キス。
人生で初めての体験だった。
コツンと、歯と歯がぶつかってしまった。
テレビとかでしか見たことがなかった。
見よう見真似だったんだ。
きっと、——彼女も。
唇に触れた時、硬直する体がお互いにあった。
心臓がバクバクだった。
次にどうしていいかも分からず、終始ドギマギしていた。
柔らかい感触が、頭の奥に突き刺さった。
何もかもが初めてだった。
撫でるようなシャンプーの香りも、目眩がするほどの甘い感触も。
彼女の手が、首の後ろに伸びてくる。
「来て」
そう言われた気がした。
だから彼女の腰に手を伸ばした。
固く結ばれた帯の縫い目が、指の先に絡んで。
白い肌に、透き通った髪。
首の根本に顔をうずめる。
息を吹きかけると、微かな声が聞こえた。
もう十分すぎるほどに大人びたその体は、俺には刺激が強すぎた。
だからできるだけ直視しないようにした。
必死に自分に言い聞かせた。
“ガッカリさせちゃダメだ“って、ただ、——なんとなく。
不思議なもんだなと思った。
俺だって男だ。
エロ本だって見るし、友達同士下ネタで盛り上がったりもする。
だがいざこうして本番を迎えると、意外と理性が働くもんだと思った。
彼女の裸を想像してなかった?って言われたら、そりゃ嘘になる。
想像したりもした。
いつか、こういう時が来るのかもって。
パサッ
帯をほどくと、彼女の身体が露わになった。
胸の上にあるホクロと、水色の下着。
彼女は恥ずかしそうに腕で顔を隠してた。
俺はブラジャーのホックに指をかけた。
次のプランなんて、考えてなかった。
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