賢者の言葉
小さな頃から人々の役に立ちたいと思い、遊んだり、恋をしたりせず、一生懸命学問に取り組んだ少年がいた。その少年が老人になる頃、街の地面に大きなヒビが入った。老人は原因を探ると、人々の悪口が、そのヒビをひろげていることがわかった。
老人は必死に悪口を言わないよう訴えかけたが、老いぼれの世迷い言として誰も聞き入れなかった。あるものは老人に暴力を振るい、あるものは老人の家に動物の死体を置いたり嫌がらせをした。
それでも老人は諦めず「もうすぐこの街は沈むから、隣の街まで船で渡ろう」と皆に言ったが、誰一人として聞く耳を持つものはいなかった。その夜、老人は一人で悲しみながら、船で隣町に向かった。
次の日の朝、老人が住んでいた街は、地面に大きな亀裂が入り街中が海に沈んだ。老人は悲しみながらも、どこか納得した表情を浮かべていた。
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