「…怪我…してないよね!?」
「それは全然大丈夫だけど」
「彼女にはキツく言っとくから。もう出てこないでって」
「…お、おう」
ご立腹のようだ。
どうやら、あの悪魔が出てくるのは想定外中の想定外だったっぽい。
契約の条項とやらに入ってるみたいだった。
生活の中で決めている「禁止事項」。
今回の場合で言うと、“人前で無闇に姿を現さない”という項目が。
「…なんで、悪魔と契約を?」
「だから、それは私にもよくわからなくて…」
「さっきのアレは、“幽霊”みたいなもん…?」
「…いや、ちょっと違うかも」
「詳しく聞かせてくれない?」
「…わかった」
さくらはそこから詳しい経緯とあの悪魔にまつわる話を教えてくれた。
夜中の1時だった。
◇◇◇
さくらの体の中に入っている悪魔、——ブーニベルゼは、正式な名称で言うと魔族と呼ばれる魔界の生き物の一種であり、その中でも、灰の大陸にある都市、火の王国カリギュラの「次期プリンセス」だということが、話の流れの中でわかった。
この世界には「魔界」と呼ばれる世界があり、俺たちが住んでいる「人間界」とは、対をなす世界だそうだった。
ブーニベルゼ曰く、この星には元々魔界しか存在しておらず、人間界はいわば魔界が生まれた後にできた世界らしい。
かといって、「魔界」がこの地上のどこかにあるわけでもなく、ある特殊な「ゲート」を介さない限りは、その世界には行けないそうだった。
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