大通りを走る車の列が、かなり遠くに見える。
眼前に広がる渋谷区の街並み。
建ち並ぶビル群。
——トッ
…え?
空から誰かが舞い降りてきた。
羽だ。
黒い羽が、フワッと空気を動かす。
「お姉様ッ!!」
その声の主が「誰」かが、わからないわけじゃなかった。
聞き慣れている声だった。
身近な、——日常的な声だ。
ただ、だからこそ耳を疑った。
まさかと思って見上げたんだ。
そこには、“あの妹”の姿が。
「陽菜!?」
「何?あなたには声をかけていないわ。汚らわしい人間め」
…な、…え??
陽菜…だよな?
そうだよな?
何が起こってるのかがわからなすぎてヤバい。
何で背中からそんなもんが…!?
それに、その「ツノ」は??
「レナ。お前というやつは…。ルールというものを弁えないのか?」
「だってこうでもしないと、この男を倒せないんですもの」
「だからといって“魔族”を刺客として起用する奴がいるか?一歩間違えれば死んでいるぞ?」
「人間の1人や2人死んだところで、誰も困りはしませんわ」
「はぁ…(溜息)」
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