…え?
目を疑った。
自動で開いたドアの向こうで、何やら口論している2人がいた。
1人は中年の男性で、ふっくらした体型の人だった。
もう1人は店員だった。
コンビニの制服を着てて、店名のロゴの入った青い帽子を被ってた。
…何かあったのか?
それにしては様子が変だった。
男性客の口調は強く、かなり怒っていた。
しかも店員は女性だ。
…女性っていうか、女子?
俺と同じくらいの年の子だった。
…っていうか、どっかで見たことが…
最初は気になる程度だった。
変なクレームをつける客は世の中に山ほどいる。
どうせすぐに収まるだろ
そう思ってた。
その、矢先だった。
「金出せ、金!」
…は?
その「言葉」は、“ただのクレーム”とは程遠い攻撃性を持っていた。
普通じゃ考えられないような言葉だった。
そしてその口調も、ただ怒ってるにしては…って感じだった。
「困ります。お客様」
「ああ!?さっさと出せ!殺すぞ!!」
…おいおい
…嘘だろ…?
これって、まさか強盗…?
そんなバカな
頭の中に占めていたのは、大体そんな感情だ。
だって、普通あり得ないだろ?
「強盗」だぞ?
そりゃ、そういう出来事があるってことは知ってるよ
…でも身近に、まして目の前でそんな出来事が起こるなんて思わなかった。
血の毛がさーっと引いた。
目の焦点でさえ、うまく合わなかった。
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