どういう“処理”をされるのかはさておき、キミはもう生きて家に戻ることはできない」
無機質な電車の音が、そこかしこに響いている。
6両編成の車両と、仕事帰りのサラリーマン。
赤色の制服を着た学生の姿や、部活終わりの男子グループ。
この線路を使うのは久しぶりだった。
中央線なんて、滅多なことじゃ乗らない。
高校までは電車を使ってるけど、八王子駅までしか利用することはなかった。
だから新鮮だった。
いつも乗ってる八高線と違って、乗ってる人が多い。
パッと見ただけで全然違った。
中央線は東京駅まで繋がってる。
とくに上りは利用する人が多いせいか、来た時よりも多い印象を受けた。
東京に向かう人たちが、揺れる車両の上で談笑してた。
居眠りをこいてる人もいれば、スマホをいじってる人も。
俺たちは運良く座席に座れていた。
高尾山口駅では、乗り降りする人がそんなに多くはなかった。
「…本気で言ってんのか?」
彼女の言葉を疑うつもりはない。
ここまで来て、冗談を言ってるってわけでもないんだろう。
きっと本気だ。
本気で、俺を殺そうとしてる。
ただ、どうしても現実には思えなかったって言うのと、天ヶ瀬がそんなことするわけないって事で、色んな感情がごちゃ混ぜになってた。
色んなものが混ざり合ったまま、ありふれた言葉が口から漏れた。
どんな答えが返ってくるのかなんて、正直どうでも良かった。
知りたかったのは、ただ…
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