「どういう…」
困惑する俺をよそに、彼女が近づいてくる。
前回と同じだ。
あの目。
あの、異様な気配。
ゆったりと歩いてきているようで、その足取りは軽い。
顔のパーツも、体のラインも、見れば見るほどさくらだって思う。
反面、“何もかも違う”と思えるほどの違和感が、ちょっとした仕草や呼吸の仕方の中に顕れていた。
歩き方だってそうだ。
「そう身構えるな。まずは自分の体を心配した方がいいんじゃないか?」
「俺の…体?」
「肋にヒビ入っているだろう。さっきの戦いで」
脇腹に痛みがあるのは事実だった。
息を吸うたびにズキズキする。
でも、ヒビ…?
「どれ、見てやろう」
彼女は俺の胸に手を当て、痛みがする場所を指でなぞった。
イッ…
あんまりそこは…ッ
「ブーニベルゼ様、まさか回復魔法を!?」
聞き慣れない声がしたと思って視線を上げた。
目を向けた先には、「アレ」が。
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